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第十六陣

総羅は経を連れて歩いていた、今の総羅に殺気はなく経はそれに不安すら感じていた、警戒しながら後ろについていく経を後目に総羅はスキップをしている、総羅が歩いた後には刀を引きずった跡がずっと残っている。


「おい、いつまで歩いてるつもりだよ?戦わないんなら他の奴らの加勢に行きたいんだけど」


「ダメ、君は僕と戦うの、ここら辺は木が多いから後でめんどくさい」


総羅はなおも歩き続ける、そして何も無い拓けた所に来ると立ち止まって経の方に振り返った、その瞬間に強い殺気を放つ、総羅の顔色は何一つ変わらないがその殺気と魂脈の速さはかなりのものだ。


「やっとヤル気になった?」


「僕強いよ、怖かったら逃げな、あの二人と違って手加減はしない、相手の力量を測る気もない、強ければそれで良い」


「残念だな、お前が楽しむ暇もなく殺してやるよ、俺は女子供でも容赦はしないからな」


経が右手の刀を肩に置いて爪先で地面を叩いてると総羅が飛び込んで来た、経は右足を総羅の顔に突き出すが総羅は身を屈めて避ける、総羅は経の左足を斬ろうとするが経の左足は弧を描いて総羅の顎を捕える、総羅は吹っ飛び経はバック宙をして再び同じ体制に戻った、経は起き上がった総羅の顔を蹴り飛ばす、しかし今度は総羅も受け身をとるがそこには経の姿は無かった、気付いた時には背中に強い衝撃が走り体が飛んでいた。


「お前弱いな、それで楽しませろだ?それはこっちのセリフだっつぅの」


総羅は体の埃を叩きながら立ち上がった、その顔に笑顔は消えて怒りが滲出ている。


「君ホントにムカつくね、少し僕が油断したから調子のっちゃって、もう許さない」


「お前まだ気付いてないの?さっきから魂玉で攻撃してないんだけど、それに最初以外は魂玉すら持ってないし、まともに着いてる足は左足だけ、10%も力を出してないから、魂玉で攻撃してたらお前は今頃サイコロステーキになってるな。…………分かったらアンクル外せよ、人をなめ腐るのもいい加減にしろ」


経が低い声で総羅を威嚇すると総羅は高い声で笑い始めた、経は怒りにも似た感情が沸き上がってきた。


「なんだ、気付いてたんだ、何時頃から?最初に蹴った時?」


「俺をナメるな、お前が歩いてる時からだ、スキップしてる時に体が重かった、蹴った時の感覚からいって20kgは着けてるだろ?」


「残念だね、25kgだよ」


総羅が体に着いているアンクルを外していく、全て外し終わった時には体が一回り細くなっていた、そして最後に靴を脱いで裸足になる。


「別に靴に重りは着いてないだろ?」


「うるさいな、僕がそうしたいんだから良いだろ。それより、君魂玉持って無いね、今の僕の攻撃はさっきの攻撃とは比にならないスピードだよ、手加減を知らないって言ったよね?」


総羅が経に向かって走って来る、総羅の斬撃を全て避けるが全てがギリギリだ、経の顔色は全く変わらずに避け続ける、総羅は素早く突くと何故かあるはずの無い魂玉によって防がれた、総羅は慌てて間合いをとり今まで経の魂玉が刺さってた所を見る、しかしそこには何も無かった。


「いつとったの?戻した訳じゃないよね?」


経は微笑んで左手に握っていた魂玉を遠くに投げる、そして地面につく瞬間に経の左手めがけて魂玉が飛んできた、総羅はそれを不思議な顔でそれを眺める。


「まだ気付かないのか?」


経は刀身同士を合わせて左手を魂玉から離す、そうすると魂玉はぶら下がったまま離れない。


「魂玉を磁石にしただけだよ、これくらいなら簡単に出来るものでね」


「……………フフ、君、今のでまた僕が強くなっちゃったよ、馬鹿だね、わざわざ手の内を見せる事無かったのに」


総羅は体を左右に揺らし始めた、そして不規則な動きで経に向かって走って来る、総羅は体ごと下段から切り上げる、経はそれを右手の魂玉で受け太刀した瞬間に爆発して弾かれた、右手は大きな弧を描いて一回転する、総羅は後ろまで向くと振り向きざまの遠心力を使って経を突く、経は左手の魂玉で防ぐが魂玉もろとも爆発により吹き飛ばされた、何とか踏ん張って5m程で済んだ、経は痺れる手に何とか力を入れる。


