表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/28

【1/ルカ、ハル】片翼のマスター

最後の部分、加筆修正しました。(10/16 20時)

『ルカー吸血鬼ー』



ーーー


さむい


ここはどこだろう


すごく暗くて、怖くて、涙が止まらないーー



『ーーお前またそんなとこで泣いてんのかよ?


しゃあないやつだなぁ』


誰かの手が、一筋の光の中から伸びてくる。


『ほら、こっち


見つかる前に行こうぜ。ルカーーー』



ーーーーーだれだろ……



ーーー


「……ハル…?」

「ん?なに?」


すぐ近くから聞こえたハルの声にハッ!として顔を上げると、そこは、授業真っ只中の教室だった。


「ルカ、よだれ(笑)」

「わぁ!?」

慌てて口元をごしごしと拭く。


「ぐっすり居眠りしてんのに、急に名前呼ばれたから、何かと思った。」


「ヒーローに助けられる夢見た」

「え、それで俺?」

「…ハルは、、悪者。」

「まじかよ!?!?」

「うそ。」


ぺしーんと頭を叩かれて、僕は、ごめんってば(笑)と笑った。



ハルは、あの“ごめんなさい”をした日から、僕に触れるのをやっぱりちょっと怖がってる感じだったから


またこうやってふざけ合えるようになったのが、僕はすごく嬉しかった。



「今日、午後の買い出し、どうする?」

食堂で給食を食べながら、ハヤテが嬉しそうにみんなを見回す。


「買い出し??」

さっきの授業で私語で騒ぎまくりだった僕とハルは、先生にちょびっと叱られてから遅れてのランチタイムだったので、みんなの話についていけずに頭上にはてなマークが飛び交う。


「月末の行事で使う衣装を調達するんだと。」

「毎年恒例の、アークの一大イベントらしいよ。」


セツナとりんが、説明してくれる。


「えっ!お祭りってこと!?」

お祭り大好き!僕は一気にテンションが上がって


「そう!ノアズ・アークの、ハロウィンパーティー!」

ハヤテのその言葉で、一気にテンションが下がった。


「……夜…やるやつじゃん……」



「あ、でも、学校だけじゃなくて商店街とかもみんなお祭りモードで、朝から色んな催し物やってるみたいだよ。」

「その日は授業、1日休みらしいし。遊び放題だな。」


「美味しいものもあるって、、ほら、ここの島の名物知ってる?ききみみ屋のスカイメンチ。」


美味しいものと聞いて、僕の耳がピクッと動く。

「え、、名物?」


「ほら、ここ。海からすぐのとこに、ききみみ屋っていうお店があるの。」

りんが、影見島の地図を広げて見せてくれた。

僕がよく行くスーパーよりも、もっともっと海の方の端っこにあるお店。

「こんなとこに、揚げ物屋さんなんてあったんだ、、!」


未開拓の地…!それだけで、なんだかまたテンションが上がってきた。


「あとで行ってみる?スカイメンチすごい人気だから、売り切れちゃってるかもだけど。」

ハヤテもなんだか嬉しそうだ。


セツナが、買い物リストを眺めながら呟く。

「用意しないといけないものもあることを考えると…時間も限られてるし、手分けして行くか。」



僕たちは地図と睨めっこしながら、それぞれ自分が行くお店を決めて、一度支度をしてから玄関で待ち合わせることにした。




「あれっあやめは?」


集合場所に集まったメンバーを見て、ハルが聞く。


「あの、、あやめちゃん、さっきまで元気だったんだけど、、みさおちゃんたちとハロウィンのコスチュームの話してる時に急に鼻血出しちゃって…ちょっと今日行けそうにないって…。」

りんちゃんが、申し訳なさそうに答えた。


授業以外でみんなでそろってどこかに行くなんて、初めてかもしれない。(あやめはいないけど)


