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第三十陣

経達は今、辺りに何もない丘の上にポツンと建っている大屋敷に呆気をとられていた、経の家の2倍以上あろうかという屋敷、1階建てなので屋敷でおさまるが、2階3階と続けば城と言われても否定は出来ない。

そしてそれ以上に目を引くのが大量の適合者、お世辞にも強そうには思えないが、下手な鉄砲数撃ちゃ当たる、これだけいれば傷くらいは負う、体力の消耗も激しい。

次郎はタバコに火を付けて紫煙を吐いた、龍奴はため息と同時に頭を掻いて、一歩前に出た。


「俺と次郎でクソ共は片付ける、すぐに追い付くから行ってろ」


「そうそう、こんなの準備運動だよ」


「なら俺も………」


「経と巴嘩は戦力だ、四奈は否が応でも行かせる、晴季は援護のタメに欠かせない。残るは俺と次郎だけ、大勢相手なら俺ら二人の方がやりやすい」


「分かった、すぐに来いよ!」


経は巴嘩達を引き連れて屋敷の中に入って行った。

二人はそれを見守ると意識を適合者達に向けた、二人は魂脈の流れを速めた。


「龍馬!魂玉段階弐式!砲散火千!」


「小次郎!魂玉段階弐式!神牙凍刃!」


二人は魂玉を開放して龍奴は右手のショットガンを脇に抱えて、右手を上げた、次郎は右手だけで刀を持って左手を上げる。


「タイムリミットは?」


「15分くらいじゃない」


「それじゃVery easyだ、10分」


「了解」


二人はハイタッチをして左右に散った。

次郎は敵の真ん中に飛び込んで、踵を軸にして一回転をして液体の刃を巻き散らす、傷口から凍って一列目の適合者が砕け散る。

しかしその後ろの適合者達が氷と化した適合者を踏み潰し、波となって襲ってくる、次郎が地面に手を当てると氷の棘が適合者を串刺しにする。


氷刺舞曲ひょうしぶきょく


次郎が地面に刀を突き刺すと地面から氷の棘が次々と出てきた、棘はもぐら叩きのように出ては消え出ては消えを繰り返す。

近距離に寄って来た者は直接斬り、中間距離にいる者は液体の刃で凍らせる、遠距離にいる者は氷の棘で串刺しにする。

しかしどれだけ圧倒的な力を見せても、怯む事なく適合者達は立ち向かってくる、それに加え何処から湧いて来るのかと聞きたくなるくらいの量。







龍奴は歩きながら距離をとってショットガンを乱射する、最前列にいる者は蜂の巣になり倒れる、しかしその後ろから溢れるように適合者がやってくる。

その時だった、後ろから適合者が龍奴に斬りかかって来た、龍奴は半身になりながら左手のショットガンの銃身で適合者を殴った、銃身は当たった瞬間に爆発をして適合者はバラバラになる、手薄になった右側からは上段に構えた適合者が走ってきてる、龍奴は手首を少し上げて顔を撃ち抜く、がら空きになった後方から来た適合者は顔面に回し蹴りをいれた、クリーンヒットと同時に足は爆発して顔が無くなる。


「雨火散々(うひさんざん)」


龍奴が地面にショットガンを突き刺して引金を引くと地面から弾が出てきた、そのまま龍奴が連射すると適合者に当たり、体はバラバラになり地面に転がってるのは死体ではなく肉塊、まさに地獄絵図そのものだ。

