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第八陣

「それで、何でお前がココにいる?」


経と次郎と四奈は机を囲んで四奈を問いつめていた、巴嘩はトラウマらしく部屋の隅の方で膝を抱いて震えていた、裸だった四奈は一応巴嘩の服を着せてるが大きすぎる。

次郎と経は険しい顔をしているが四奈はマニアなら二秒で逝くような笑顔を振り撒いてる、昨日あれだけの事をしているのでそう簡単には信じられないのは当たり前だろう。


「経、これはヤバいよ」


「分かってる!コイツは巴嘩を殺そうとした奴だ、それがココにいるってのは殺してくれって言ってるようなもんだろ………、なんなら殺しても良いんだけどさぁ!!」


経は怒りを剥き出しにして四奈の胸ぐらを掴んだ、経は急に立ったために椅子が大きな音をたてて倒れた、四奈は顔色一つ変えずに経を見つめた、次郎は経の手を引き離して経を座らせる、経は背持たれに持たれて次郎は頬杖をついて四奈を眺めた。


「う〜ん、やっぱりヤバいな。経はロリコンだったなんて、しかも裸で添い寝なんて確実にご法度だよ」


「次郎!お前も殺すぞ!」


経は怒りの矛先を次郎に向けた、次郎は苦笑いを浮かべながら両手を挙げてる。


「冗談だよ、冗談。それよりさぁ、四奈ちゃんは俺らに信じて欲しいんだよね?」


「うん!」


「じゃあ俺が今からする質問に答えて、回答次第じゃ殺すから、まぁ逆を返せば信じるに値するかなぁ、と」


四奈は二つ返事で応えた、経は納得出来ないようであからさまにキレてる、次郎と四奈は笑いながら向き合ってるが次郎から殺気が出ている状態だ。


「じゃあ最初に、武志と顔が見えないロン毛の男について教えてよ、ロン毛が武志の前に現れた事から二人が繋がってる事は誰でも分かる、そんで四奈ちゃんとロン毛は同じ亀裂に出入りしてた事から二人が繋がってるのも分かってるから」


「武志は私達の仲間だった奴だよ、アイツはワンマンプレーが多かったから嫌いだったんだよね。それとロン毛の顔が見えないのは多分半哉はんやだと思うよ、半哉の事を私達は‘死刑執行人’って呼んでるんだ、明らかに負けた奴とかワンマンプレーが過ぎた奴、後は裏切り者とかを殺してるのが半哉。他に知りたい事はある?」


次郎は頭の中でそれらのピースを当てはめていった、そして整理して最大限の推理を働かせる、その間巴嘩は震えがとれて四奈の話に耳を傾けてる。


「じゃあこのままいくと四奈ちゃんは半哉って奴に殺されるって事?」


「そうだよ、流石の私でも半哉と殺り合ったらヤバいね」


「まぁその事はおいといて、次に………」


「歳那って変態はアンタの仲間でしょ?」


復帰した巴嘩が顎を掴んで持ち上げた、四奈はボディーラングエッジで喋れない事をアピールした、それを見て巴嘩は四奈を下ろした。


「あと勇治もな」


「あれ?総羅そらはいなかったの?歳那・勇治・総羅はいつも三人一組で動いてるんだけどな」


「私と経ちゃんが戦ったときはその二人だけだった、さぁ早く教えなさいよ」


「三人も私の仲間だよ、でも二人ともラッキーだったね、あの三人は私とは比べ物にならないくらいに強いから、あれは化け物だね」


経と巴嘩は顔が青ざめていった、四奈が次郎と同じくらいに強いのは知っている、それよりも強いということは確実に次は‘死’が待っている事を理解した、しかし次郎は顔色一つ変えずに四奈への質問を続けた。


「じゃあ最後に、四奈ちゃん達の組織は誰が親玉なの?」


「組織ってより集団に近いような形態だよ、あと親分は信征のぶゆき、魂玉は‘織田信長’」


三人の顔があっという間に変わった、次郎の推理は正しかったらしい、今まで笑っていた次郎が険しい顔をして四奈の話に聞きいっていた。


「他のみんなは信征の考えに勝手に賛同して集まっただけ、私は楽しそうだったから参加したの。私達が使ってる空間に亀裂をいれる移動手段は信征がくれた力、でもこれは魂玉に寄生させる呪いみたいなものなの、だから信征から私達の居場所はまる分かり………」


