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序章:過労死、そして転生――

なぜ私はいつもそんなに運が悪いのでしょうか。


人は不満なことがあると、誰でもそう思います。私自身もその一人です。


どうしてこうなってしまったのか、自分でもよくわかりません。


たとえば、今の私のように……


青春を楽しむべき20歳の私。容姿は目立って美人というほどではありませんが、ひどく悪いわけでもなく、ごく普通、平凡なレベルです。


毎日、濃い隈ができてはいますが……


そんな私には当然友達もおらず、彼氏など贅沢すぎる夢です。


今時のイケメンたちは、活発でルックスも良く、性格にも面白みのある“ハイクオリティ”な女性が好きでしょう。私のような、まるでゴキブリのように忌避され、臭くて汚れた性格の悪い女には誰も関心を持たないはずです。


私のような人間は、湿っぽい家にひっそりと閉じこもり、女性としての幸せさえ味わうことなく、ひとりで腐っていくのがふさわしいのかもしれません。


孤独死ってそういうことでしょう……


ふふ、案外私に似合っているのかもね。


「私……努力したこともあったのよ……」


そう、この街に来たばかりの頃の私はこんなではありませんでした。


あの時は期待と希望に胸を膨らませ、故郷を離れて外国にいても努力すれば何かを成し遂げられると思っていました。


有名になれなくても、自分の好きなことを追いかけて何かを成し遂げられる――


[皆さん、こんにちは!私は小和春、みんなには“小春”と呼んでくださいね!よろしくお願いします!!]

[なるほど、そういうことなのですね……もっと頑張ります!]

[全部私に任せてください、先輩。]

[はい!頑張ります!]


全ては自分の衝動的な行動、根拠のない自信と慢心が原因で、さんざん苦労させられ、両親のアドバイスも聞かず大喧嘩までしてしまいました。


結局、1年も持たずにこんなに落ちぶれてしまったのです。


努力すれば必ず報われるわけではない、そのことを私はやっと理解しました。ただ、遅すぎました……


今の私はアパートにひっそりと住み、それほど良いとは言えないボロボロの生活を送っています。


現状に満足しているかと言えば、もちろん満足などしていません。人間とはそういう欲望の塊のような生き物です。しかし自分には現状を変える力がなく、変える気もありません。


学校にも行かず、仕事も辞めました。


手元には最後の予算だけが残され、その日々をやり過ごしています。この息苦しい生活の中で、いつ死んでもおかしくはないでしょう、それは当然です。


でも。こんなに落ちぶれていても、最後に卒業論文を仕上げるために過労しながら努力はしていました。もう学校に戻らなくても。


この世を去る前にこれを終えないと耐えられない、矛盾していますが、これが私です。


「少しお腹が空いた、少し食べよう……」


「論文はまた後で頑張ろう……」


立ち上がり、疲れた顔をして机から離れました。


何か食べないといけない……さもないと、体が持ちません。体にはすでに多くの小さなトラブルが出始めていました。


自分の体が不健康を警告していると知りながらも、それに注意を払わず、改善もしません。


もう諦めてしまったからです。


もし来生があるなら……また頑張ってみようかな、まぁ無理な話だけど。


「冷蔵庫には……」


「うーん、コンプレッションクッキーしかないのか……仕方ない、我慢するか……」


「次は買い物に出かけないと。」


そう言いながら、固いコンプレッションクッキーをかじりながらパソコンを開きました。


最近人気のアニメを探して気晴らししようかと思ったのです……


深夜にパソコンを見るのは一般的には自殺行為でしょう? でも止まりません。身についた悪い習慣のせいで自制心がなく、そうでなければ今の私にはなっていなかったでしょう。


今の自分が嫌いです。


「異世界かぁ……」


「いいなぁ……自由気ままな生活、努力すれば必ず報われる世界……」


最近ヒットしている異世界アニメをクリックすると、主人公が西洋ファンタジーの異世界を冒険する物語。様々な人々との出会い・交流、友情の絆、そして恋愛も芽生えます。


そんなストーリーです。


私はずっとこういう作品が好きで、主人公たちが羨ましいと思っていました。だからこそ、ここまで続けてこれたのかもしれません。


異世界ファンタジーは私の救いです。


「ただの幻想だけどね……」


「少し眠い。今日はいつもより早いかも……」


見ている途中で急に眠気を感じました。これは普通のことで、慌てる必要はありません。時々こうして見ているうちに寝てしまいます。


今回はいつもより早く、強く眠くなっただけです。


今夜が過ぎ、明日目が覚めたらまた昨日と同じく繰り返されるダメな日常でしょう……


何も変わらない。


「いや、ダメ、眠い……」


「今日はもうこのくらいにしよう。明日は……」


「買い物に行かないと……出かけるのは嫌だけど、やらないといけない……」


「…………」


そして私はパソコンデスクに突っ伏し、深く眠りにつきました。


二度と目を覚ましませんでした。


私の命は、この無意味な一夜で永遠に終わったのです――



「生……者……」


「転……生者……春……」


(誰? 私を呼んでるの?)


