33/42
演出ではなく素です
……明くる日。
「……」
仁奈は覚束ない足取りで廊下を歩く。すれ違う生徒とぶつかりそうになりながらも、仁奈は教室へと向かう。
「……はぁ」
そして、ため息。
「どうしたのよ、一体?」
「……あんたは」
仁奈の前に、七海が現れた。
「ふぅん? 確かにこれじゃあ、陰陽魔緒が心配するのも無理ないわね」
「まお……、ちん?」
殆ど虚ろだった仁奈の目に、僅かな光が灯った。
「この分だと、かなり重症ね」
「……何が?」
仁奈は、低い声で呟く。
「へぇ、自覚してないのね。貴女が、陰陽魔緒に依存しきってるってことを」
七海の小馬鹿にしたような含み笑い。それが、仁奈を苛立たせる。
「言いたいことがあるなら、はっきり言って」
「そう? それじゃあそうしようかしら」
七海は、表情を引き締める。
「陰陽魔緒は、私達のことを調べてるわ」
重々しく放たれた言葉。それは、仁奈の心に強い衝撃を与えた。
「しかも、貴女の両親のことも調べてるみたいよ」
仁奈はもう、返す言葉も気力もないようだ。
「このままだと、彼に何もかも知られるわよ」
そう言い残し、七海は立ち去った。
「……」
仁奈は暫しその場に佇んでいたが、やがてどこかへと歩いていった。




