第十八陣
次郎と晴季は朝焼けの中を手を繋いで歩いていた、二人の笑顔は太陽よりも眩しい。
次郎は豪邸の前で立ち止まり扉を開けようとした、しかし鍵が掛っていたのでポケットから鍵を取り出して鍵を開ける、そのまま扉を開けると眠そうな顔で歯を磨いてる経が立っていた。
「ただいま」
「………………」
経はフリーズしたまま動かない、そして階段から四奈がボサボサの頭で降りて来た、四奈は次郎と晴季を見ると自分の目を擦る。
「えぇぇぇぇ!?」
四奈の悲鳴と共にキッチンで朝食を作っていた巴嘩と二日酔いでフラフラの龍奴が集まった、巴嘩は持っていたおたまを落とし、龍奴は目が覚めたらしい、その間次郎と晴季は苦笑いを浮かべフリーズしている。
「じ、次郎?」
「今度からはお忍びで頼むよ、俺んちはホテルじゃないんだから」
「おい次郎、頼むから朝帰りのお持ち帰りを爽やかにこなすな、まぁお陰でクソ二日酔いも吹っ飛んだけど」
「次郎君やるぅ〜」
次郎と晴季は顔を見合わせた、その後自分達の手に目をやり再びお互いに目を戻す、顔を真っ赤にして慌てて手を離した、晴季はそのままそっぽを向いてる。
「ち、違うんだよ!」
「じゃあ説明してもらおうか?この女の子が俺んちにいる理由と朝帰りの理由」
次郎たちはリビングにあがり次郎は龍奴を帰した後の行動をことこまかに説明した、巴嘩は朝食を作り経は歯ブラシをくわえたまま、四奈は晴季の顔を覗きこんでいる。
「……………という事だよ、分かっただろ?それと四奈ちゃん、晴季ちゃんの顔を覗き込むの辞めてあげな、嫌がってるだろ」
「だってこのタトゥー、可愛いんだもん」
巴嘩以外は晴季の顔を覗き込んだ、晴季は顔を真っ赤にしてうつ向こうとしたが龍奴に頭を押されて下を向けないでいる。
「確かにタトゥーがあるな、クソスゲェ」
「はーふぉは(ハートか)」
「経ちゃん、口ゆすいできて、はしたないよ」
「はーい」
経は頭を掻きながら口を濯ぎにリビングを出た、龍奴は晴季の頭から手を離して背持たれに持たれて腕を組んだ。
「次郎、俺らが何でココに集まってる目的は説明してないだろ?」
「あっ」
「やっぱりな、そういうところがクソみたいに抜けてるんだよな」
「次郎さん、目的って?」
晴季は次郎の顔を不安そうな顔で見る、次郎は虫の悪そうな顔をして頭を掻いた。
「晴季、俺らがココにいるのはお前の兄貴をダメにした俺のクソ兄貴を殺すためだ、ワイワイチームじゃねぇぞ、ココにいる奴らはふざけた奴らでも命を賭けてる、ココにいるってことは必然的にこの戦いに巻き込まれるぞ、お前はその戦いに命賭けるきになれるか?」
晴季は次郎の顔を見ながら考えている、次郎は晴季の真剣な顔初めて見た。
「私戦います、兄のタメに、次郎さんを守るタメに」
「死ぬかもしれないんだぞ?」
「晴季ちゃん、住む所ならどうにでもなる、無理しなくても良いんだよ?」
晴季は次郎を睨むように見た、その目は決意に満ちていて次郎は何を言っても聞かない事が分かった、次郎そのまま笑ってみせた。
「これは私の意志です」
「ししし、なら反対出来ないな、でも命を賭けるのと命を捨てるのは違うから、絶対死なないでよ」
次郎が晴季の頭を撫でてると経が眠気のとれた顔で入って来た、経は静かな部屋にいる次郎と晴季を見て笑ってる。
「おいおい朝だぞ、朝は四奈でもサバサバしてるのに。巴嘩、ご飯まだ?」
「このクソ経が!」
「空気の読めない経ちゃんに上げるご飯はないわよ」
「何だよみんな、何か冷たくない?四奈もそう思うだろ?」
「経さま、いくら私でも今の状況で経さまに加担は出来ないよ」
孤独感にさいなまれている経を無視して次郎と晴季は二人の世界に入っている、巴嘩は淡々とテーブルに食べ物を並べてる。
食べ終るといつものように男達が食器の片付けをしている、これは暗黙の了解でこうなった、女性陣はこの時間は朝シャンだ、経の家の風呂は軽い銭湯なので仮に全員で入ってもお釣りがくる。