ぼんやりとした意識の中、春は誰かに自分の名前を呼ばれるのをかすかに聞いた気がしました。


それはとても優しく親しみのある声でした。


その声は、いくら聞いても飽きない魅力があり、春はもっと近づいて聴きたくなりました。なぜならその声はとても温かかったからです。


(温かい……)


それは長く落ちぶれた生活に浸っていた春がずっと渇望していたものでした。


もしあの時誰かが同じ温かさを向けてくれたなら、私はこんなに落ちぶれなかったのかもしれない、そう春は思いました。


そして強い願望が彼女をその「温かさ」へと進ませ、進ませて……


最後にはその声が徐々に明瞭になりました。


「転生者……小和春……ここよ……」


(転生者? 私……?)


春の心には疑問がいっぱいで、まるで夢を見ているのではないかとさえ思いました。しかし、その声はとてもリアルで、彼女はその声の真実を信じたいと思いました。


あの温かさは間違いありません。


そう考えながら、春は目標に向かって進み続けました。


……そして、どれくらい歩いたでしょうか。


春はかすかに通路のような印を視認し、さらに奥へ進むと不思議な白い空間に到着しました。


その白い空間の中央、春の目の前には、光の羽衣をまとい、翠緑色のウェーブの長い髪を持つ美しい女性が立っていました。


女性の虹色の瞳は、目の前に現れた春を優しく見つめていました。


「綺麗……」


「え?」


春は目の前の人物の美しさに驚きつつ、同時に自分が制服を着ていることに気づきました。


少し不思議と戸惑いを感じました。


「本当にお疲れさまでした、転生者小和春。」


「本来なら私が直接迎えに行くべきだったのですが、こちらにも手放せない事情があり、こうして導くしかなかったのです。」


「え……迎え?」


「まだ混乱されているご様子ですね。」


「大丈夫、私の残された時間でしっかり説明しますね。」


「は、はい……」


女性は軽やかな足取りで春の前に来て、優しく撫でました。


「大丈夫、リラックスしてください~」


「ここでは誰もあなたを責めません。」


「安心してください。」


彼女は私のことを知っている?


目の前で自分を撫でる女性を見つめながら、春はそう気づきました。しかし不快感はなく、言葉は安心を与える慰めであり、嘲笑などの侮辱ではありませんでした。


こんな温かい言葉を、前に誰もかけてくれたことがありませんでした。


温かい、本当に温かい。


「うっ……」


涙を堪える感情が胸に込み上げましたが、春はそれを表に出しませんでした。抑えきれないのが怖かったからです。


女性は引き続き優しく春を撫でながら言いました。


「自己紹介をします。私はエネルの女神『エアリルリア』、命と創造を司る神です。」


「女神……」


「そうよ~私は女神なの~」


「んふん―」


「では本題に戻りましょう。あなたがここにいる理由を説明しますね。」


そして、


その後しばらくの間、女神エアリルリアは春に様々な事柄や、ここに導かれた理由と事情を説明してくれました……


「あの……」


「つまり私は過労と体調管理の怠りで急死し、今、女神様に選ばれて転生者になったということでしょうか?」


「その通り、基本的にはそうです。」


「そんなに堅苦しくしなくていいのですよ。不便でなければ『リルリア』とお呼びください。」


「本、本当にいいんですか?」


「もちろんですよ。」


「ん……リルリア……」


転生、女神。


本当に存在するんだ……


春は心の中でそう感嘆しました。


そして、春はふと思いつきました。


転生者は何か能力を授かると聞いたことがあり、自分が見たアニメではそういう展開が多かったので、女神様にそれをお願いできるかもしれないと考えました。


「あの……リルリア……」


「転生者は特別な能力を得るとか……私にもそれが可能ですか?」


「もちろんですよ。春はどんな能力が欲しいですか?」


「……私は、この人生で改めて努力して、ゆったりとした生活を送りたいのです。だから――」


「私は、病気にならず、ずっと健康で病気をしない体になりたいの!」


体が資本ですから、その能力があればゆったりと暮らせます。


魔法のようなチート能力も考えましたが、やはり健康が一番大事です。過労死で倒れた自分はそれを痛感していました。


「ぷっ―」


「春は本当に欲張らないのね、素朴な願いですね。」


「では『どんな毒にも侵されず、永遠に健康で病気にならない体』を授けましょう、これでどうでしょう?」


「ありがとうございます、女神様!!」


「どういたしまして。さらに2つの『贈り物』を追加で上げますので、あの世界に行ったら自分で確認してみてくださいね~」


「は、はい!」


その後、リルリアは一歩下がり、何かを準備し始めました……


「そろそろ時間ですね。」


「これから『転生儀式』を始めます、春、準備をしてくださいね。」


「はい、準備できています!」


春はワクワクしながら拳を握り、期待に満ちた表情を浮かべました。


初めての「転生」体験ですから。


「ふふ、では始めます。」


「『我、創世の女神エアリルリアの神名にて祝福を与え、魂の契約を再構築し、汝が他界にて安らぎを得んことを願う』」


「『魂転生 起動』。」


「春、この一世で楽しく幸せに生きてくださいね~」


詠唱を終えると、春は金色と青色の光に包まれ、やがて姿が徐々に消えていきました。


最後に、春は女神エアリルリアに心の底からの微笑みを向けました。


「ありがとうございます、女神様。」


そして、私は無事に「転生」しました。


私自身の第二の人生が始まりました。

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