「ちょっと待てよ……」


馬鹿な経でも理解出来たらしい、このままいくと自分達の命がいくつあっても足りない事に、そしてこの家と四奈ごと消される事に。


「ってことは今お前は脱走したことになってる、それで居場所が分かるってことはやっぱりお前スパイだろ!?」


「まぁ待てよ、四奈ちゃん、まだ続きがあるんだよな?」


次郎は経をなだめて落ち着かせた、次郎は経に意識を向けながら四奈の話を聞いた。


「流石ぁ!信長の属性は‘闇’、四郎は‘聖’だから闇を制するくらいわけないの、信征には太刀打ち出来ないけどね、でも呪いを解くのなんてアリを潰すよりも簡単、だから今の私は‘呪い’の‘の’の字も無いよ」


「四郎?お前の魂玉は誰だよ?」


『それは私から』


始めて四奈の魂玉が話をしだした、声だけで好青年ってことが分かる、そして四奈とは違い裏表の無い透き通った雰囲気を持ちあわせている。


『私は天草四郎です。どうか四奈をよろしくお願いします、この子は嘘はつきません、多少行き過ぎた趣味はありますが純粋でいい子です』


四奈は照れながら四郎の話を聞いている、三人は何故か四郎の事は信じられた、これほど適合者を信頼している魂玉もそう多くはない。

天草四郎、キリスト教の信者で不思議な力を操った少年といわれていた、キリスト教の弾圧により幕府に歯向かい軍を統治した、しかし殲滅され四郎も若くして戦により死んだ。


「俺は信じるよ」


「何でだよ!?仮にもコイツは巴嘩を殺そうとしたんだぞ、俺らに付け入って殺そうと考えてる可能性だってあるだろ!」


「それは無いよ、巴嘩ちゃんなら分かるだろ。もし本当に俺らを殺す気ならとっくに死んでるよ、寝首かっ切れば良いんだもん、経と一緒に寝てたって事は殺す気は無いと思うよ。じゃあ殺す気があると過程しよう、今は信じさせて後で殺す経の推理、多分コイツは勝ち目の無い戦いはしない、昨日経が捕まえた時に逃げたのが決定的だ、本当に殺したいなら一人ずつ殺すはずだ、だろ?」


四奈は笑顔で頷く、経は何となく理解できた、四奈に殺意が無いことだけは、巴嘩は次郎と同様に全てを推理出来ていた、そして巴嘩と次郎は四奈が即戦力になることも分かっていた、四奈が一緒にいてマイナスになるのは敵の攻撃が過激になるくらいだ。


「俺は四奈ちゃんと手を組むのは賛成だよ。巴嘩ちゃんは?」


「嫌だけど、今は少しでも力が欲しい、だから………」


「経は?」


「巴嘩と次郎がそこまで言うなら………」


「やったぁ!嬉しい、ご主人様と一緒に暮らせるなんて!最高に感じる毎日になりそう」


四奈は肩を抱きながら体をクネらせた、三人は呆れ気味にそれを眺める、そして四奈は経に抱きついてキスを迫る、しかし経は四奈の顔を押し退ける。


「そういえば四奈ちゃんは何で経の事を‘ご主人様’っていうの?多分それが寝返った理由だと思うんだけど?」


「だって………、男の人に押し倒されたのは始めてだったんだもん、私Sだと思ってたけどMの血が目覚めちゃった。だから私のご主人様!」


再び経にキスを迫る、巴嘩と次郎はなんだか呆れて見てる、経はその気は無いようだが四奈は盛のついた猫みたいな状態だ、多分経が期待に応えるまでは治まらないだろう。


「頼むからご主人様は辞めてくれ、俺にそんな趣味は無いし気色悪い、経で良いよ」


「じゃあこれから愛のちぎりを、私と経様の熱い一夜を」


「経様って、それに四奈とは何もしないから………、ひぃ!?」


経の視線の先には般若が可愛く見える巴嘩がいた、多分子供くらいなら顔だけで殺せるだろう、今にも経千切りそうな勢いである、経はその時本当の‘死’っていうものを肌で感じた。


「経ちゃん、こんな子供に手を出したら犯罪だよ、いや、子供じゃなくても犯罪だよ」


「ち、違う!俺にはその気はない、な?ししし、信じてくれよ、なぁ、巴嘩!」


「私は子供じゃないわよ………」


四奈は経から離れて巴嘩元に行き耳打ちをした。


「巴嘩ちゃんのあれ、ファーストキスでしょ?」


巴嘩の顔がみるみるうちに真っ赤になって、茹で蛸のようになった、四奈は清々しい笑を浮かべてソファーに座ってテレビを付けた、経と次郎は状況を把握出来ないまま蚊帳の外。

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