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第六陣

次郎は修行を受けてる経と巴嘩、魂玉を使った全力の戦闘、寸止めという条件付きで、と言ってもあれだけの力を持った次郎相手に手加減をしていられるほど二人は強くない、それなりに粘るが最後にはやられてしまう、力の差があるのは分かっていたが、実際に戦って二人は絶望感に襲われていた。


「無理だ、次郎さん何かに勝てる訳がない、ってかこんな事やって何になるんですか?」


「そうですよ、私達の力を今更試したところで魂玉を使ったら勝てないですよ」


「勝つのが本意じゃないよ、お前らの力が見たかったんだ」


「「力?」」


ひたすら戦ってるだけだったから二人はただの実戦練習だと思ってたらしい、しかし次郎には何か他の狙いがあって魂玉での修行を行なってる。


「二人の能力を見させてもらったよ。まず巴嘩ちゃん、高等属性攻撃ばかり使ってるから気づいてないと思うけど、もう下等属性攻撃くらいなら技名破棄出来るよ、俺に樹縛じゅばくやってみな」


巴嘩は魂脈の流れを逆回転させた、そして強くイメージすると次郎の足元から木の根が出てきて次郎の体に絡みつく。


「氷人形」


根が凍って次郎が腕を広げると簡単に砕けた、巴嘩はショックよりも喜んでいた、次郎がやっていた事が自分にも出来た事が嬉しかったらしい。


「ほらな、巴嘩ちゃんに必要なのは実戦経験だけ。問題は経だよ、経は実戦経験は十分だけど魂脈の流れの操作も集中力も足りない、だからこれから俺の属性攻撃を避けてもらう」


「簡単じゃないですか、言っちゃ悪いですけど避けるだけなら次郎さんよりも上ですよ、俺は」


次郎は不適な笑を浮かべて経の半径10mの所に氷の矢が包囲した、経は甘くみていた、この詰めの甘さがいつも失敗を生んでいる事を気付かずに。


「これを避けるだけなら誰でも出来る、でも精神を研ぎ澄まして空気の流れを感じることによって無理矢理魂脈の流れの操り方をマスターしてもらう、だから目を瞑れ」


「はぃ?」


間抜けな声を出した、次郎が行った事が滅茶苦茶だったのか理解が出来ないらしい、しかし一歩天国に近づく事は分かってたらしい。


「だから、普通に避けるのはだれでも出来るよ、それじゃ意味がないから目を瞑ってこの氷を避けろ、ちなみにエンドレスだから」


「無理ですって!死にますよ、完璧ただのリンチじゃないですか!」


「黙って始める、スタート。ちなみに当たっても怪我程度だから気にするな」


「えっ!あれ?見えない」


経の目には不透明の液体で周りが見えなくなった、そして経の右肩にボクサーの重いストレートのような衝撃が走る。


「くっ!」


「避けないとホントに危ないよ、死にたくなきゃ本気だせ」


次郎のドスの効いた声で経は腹をくくった、今の衝撃と状況を考えたら‘死’というものを実感した、そして次郎は巴嘩に目をやった、巴嘩の場合は実戦あるのみ。


「木刀持ってきたからからそれで仕合ね、ちなみに敗けは無いから、倒れても木刀が折れても続けるよ、このタイマーが鳴ったら終了ね、経もだから」


返事がない、恐らく集中をしてて聞こえていないのだろう、経は当たる瞬間に反応出来るものの避ける事は出来ない。


「すみません、これを言っちゃ悪いんですけど私一回次郎さんに勝ちましたよね、それならこれはそれほど意味を生さないんじゃないんですか?」


「甘いね、これは巴嘩ちゃんの長刀なぎなた、折れないように芯を入れてるから。それでこれが俺の」


次郎が取り出した木刀は2m近くあった、次郎の魂玉を模した木刀だ。


「前回は経の木刀に合わしたから力が半分も出せなかったから、今回は本気でいくよ。じゃあ、どうぞお好きにかかってきて」


巴嘩は次郎に斬りかかるがあっさりと止められた、巴嘩が力で圧しきろうとしたが次郎は木刀をずらしたタメに巴嘩はそのまま転んだ、次郎は背中に一発いれた。


「がはっ!」


「最初だから手加減したけど、魂玉だったら確実に死んでたよ、力は時としてマイナスになることを覚えときな」


「うわぁぁぁ!」


うつ伏せで倒れてた巴嘩が次郎の足を薙払おうとするが次郎は避けようと跳び上がる、しかしスグに立ち上がった巴嘩が足を掴んで地面に叩き付ける、足を持ったまま投げ飛ばす、次郎が受け身をとった反動で起き上がると目の前には巴嘩がいた、巴嘩は片手で横から斬りつけると次郎は木刀を地面に突き立てて防御した、巴嘩はもう片方の手でボディーを殴ろうとするが相殺される、反動で二人に間合いが出来た。