「確かにヤバいな、でも俺もひらめいちゃった」


「あっそ、別に死ぬんだから何をひらめいても意味がない、それともカッコイイ死にかたでもひらめいたの?」


「それは開けてからのお楽しみ」


経は総羅に斬りかかる、総羅も体全体を使って経を薙払おうとした、魂玉が当たる寸前に経の斬撃のスピードが格段にあがった、そして二人の魂玉が当たると凄まじい爆発と共に地面がえぐれる、砂塵の中からは魂玉をあわした二人が立っていた、総羅はそのまま不思議そうな顔をして経の顔を覗きこむ。


「何したの?」


「お前の魂玉も一応は鉄だ、俺の魂玉を強力な磁石にして斬撃のスピードを上げただけ、それに今のお前に魂玉を振ることはおろかこの状態から動かす事も出来ない」


総羅がいくら魂玉を動かしても経の魂玉から離れる気配がない、経は左手の魂玉を大きくふりかぶった。


「これで終りだ、受け太刀は出来ないだろ、魂玉を戻しても開放する前に俺がお前をぶったぎる」


「甘いよ」


経が振り抜くと魂玉は空を斬った、そこに人影はなく10mほど離れた所に総羅が立っている、経は試しに魂玉同士を近付けると磁力は十分に残っていた。


「お前何した?」


「磁石って熱に弱いらしいよ、さっきから僕の魂玉を温めていったら磁力が弱まった事に気付いたんだ、だから一気に温度を上げたら取れちゃった」


「それは初耳だな、今後の参考にしておくよ」


経と総羅は再び斬り合う、お互いの魂玉が当たるごとに大きな爆発が起こる、本来ならばお互いにスピード系なために素早いだけの戦いになるハズだ、しかし今の戦いは素早く豪快、今の攻撃では五分の戦い、どちらが相手の裏をかくかで勝負は決まる、先にそれを仕掛けたのは総羅だった、総羅が素早い蹴りを入れると経は肘で受け止めた、しかし総羅の足は爆発して経はそれをモロにくらう、経思いっきり吹っ飛び砂埃を上げながら止まった。


「僕も生身だから本気はだせなかったから死んじゃいないよね?」


「何だよ、バレてたんだ」


土煙の中から経の声がすると土煙が一瞬にして晴れた、中からは埃まみれの経が出てきて風で体に付いた埃を落とす、経は魂玉を戻すと一気に魂脈の流れを速める、経の周りには風が吹き荒れ砂塵を巻きあげる、体を光が周り始めて経が右手を横に突き上げるとそこに光が止まった、そして右手を同じよう開くと弧を描いたまま左手に移動した。


「義経!魂玉段階弐式、疾鎖双狗!」


経の手には鎖で繋がれた二振りの刀が握られていた、それを見て総羅は笑って魂玉を戻した、総羅の魂脈の流れも速まる、足下は燃え始めて辺りは熱気に包まれた、総羅は右手を開くと炎に包まれた。


「総司!魂玉段階弐式、三影蜃鵡さんえいしんぶ!」


総羅の手には湾曲していない真っ直ぐな刀が握られていた、総羅はそのまま経に上段から斬りかかってきた、経ギリギリで受け太刀したハズだった、しかし何故か肩に刀傷がある、総羅は体を後ろに向けて突いて来るが経はあっさりと其を防ぐが腹に何かが刺さった、経はとっさに間合いを広げて傷口を見る。


「何でだよ、俺はちゃんと防いだハズ、………………!?」


「気付いた頃には死んでるよ」


総羅が横薙に斬りかかってきた、経はそれを普通より早く受け太刀する、総羅の魂玉は経の魂玉に当たる前に止まった。


「ビンゴ!」


総羅が強い風を起こすとそこからもう一つの刀身が現れた、今まで経が見ていた刀身の下に平行してついている、上の刀身よりも長い。


「熱で光を曲げてこれを隠してたわけか、でもカラクリが見えちゃったら意味がないな」


「別にバレるの前提だし、これくらいでいい気になられたら困るよ」


「いちいちお前は釈に障る事ばっか言いやがって!」


経は左手の魂玉を総羅に投げつけるが総羅はあっさりそれを弾いた、経は引き戻して手元に来る前に右手の魂玉を投げる、それも弾かれ自分が踏み出すと同時に魂玉が手に戻る、総羅は右半身を引いて左手を切っ先に添える、そして経に素早い突きを放つ、経の目には刀は三振りに見えた。


「甘いんだよ!」



経は刀身が揺らいでいない一振りを受け太刀した、しかし他の二振りが経のを突き刺した。


「ブハッ!」


「甘いのは君だよ、こんなフェイクに引っかかるなんて」


経の体からはとめどなく血が流れ出している、しかし経は顔色一つ変えずに立ち続けている、経は血が流れ続ける体と感じさせないくらいに軽々と構える、やせ我慢等をしてる様にも見えない。