「じゃあ、、俺とハヤテで小物は見てくる。

そっち、3人で衣装、見てこれる?」

「ゆきちゃんと、みさおちゃんと私だね。わかった!」

セツナの提案で、女の子3人で洋服屋さん、セツナハヤテで雑貨屋さん。

そして…

「じゃ、僕とハルで、ききみみ屋だね!」

僕らは、買い出しが終わったあとのおやつタイムに備えて、まだ見ぬスカイメンチを調査しにいくことになった。


「ワクワクする〜!」

「ルカ、浮いてる。ちょっと落ち着け。」

楽しみすぎて思わずふわふわと浮いてしまっていた僕の服をハルが引っ張る。



海まで続く長い下り坂の両脇には、洋服屋さんやパン屋さん、雑貨屋さんに本屋さん…とにかくいろんなお店が並んでいて、どこもウキウキするようなものばかり置いてある。


寄り道したい気持ちを、ハルに引っ張られながらグッと我慢して、僕らは1番海に近い場所にあるお店にたどり着いた。


「わっ、可愛い看板!」

片方の羽を広げて耳をすましているコウモリが、丸い木の板から顔を覗かせていて、その下にちょっといびつな字で、『ききみみ屋』と書いてある。


「いらっしゃーい、、あれ!?もしかしてアークの子達!?」

お店のカウンターの奥の方から、元気な男の人の声がしたかと思ったら、立て続けにもう1人の怒鳴り声。


「ちょっと!?マスター羽しまって!羽!!」


そして、ドタンバタンと大きな音を立てながら、1人の店員さんが飛び出してきた。


「えっ、コウモリの…羽?」

めいっぱい広げた“片方だけ”の翼に、黒い布で目隠しをした、不思議な出立ちの男の人。


「よく来たねー!あっ俺、店長です!

君らも俺のことは“マスター”って呼んで。その方がカッコいいから♪」

ぱたぱたっと、広げた羽が軽やかに揺れる。


「いやぁ、ここ、商店街の1番はずれじゃん?入寮式の日チラシ配りに行けなかったからさぁ、今年は誰にも気づいてもらえないかと思ってたんだよ〜アッハッハ……って、、痛ぁっ!!」


「羽を!しまえぇっ!!」

「…ぁ…テンション上がっちゃって…(笑)

てかそんな怒んなくても…」

「そのでかいの店ん中で広げられると厨房がやばいんだよ!外でやれ!外で!」

「ハィ…ごめんなさい…」


後ろから追いかけてきた(ちょっと怖い)女の店員さんに、メニュー表で頭をべしぃっ!と叩かれてしょんぼりするマスターが、なんだかすごく幼く見えて、、


僕は思わず、ぷはっ!と吹き出してしまった。


「あ。坊主、お前もコウモリだなぁ?羽。」

不意にマスターが、カウンター越しにこちらに顔を向ける。


「えっ!?」

目隠ししてるのに…なんでわかるの!?


