幸せに
「結婚することになったんだ」
そう、聞いて内心はホッとしていたのかもしれない。
「おめでとう」
私はそう、彼に言った。
彼の結婚相手は私の親友。
私はずっと、彼が好きだったのにと。
でも彼からしたら私は幼馴染であり、悪友でもあり、兄妹みたいな存在。
それ以上でも、それ以下でもない。
親友からも
「私、彼と結婚することになったの。だから結婚式には必ず来て欲しいの」
そう言われ、私は断る理由はなかった。
胸が苦しかった。
好きな人を、横から取られたみたいで。
でも言えなかった。
彼を…親友を困らせたくなかった。
だから、結婚すると聞いてからは泣いてばかりで空元気な毎日。
苦しくて、胸が張り裂けそうで…言葉にならないくらいの痛み。
それでも親友は
「私ね、一番に貴方に報告したかったの!」
無弱に笑う彼女。私には、眩しくて…その言葉がどれだけ残酷なことなのか。
「だから、貴方におめでとうって言われて凄く嬉しかった。私、幸せになるね?」
そう言って、数週間後に彼と親友は挙式を上げた。
彼女はとても綺麗な白いドレスに纏われて、今までで一番綺麗だった。
大好きな彼の結婚式。
大好きな親友の最高の晴れ舞台。
私は、この想いを秘めたまま大好きな人たちを祝福しよう。