「何で大丈夫?傷は深いハズなんだけどな」


「カラクリ試してみるか?」


経は総羅の視界から消えた、そして次に現れた時には総羅の後ろにいて総羅の首筋に触れて再び元の場所に戻っていた、その瞬間総羅が腕を押さえてその場に倒れてもがき始めた。


「うわぁぁぁぁ!痛ぁぁぁぁぁい!痛い、痛いよぉ」


総羅は傷も何も無い腕を押さえて叫びだした、経はそれを笑いながら見ているが自分の体がだんだんと重くなっていくのは感じていた。


「ちょいと神経系をいじった、人間ってのは電気信号で動いてるからな、五感も然りだ。今の俺は痛みの信号を完全にシャットダウンしてる、お前の場合は痛みの信号を強くしただけだよ」


「痛いよぉ、お願い!助けてぇ」


「暫くすれば痛みは消える、生きてればの話だけどな」


経は総羅のもとに行って喉元に魂玉を突き付けた、大きく引いて再び突き刺そうとした時に傷口の所に衝撃が走った、経が総羅に目をやるとそこには信征が立っていた、信征は総羅を掴んでそのまま亀裂に投げ入れると経に近寄る、経は痛みを感じ無くても体の自由が利かなくなってきた。


「今は殺さない、だが、いつかは俺の手でお前を殺す、それまで誰にも殺されるな」


信征は経に話しかけながら経の傷口を蹴り続けた、傷口からは更に流血が酷くなり意識が遠退いていくのを感じた、血が無くなり体の筋肉に力が行き渡らない、脳にも血が行かずに痛覚以外もにぶっている。


「……はっ、………ココで、死ぬかも、な……………」


「そうだとしたら私の見込み違いだ、次に会う時は墓石になって無いように頑張るんだな」


信征はそのまま亀裂に入って行った、経は重い瞼を必死に開けて信征が去るのを見届けると安堵で目が閉じた。


「……頑張、れ…って………無……理」


経は力無くその場にうつ伏せに倒れた、最後まで残っていた聴覚も無くなって経は無の世界への扉を叩いてる、しかし何故か体の感覚がみるみるうちに戻って来た。


「………さま、………いさま……………経さま!」


経が目を開くと白い球体に包まれていた、体の五感は完全に戻り何とか体を起こせるようになった。


「………………四奈?」


「経さま!後少しで完了しますからちょっと待っててください!」


「悪い、ありがとうな、四奈」


経は手を伸ばして四奈の頭を撫でた、四奈は目を瞑って回復を続行している。

後ろの方から先に治療が終わった巴嘩と次郎が来た、次郎はその場でタバコに火を付けて煙を吐く、くわえ煙草をしながら経を見た。


「経も負けたんだ、今回はみんな完敗だったな」


「馬鹿、俺は殺す直前に…………、アイツ誰だ?」


経は自分の記憶の扉を開けてたどり着いた先には見知らぬ銀髪の男がいた、相手は経の事を知ってるが経は相手の事は全く知らなかった。


「多分クソ信征だな」


腕を組んで四奈の後ろに立っていた龍奴が言った、龍奴は頭を掻きながらしゃがんで座っている経に目線をあわせる。


「信征?アイツがか?」


「あぁ、巴嘩も見たんだろ?」


「うん、歳那が言ってたから間違い無いよ。それに信征は‘アイツらが来た’って言ってた。龍奴、心当たりはある?」


龍奴は空を見ながら爪を噛む、考える時に爪を噛むのは龍奴のクセだ、最後にバチンと大きな音を立てる。


「知らねぇ、まぁ間接的だけどお前らはそいつに助けられたんだな、会ったらクソみたいに礼を言わねぇとな」


「で、四奈、頼むから退いてくれない」


「私は命の恩人ですよ、これくらいはやってもらわないと困ります」


経の一声で全員が経を見るとあぐらをかいてる経の足の上に四奈が座ってた、ピッタリと経に寄り添ってる四奈を見て巴嘩は拳を振り上げる、そして経の隣に拳が刺さる。


「経ちゃん、どさくさに紛れて何してるの?」


「巴嘩!誤解だって、四奈が無理矢理座ってきたんだよ」


「経さま、私が嫌いなの?経さまに嫌われるくらいなら私死んだ方がマシ」


「次郎、コイツらほっといて反省会開くぞ」


「おっ、じゃあ今日は芋焼酎で」


龍奴と次郎はその場から去った、経は四奈をなだめながら巴嘩の拳を避けている、巴嘩の拳に経は先程以上に死を感じていた。

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