「晴季ちゃん、巴嘩ちゃんと私はお風呂に入るけど巴嘩ちゃんも入るよね?」
「すみません何から何まで、でも…………」
「下着なら大丈夫よ、私のがあるから」
「ならお言葉に甘えて!」
風呂は大きな窓がある、庭には露天風呂がありとても一軒家の風呂とは思えない、塀が高いのでとても人間が登れるような塀ではない、3人は一通り洗って露天風呂に行った、今日は土曜日だからゆっくり入れる。
「二人とも胸が大きくて良いですね」
「私は体が小さいからそう見えるだけだよ、巴嘩ちゃん天然だけどね」
「晴季、そんなに近くで見ないでよ、息があたる」
晴季は鼻が当たりそうな距離で巴嘩の胸を見る、そしていきなり巴嘩の胸を掴んだ。
「ヒャッ!な、何?」
「はぁ〜」
晴季はため息をついて手を離した、そんな晴季を二人はビックリした目で見ている、晴季は自分の胸に触って再びため息をついた。
「晴季ちゃん、どうしたの?」
「私やっぱり小さすぎですよね?」
「大きくは無いよね」
「悩みなんですよね、ブラとかもいらないし」
ダークサイドに入った晴季を誰も連れ帰る事は出来ずに風呂を出た、体を拭いて晴季はズボンを履いて上はタオルを巻いたまま脱衣所を出ようとした。
「晴季、シャツもあるよ」
「私大きいシャツしか着ないの」
「何で?晴季ちゃん更に胸が小さいのが目立っちゃわない?」
四奈の一言に再びダークサイドにはいった、しかし今回は早めに立ち直って笑った。
「兄のお下がりを着ていたら普通の服に戻れなくなって、普通の女の子の服だと落ち着かないんですよね」
「なら次郎に借りてくるよ」
巴嘩が戻って来ると手には何枚かのシャツを持ってきて晴季の前に広げた、晴季は一枚を来てみると当然ブカブカだ、しかし晴季は笑顔でそれを来ている。
「ありがとうございます」
「今度は下着も買いに行こうね、シャツは次郎の使えば良いけど他は買わないとね」
「でもお金が……………」
「この家の特権は経さまのお金を使い放題って事だよ、遠慮したらそんだからね」
「……………はい」
三人が風呂から上がると龍奴はリビングでテレビを、経は屋上でひなたぼっこ、次郎は部屋で雑誌を読んでいる、四奈は龍奴の隣に行って無理矢理チャンネルを変えた、巴嘩は洗濯物を干しに屋上に、晴季は次郎の部屋に入った。
「次郎さん、服ありがとうございます」
晴季は部屋に入って思いっきりお辞儀をした、次郎は笑いながら自分の部屋の冷蔵庫からペットボトルを出して晴季に投げ渡す、晴季はお手玉しながらそれをキャッチした。
「あ、ありがとうございます」
「晴季ちゃんの部屋は俺の部屋の向かい側だから、いつでも俺の部屋に入って来て良いよ」
「はい。でもそんなに頻繁に出入りしたらみんなに変に思われたりしませんか?」
「それは大丈夫、四奈ちゃんは経に夜這いとかかけてるし、巴嘩ちゃんは雷とか地震とか来ると経と添い寝してるし、なんなら晴季ちゃんも一緒に寝る?」
次郎が布団を叩くと晴季は顔を真っ赤にしたままペットボトルをくわえている、次郎は冗談と言いながら腹を抱えながら笑っている、しかし………………。
「「!!!!」」
龍奴は見てるチャンネルを変えられて若干不機嫌になりながら新聞を読んでいる、四奈は朝のアニメを拳を振り上げながら見てる。
「おい四奈、もうガキじゃねぇんだからそんなクソアニメばっか見てんじゃねぇよ」
「良いの!それに龍奴もニュースとか新聞ばっか、爺くさい」
龍奴は青筋をたてて新聞の握っている所クシャクシャにした、しかし無邪気にテレビを見てる四奈を見て龍奴の怒りは薄れた。
「そういえば龍奴って何歳?」
「俺か?俺は19」
「一番年上か、一番だらしないのに」
「うるせぇ、一番ガキに言われたくないね………」
「「!!!!」」
いつものように屋上で寝ている経の上に洗濯籠がのしかかってきた。
