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ナレーターの存在って便利だね。いやほんとに
◇
「な、何……?」
所変わって、先程の少女。少女、では誰だか分かりにくいので名前を言おう。彼女の名前は清田七海。この学校の一年生である。
彼女は先程まで発狂していた。だが、突然の出来事―――背後からの強い光―――によって正気を取り戻したのだ。
「も、もしかして……、この学校にいるっていう、幽霊?」
宿題を忘れただけでなく、幽霊を信じているとは。見た目もそうだが、彼女は仁奈と、色々似ているようだ。
「やだ、どうしよう……。早く宿題を取りに行かないといけないのに……。で、でも、幽霊なんだから……。そうよ、幽霊が相手なんだから、仕方ないわよ……」
仕方ないを連呼する七海。何が仕方ないのかは訊くだけ無駄だろう。訊けないし。
仕方ないを連呼しつつも、七海はその場を離れようとしている。……もしかしたら、ただの現実逃避なのかもしれない。
とは言っても、歩く先が光源のほうなのは、本当に仕方ないのであろう。