「そうそう、その調子、俺を殺す気で来ないと取り返しのつかない大怪我するよ」


「お互い様。はあぁぁぁ!」


巴嘩は地面に手を差し込んでコンクリートの床を素手で剥がす、それを次郎に投げつける、次郎はそれを木刀で叩き割ると砂煙で前が見えなくなった、砂煙の中から巴嘩が出てきて左手に持った長刀で横から斬りつける、次郎がそれをまた片手で持った木刀で防ぐが巴嘩が木刀と長刀が合わさってる部分に蹴りをいれる、圧されて体制を崩した次郎に地面についた片足だけで空中回し蹴りを顔に向かって蹴るが手で止められた、そして体制を保てない巴嘩を木刀で払い飛ばす。


「なんて無茶苦茶な戦い方なんだよ、体術と混ぜるなんて、やっぱり馬鹿力の考える事は一味違うね」


「お誉めの言葉と受け取っておきます」



その後は次郎が終始圧していたが巴嘩の形にこだわらない無茶苦茶な戦い方にしばしば肝を冷やす場面もあった、経は連続25回まで避ける事が出来たが集中力が持続せずに氷をくらった、氷は自動属性攻撃で休むという事を知らない、経が倒れようが何をしようが止まる事はない、次郎がそれを命ずるまでは。


“ジリリリリ!!”


この場には不似合いなタイマーの音が廃屋に鳴り響いた、それと同時に経の周りの氷と目隠しの液体が消えた。


「二人ともお疲れ!今日はこれにて終了。巴嘩ちゃん、経と自分に樹癒じゅい使っといて、当然技名破棄でね」


巴嘩は魂脈を逆回転させイメージすると経と巴嘩を大きな葉っぱが包み込む、‘木’にしか存在しない回復系の技だ、葉っぱの中が強く光り葉っぱが枯れていく、そして中からは先ほどまでの怪我が無くなった経と巴嘩がいた、見事なまでに回復している、傷から体力にいたるまでベストの状態だ。


「地獄の特訓だ、何回天国への階段に足をかけたことか」


「まだまだだよ、もう一段階、難易度が高い修行をやって終了だから」


「俺無理!これならプライドで選手全員とゲンコで勝負したほうが100倍ましだよ」


「経ちゃん、勝つためだからしょうがないよ、勝たなきゃ死んじゃうんだよ」


経は渋々納得した、これはこの先の戦いに備えたものである事を改めて実感した。



経達は経の家に行って食事をしたあとリビングで思い思いの時間を過ごしていた、そして巴嘩が立ち上がり部屋を出ようとドアノブに手をかけた。


「巴嘩、どこいくの?」


「コンビニにデザート買いに」


「じゃあ巴嘩ちゃん、俺のタバコも買って来てくれない?ショートホープね」


「私未成年ですから買えませんよ」


「大丈夫、俺もだから」


その場に沈黙が流れる、聞こえるのはバラエティ番組で馬鹿騒ぎする若手芸人の声だけ、経と巴嘩は次郎が大人だと思い込んでいた、いつもタバコを自然に吸っているし自分達より身長が高いという理由だ。


「すいません、次郎さんって何歳ですか?」


「16歳です!高校に直すと高一かな、でも今流行りのニートね」


「「えぇぇぇ!」」


16歳というと経と巴嘩も15歳の高一だ、つまり三人はタメということになる、そして経の驚きの次の感情は怒りだ。


「はっ!?じゃあ何か、俺らが敬語使ってるのを楽しんでたのか?じ・ろ・う!」


「いやそういう訳じゃないけど、言うに言えなくて……」


「気にしなくていいよ、私達も少なからず悪いんだから、でももう敬語は使わないから」


「良いよ、別に俺もそれで優越感に浸ってた訳じゃないから」


経の怒りは治まり次はタメであった事を喜んでいる、巴嘩はそんな経を見て喜怒哀楽の起伏の激しさに呆れていた、そんな二人を後目に巴嘩はコンビニに向かった。









家の屋根の上の空間に亀裂がはいる、そしてそこから白のローブをはおってフードを深く被っていて顔が確認できない小さい女の子と思われる人が出てきた、白い女の子は屋根の上から辺りを見回す、そして一人の少女が視界に入った、その少女はコンビニに向かう巴嘩だった、そしてそれを見て白い女の子は口角を上げた。


「可愛い、あの女の子どんな鳴き方するのかな?私を感じさせてくれるのかな?ねぇ四郎はどう思う?鳴き声聞きたくない?」


『ご自由に、僕は美しい音色を奏でて頂ければそれで満足です』


「じゃあ決定!あの女の子をいっぱいいじめちゃおう!それで私をいっぱい感じさせて、頭が狂っちゃうくらいに」


『キリストよ、我々の所業をお許しください』


白い女の子は体を抱いて興奮を抑えていた、口を大きく開けてあえぐような高い声で興奮を抑えていた、そして白い女の子は屋根から飛び降り巴嘩の前に立ち興奮して流れたヨダレを拭いた、巴嘩は白い女の子の不気味な笑に背筋が凍った。

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