「ゴホッ!」
「経ちゃん手伝って」
「やだ」
「経ちゃんも干すわよ」
経は無言で洗濯物を干し始めた、それを見て笑顔で隣で干している、空は快晴で青く澄みわたっていて経はたまに手が止まる、それを見ると巴嘩が経の頬をつねって起こす。
「脳を揺らして起こしても良いんだよ?」
「起きます、起きました、頼むから暴力は辞めてくれ、只でさえ巴嘩は力が強いんだから」
「黙ってやる、終わったら寝て良いから」
二人は無言で洗濯物を干し続けた、巴嘩は黙々と洗濯物を干す経の横顔を見ていたら手が止まっていた、経と目が合うと慌てて目を反らして手を動かしている、経は首を傾げながら手を動かした、しかし一瞬で二人の手が止まる。
「巴嘩!?」
「玄関の前だね」
「適合者が二人、かなり強いな。飛ぶぞ!」
経と巴嘩は屋上から飛び下りた。
次郎と晴季は廊下を出た突き当たりの窓から飛び下りる。
龍奴と四奈は四奈が玄関のドアを開けてその上を飛び越えて龍奴が外に出た。
全員途中で魂玉を解放して四奈は檻を作り適合者二人を包囲して他の球体は槍となり包囲している、龍奴は玄関を出た所で二人に銃口を向けている、巴嘩は左、次郎は右から切っ先を向け、経は二人の後頭部に切っ先を向けている、晴季は上空から鷹に乗り呪符を構えた、六人は謎の適合者二人を完全に包囲した、最初に口を開いたのは経だ。
「…………お父さん?お母さん?」
「おじさんにおばさん」
「「「「え?」」」」
四人は気が抜けて魂玉を戻した、そこには20代後半くらいの男女が立っている。
男の方はスーツを来て髪の毛をオールバックにしてる、いうならば若社長のような感じだ。
女の方は一言で言うとセレブだ、おしとやかな感じの笑顔に髪の毛はウェーブがかかっている、水色のドレスが空のように見える。
「経と巴嘩ちゃんか、それにどちら様?」
「経さんにもお友達が増えましたね、少々物騒ですが」
「いやそれより、お父さんとお母さんって適合者だったのかよ?」
「旅から帰って来たんだ、一先ず休ましてくれ」
二人はマイペースに家に入り紅茶を入れてソファーに座った、六人は食卓の椅子に座ってる、全員今の状況が理解出来ていない。
「経と巴嘩ちゃんが適合者に成ってたとはな。それに経」
経のお父さんは背中を向けていたが振り返った、顔はかなり真剣である、六人は息を呑み経のお父さんを見た。
「女の子がみんな可愛いじゃないか」
真剣な顔のまま言った、次郎は苦笑いを浮かべ、龍奴はため息をついて持たれた、四奈は喜び、晴季は顔を真っ赤にしてうつ向いた。
「信侍さん、小さな女の子にも色目を遣わないで下さい」
「謙恋ちゃんが一番、だからすねなるな」
二人のやりとりに半ば飽きて来た経達は帰ろうとしていた、しかし龍奴が口を開いた事によって一瞬にして緊張に包まれる。
「二人とも俺らが何でココにいるか聞かないんですか?特に四奈なんかは」
四奈以外は龍奴の顔を見る、不思議そうな顔、理解出来ない顔、不安な顔、様々だ。
「確かに、ココに四奈がいたのは計算外だ、しかし龍奴君、君といるって事は少なくとも信じるに値するだろう」
「で、息子の危険を察知して飛んで帰って来たんですか?」
「ちょ、ちょっと待てよ!何でお父さんが龍奴と四奈の事知ってるんだよ?」
「風林火山の信侍、朱雀の謙恋といえばクソ信征を調べた奴らなら一度は出てくる名前だ、最強の適合者だよ」
「良く調べてるようだね、さすが僕達と同業なだけあるようだな」
経は驚いていた、自分の親達が最強の適合者、しかも龍奴と同業ということは信征を追っているということ。
「疾風の経、剛腕の巴嘩、長き氷の次郎、聖拷問の四奈、ツインハンドの龍奴、異端退治の晴季、みんな信征を調べてる間に出てきた名前だ、二つ名があるって事はそれだけ危険度が増すって事だ、これからは僕が調べた事を教えようと思う」