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【1/みさお、ルカ】仲直り。


『みさおー狼女ー』


学園に来て、一週間。


寮の生活やルールにもようやく慣れてきた気がする。

授業がない時は、どこで何をしていても基本的に自由なので、学校の外にでて散策してくることも可能だとのこと。


とはいえ、地図を見ても迷うほど初めての場所にすこぶる弱い私は、校内の教室移動でさえ幾度となく遭難しかけている…

「色々見に行ってみたいなぁ。…森以外で。」


まだ見ぬ島のあちこちの風景に想いを馳せ、そんなことをポツリとつぶやいていたら、セツナに「お前は、絶対1人で出歩くな。死ぬぞ。」と叱られた。


目印の“ におい”さえ覚えれば、2回目以降は迷わないのに…。



15時ごろ、軽食を調達しに食堂へ行くと、ルカがちょうどキッチンから顔を出したところだった。


「…あっ!」

「あ…。」


気まずい空気。前回の夕食時のひと騒動があって以来、ルカとは気まずくてなんとなく避けてすごしていた。


…ほら、向こうも困った顔してる。


ひとまず触れないでおこう…。


ルカの前を通り過ぎ、カウンター横の冷蔵庫を開けようとした、その時。

「…あっ、あの、みさお……」

後ろからルカに声をかけられた。


「……ちゃん。」



「…みさお、でいいよ。なに。」


…あ。しまった……

まさか呼び止められると思っていなかったので、びっくりして思わず不機嫌そうな返しになってしまった。


ルカは一度目を泳がせるが、その後決心したかのように私の正面に立った。


「あのっ!

ごめんね、この間の僕態度悪かったの、あとその前も勢いで初めましてなのに空気読まないでやなこと言っちゃって…ああっ、けど、あの、悪気あったわけじゃなくてちょっと体調が悪かったのとか色々あってそれで最初の日の方はそのかわいかったし仲良くなりたくて会えて嬉しくてテンション上がっちゃってそれであとトースト食べてくれたのも嬉しくて、ええと、あとーー」


「あ、あの…

わかったからちょっとまって…!」


今言わないと2度と伝えられないとでも言わんばかりのマシンガントーク

勢い余って可愛いとか、会いたかったとかなかなかな爆弾発言を連発してることにも全く気づいていない。


「ああっごめん!あっそうだあと、あの最初の時のーーー」


「…わかった!わかったから!」


ルカの止まらない謝罪の言葉の数々をなんとか遮って、思わず、ふ、、と笑ってしまった。


「本当にもう怒ってないよ。それよりーー


こっちこそ、色々ごめん。」


私からそんな返しが来ると思っていなかったのか、ルカが、目をぱちぱちさせている。


「いきなり放り投げちゃったし…

あと、なんか、困ってる感じだったのに、変なタイミングで声かけちゃったから。」


それからーー

こないだ言えなかったこと、ちゃんと伝えないと。

「美味しかったよ、あのガーリックトースト」



私のその言葉をきくなり、ルカは全身から力が抜けたように壁に寄りかかり

「ふおぉ、、よかったぁ……」と、微笑んだ。



ーーーーーーーーーー

『ルカー吸血鬼ー』


「美味しかったよ、あのガーリックトースト」


その一言で、僕は身体の力が抜けてしまった。

いままで謝れなかったモヤモヤや言えなかったあれこれで押しつぶされそうになっていた心が、一気に晴れわたった。

これで元気、100%だ!


「じゃあ、じゃあっ!また、作るよ!

あれ僕の1番の自信作なんだけど、他にも色々できるよっ。たとえばええと、ガーリックシュリンプとか、豚肉とキャベツのガリバタ炒め、それからペペロンチーノ、、あっじゃがいものガーリックソテーとかも!何にする?何が好き!?それかーーー」


「ちょ…わかった、まってルカ!(笑)」



「ガーリック、好きなの?」

「うん大好き!!」


「即答じゃん(笑)」

みさおが、小さく笑った。


「吸血鬼なのにーー」

「えっ…」

一瞬体がビクッと跳ねる


「ーー好き嫌いしないの、偉いね。」

「!!」


吸血鬼のくせにおかしいって、、変だって、言われなかった……!!

ハルも、みさおも、僕のことを受け入れてくれた。それがすごく嬉しくて、飛び上がりたくなるくらいだった。


「へへ、そうかな、偉いかな」

ニヤニヤが止まらないでいる僕をみながら、みさおがまた口を開く。



「…正解だったよ。」

「え?」


「動物。最後の、正解だった。

多少敏感で、身軽なくらいだけど。」


今思えば、とても勇気がいる一言だったと思う。


「……これまだ、内緒ね。」

小さく振り絞ったようなみさおの声。



僕にほんの少し、心を許してくれたのかなって思ったら、なんだかとっても、あったかい気持ちになった。


ご覧いただきありがとうございました。


更新は不定期です。

活動報告等でもお知らせいたしますので、よろしければまたお立ち寄りください。

感想や評価など、いただけると嬉しいです。


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《登場人物おさらい》


⭐︎夜霧ルカ(吸血鬼)

明るいお調子者の吸血鬼

夜と雷は大嫌いで、ガーリックトースト大好物。

料理が得意。ニンニクメニューならおまかせ!


⭐︎白狼みさお(狼女)

狼になれない狼女。

極度の方向音痴だが、匂いを覚えれば迷わない。

音に敏感。匂いにも敏感だが、ルカの作るガーリックトーストは好き。

ーーーーーーーーーー


こちらの物語は、pixivにも同時掲載しております。

(※創作活動としての併載です。転載目的ではありません。)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

※この作品の無断転載・複製・AI学習への使用を禁止します。Repost is prohibited.


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