僕はびっくりしすぎて、思わずまた少し浮いてしまった。


「ふふん。俺は、千里眼の持ち主なんだ♪」

「ええっ!?」

「…すげえ…!」

僕とハルは、揃って驚きの声を上げたが、


「そんなに立派なものをお持ちなら、厨房で羽を広げたらどうなるかを先に“見て”いただきたかったですね!」

と怒る店員さんの発言で、千里眼は即全否定されてしまった。


「はは。けど、目じゃなくても“見える”んだよ。」

そう言って、マスターは、つい、とハルの方に顔を向ける。


「そっちの坊主は、海からきたのか?」

「…えっ…」

ハルはびっくりして、目をぱちくりさせてる。


「…すごいねおじさん!ハルは、魚人なんだよ!」

「バカ!そんなでかい声で言わなくても…」


「はは!すごいだろ。俺は耳も鼻も、顔もいいかr……」

「君たち、スカイメンチはもう売り切れちゃってないんだけど、他のものなら用意できるよ。何か買ってく?」

「最後まで言わせろよ…

あとおじさんじゃなくて“お兄さん”な。呼ぶなら“マスター”!間違えんなよ坊主。」

「いーよ、おじさんで(笑)ちなみに私は“つかさ”ね。」


つかささんとマスターの話が面白くて、僕は渡されたメニューを見ることもすっかり忘れて、しばらく笑い転げていた。




ーーーーー

『ハルー魚人ー』


ききみみ屋の店長…マスターは、なんだかずっと騒がしい人で、超ハイテンションなルカをでっかくしたような大人だった。


わちゃわちゃと大騒ぎする中、マスターが、いきなり俺に向かって話しかける。


「そっちの坊主は、海からきたのか?」

「…えっ…」


ここへ来てからは、授業以外で海には極力近づいていないのに…なんでわかったんだ……


「ーーハルは、魚人なんだよ!」

「バカ!そんなでかい声で言わなくても…」


ノリノリで暴露するルカを慌てて止めながら、目隠しの奥から鋭い眼差しが俺の方をじっと見つめているような気がして、つい目を逸らしてしまった。


散々騒ぎ倒した後、ルカがようやく受け取ったメニュー表をみて、俺に話しかけた。


「スカイメンチは、ないって…どーする?」

ため息をつきながら、ルカの持っているメニュー表を覗くと、なんとも不思議な名前がずらりとならんでいた。


『人気No.1!スカイメンチ』と書かれた下には…

フライフライ、闇あがりコロッケ、月影からあげ、ソラポテト……


コロッケとか、唐揚げとかはまだわかるとして、、フライフライって…なんだ…??


「あ、それ、エビフライね。空飛びたくなるくらい美味いってこと!」

マスターがカウンターの向こうから、ニィッと笑ってこちらを眺めている。


あいつ…心の中まで見えんのか…!?


「わー!みんな美味しそうっ!

全部買ってって、みんなで分けっこしよーよ!」

「まぁ…いいけど…じゃ、買ってく?」

キラキラした目で俺を見上げるルカに負けて、俺は大人買いを承諾した。


わぁい!とぴょんぴょん跳ねるルカ。

「こどもかよ(笑)」

「えっなんか言ったー?」

そのまま飛んでいってしまわないように、服の裾をちょこっとつまみながら、俺は堪えきれずにケラケラとわらった。


商品の入った紙袋を受け取ると、ふわっといい香りがただよう。


「早くもどろー!あっマスター、またくるね!」

ごきげんなルカが先に走って行くのを慌てて追いかけようと、マスターたちにぺこりとあいさつをして踵を返すと


後ろから、ふいにマスターの声が落ちてきた。




「そんなに海、嫌いなの?」

予想外の問いかけに、俺は思わず身体をビクッと跳ねさせる。


振り返ると、マスターが、俺の方を見て微笑んでいた。


「…え、、なんで……」

「言ったろ?“見える”って。俺には嘘はつけないよ。」


「…べつに、いいだろ、なんだって…!」

初対面の大人にいきなり図星をつかれて、俺は恥ずかしくなって顔を背けた。


「あいつと一緒なら、“嫌い”でも“怖くはなくなる”かもしれないな。お前たち、いいコンビだよ。」


そんな風に言われて、俺はこの間のことを思い出してつい大きい声をあげてしまった。


「どう頑張ったって、無理だよ!

あいつにも怖い思い…させたし……」

 

「けど、仲直りしたんだろ?」

「…う…ん…まぁ…」


「心配しなくても、あの坊主はお前のこと大好きだよ。」

「…!!?」


「スカイメンチ、とっといてやるから、またルカと一緒に買いにきな。」



「…ありがとうございます。」

俺はもう一度ぺこり、と頭を下げる。


ひらひらと手を振るマスターとつかささんに見送られて、オレはルカの後を追いかける。


あれ


そういえば…

「俺ルカの名前、、言ったっけ?」


『スカイメンチ、とっといてやるから、またルカと一緒に買いにきな。』


微かに胸に引っかかった、マスターの最後の一言。



「…?ま、いっか。」

あの人ほんとに、千里眼持ってんのかもしれない。


なぜか少し軽くなった心と一緒に、俺は、商店街の坂道を駆け上がっていった。

ご覧いただきありがとうございました。


更新は不定期です。

活動報告等でもお知らせいたしますので、よろしければまたお立ち寄りください。

感想や評価など、いただけると嬉しいです。


ーーーーーーーーー


《登場人物おさらい》


⭐︎夜霧ルカ(吸血鬼)

明るいお調子者の吸血鬼

夜と雷は大嫌いで、ガーリックトーストが大好物。

料理が得意!


⭐︎海原ハル(魚人)

海が嫌いな魚人。

明るい方ではあるが、ルカには敵わない。

自分のもつ力が怖くて、海に近づきたくない。



ーーーーーーーーーー


こちらの物語は、pixivにも同時掲載しております。

(※創作活動としての併載です。転載目的ではありません。)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

※この作品の無断転載・複製・AI学習への使用を禁止します。Repost is prohibited.


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