しかし龍奴はその肉塊を見て顔色が変わった、一歩後退して次郎の方を見て確信した。


「次郎!」


「分かってる!」


龍奴が次郎を呼ぶと、次郎は龍奴と近寄り背中合わせになりながら二人は遠距離攻撃を放ち続ける。


「これはヤバすぎるぞ!」


「そうだね、コイツら……」


「「取り付かれてる」」


次郎と龍奴はどれだけ殺しても生き返る、次郎はこのような奴と戦った事がある、その時は経がいたから勝てたが、今はいない。


「どうする!?」


「コイツら細胞単位で殺さないと生き返る、だから動けなくするくらいしか出来ない」


「次郎は出来るか?」


「俺のはもって一時間だ、時間が足りなすぎる」


「俺は一体ずつなら出来るけど、これだけの人数はキツイな」


「ってか何でこんなに取り付かれてるんだよ!?」


「王には魂を無理矢理魂玉に変える力があるって聞いた事がある、多分このために作った傭兵だろ」


龍奴と次郎の額には汗がにじんできた、しかしいきなり適合者達は遠ざかって行った、丘をぐるりと囲むように並び止まる。

次郎と龍奴は理解出来ずに周りを見回してると空間に亀裂がはいる、中からは3人の男だ出てきた。


「おい龍奴君、策士策に溺れるとはこの事だな」


「ココまで計算が狂うと泣きたくなるな」


龍奴と次郎の前に現れたのは勇治達だ、一対一でも勝てないのに三対二なのど自殺行為に等しい。

歳那は周りを見渡して巴嘩がいないことにあからさまにショックを受けた、勇治は殺気を放ち臨戦体制っていった感じだ、総羅に至っては地面に座って放棄しはじめた。


「何だ、二人だけか!?」


「そうだよ、だから逃してくれないかな?」


「無理ですね、巴嘩さんを呼べば考えても良いですが」


「クソが、新手のリンチだろ」


「経がいない。勇治、僕は経を捜すから勇治と歳那で相手してて」


「それは名案ですね、私も巴嘩さんを捜しに行って来ます」






「それはさせないよ」


歳那と総羅の前に信侍と謙恋が立ち塞がる、勇治達は驚きを隠せないようだが、更に驚きを隠せないのが次郎と龍奴だ、あれだけ行かないと言い張ってた二人が助けにきている。


「どいてよ、邪魔」


「それは無理だ、息子にはやらなきゃいけない事がある、それを邪魔するなら僕が君を殺すよ、総羅君」


「これはこれは、また美しい人が、私はこれで満足です」


「あらあら、美しいだなんて、お世辞でも嬉しいわ」


龍奴と次郎は今の光景に呆気をとられていた、ただしこのままでいくと自分達が四聖獣を相手にしなければいけなくなる。


「何でココにいるんだよ、あんたら逃げたんじゃないのかよ?」


「それは君達の甘えを無くすためだ、最初から見捨てるわけないだろ」


「ねぇ勇治、このおじさん退けて、僕は経を捜す」


「総羅、超大物が連れたぞ、そいつは風林火山の信侍だ、メチャクチャ強いぞ」


「ホントに!おじさん強いの!?」


「少なくともこの中で一番だな」


総羅は無邪気に飛び跳ねて喜んでいる、それを見て龍奴と次郎は本格的に四聖獣が見えてきた、今このまま逃げたい思いでいっぱいだった。


「謙恋さん、四聖獣対決ってのはどうですか?」


「白虎さんですかぁ」


「駄目ですよ、貴方は私の相手です」


龍奴と次郎は重いため息をついた、そして二人で聞こえないように逃げる算段を考えている。

しかし背を向けてしゃがんでる二人の間に勇治が割り込み、肩を組んで顔を出した。


「どうした?二人でも良いぞ」


「わわ!何だよテメェ」


「いやぁ、総羅も歳も消えちまったから暇でさぁ」


龍奴と次郎が後ろを向くと既に誰もいなかった、龍奴は頭を抱えてうなだれる、次郎はタバコの火を消して、新しいタバコに火を付けてため息混じりの紫煙を吐いた。


「龍奴君、どうする?」


「早くしなを助けに行きたいんだよな」


「お、お前四奈の男か!?」


「それは俺も初耳だよ」


「否定はしねぇよ」


「四奈にもやっと男が出来たのか、あのガキも女になったんだな」


「龍奴君、祝いの一服する?」


「俺はタバコはやらねぇ」


「あんたはどうする?」


「じゃあ一本だけ」


勇治は次郎からタバコを受け取り火を付けて貰った、一気に吸い込み一気に紫煙を吐いた、………………。


「「「って、おい!!」」」


3人は一気に間合いをとった、一瞬場が和み過ぎてお互いの関係を完全に忘れていた。

しかし何故か3人とも笑っている。


「何か戦いたくねぇな」


「しょうがねぇだろ、俺らは敵だ」


「3人共生きてたら飲みに行こうよ…………」


「「「3人共生きてたらな」」」










ついにラストスパートです、これからは殆どの話にアクションシーンが入ると思うので、作者自身かなりの消耗作業です。最後まで読んで頂けたら光栄です、コメントなどもいただけるとありがたいです。

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