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049 お互いに死人が出ていない間に止め時と判断する

 解放区でヒーナックが少女に話しかけている。

 

 ━━もう解放区での探索は切り上げてボクにまかせろ。

  

 といったところか。

 ルーはなかなか校内で評判の少女だったらしい。

 彼女が解放区で行方不明になったということで、王立学校が生徒たちに解放気への出入りを原則として禁じているのに、彼女のことを探しに解放区に出向く生徒たちがいる。

 二重遭難みたく事件が重なることがあれば、ヒーナックが解放気に出入りする王立学園側の許可も危うくなる。

 そう考えると、ヒーナックからしても必死のパッチであろう。

 余程の事情がない限り(こいつは何か事件にまきこまれて痛い目にあってくれた方がいいとか思わない限り)、ヒーナックは王立学園の生徒たちが解放区を歩くのを見つけたら止める。


(計算高いナ・・・)


 この世界のヒーナックの姉として生まれたカオリ・ゲッカーはそんなことを思わないでもない。

 成績優秀で飛び級入学をしたヒーナックは、周囲に愛想をふりまき、みんなに守ってもらえる可愛い男の子キャラを装っている。

 しかし、学生は危険という評判の解放区に平然と出入りするようなタマである。

 多少の荒事ならば彼一人でカタがつく。

 学校では、みんなに守ってらえる可愛い男の子のポジションをヒーナックが狙っているので、話は無駄にややこしくなっている。

 ヒーナックみたいなのが解放区を出入りしているから、王立学校の生徒たちは解放区の危険を甘く見ているのだ。


(馬鹿馬鹿しい)


 姉のカオリ・ゲッカーは、ヒーナックの護衛で食いのあるモカさんと話をつけ、得意の闇魔術を使って、モカさんの影にもぐりこんでいた。


(敵が一人で襲ってきたわけない)


 カオリはそう踏んでいた。

 周囲を索敵する。


(見つけた)


 一人の男が弓でヒーナクを狙っている。

 カオリは素早く闇魔術を打ち込んだ。 

 男の足元に巨大な穴が開いて男の身体は一瞬に吸い込まれる。


 ━━どんなにきれいごとをならべてみせたところで、なめられたらおしまい。


 マーサの孤児院の教育は力を躊躇なくふるう者を育てていた。

 そういう環境で、カオリ・ゲッカーは闇魔術を使う武闘派として名を売ってきたのである。


  *  *


 気配を消していたモカさんが、ヒーナック達の後ろから駆けてくる。


(何事?)


 と思いヒーナックはたずねる。


「どうしたのですか?」


 モカさんは答える。


「人が降ってくるぞ」

「え?」

「あの人の闇魔術だよ。相手を皆殺しにすればカタがつくと思っている」

「冗談」


 ヒーナックは驚いた。

 空を見上げるモカさかと同じ方向に視線をやる。

 三階ぐらいの高さの空間に巨大な穴が開いた。

 そこから弓を持った男が突如に吐き出された。

 モヒカン刈りの巨漢だあるモカさんはサセルその落下地点に移動して、何とか受け止める。


「ナイスキャッチ」

「いったい?」


 相手の男は目を白黒させる。

 モカさんは苦笑した。


「話し合えればわかりあえる。わかりあえば話しあえる」


 男は神妙な顔になった。

 昔からの言い回しである。


 ━━話しあえねえからわかりあえねえ、わかりあえねえから話しあねえ。


 と男は応じなかった。

 空気を読んだのだのだろうか?

 男は神妙な顔つきになって、モカさんの手を借りて立ち上がった。


「やれやれ、手合い違いかよ・・・」


 モカさんは大真面目に言う。


「そう思ってくれると助かる。こちらは話をできるだけ丸くおさめたい」

「なぜ?」

「ヒ取りはいまの【05の居場所】のギター弾きのひとりは王立学園から借りている。この解放区が、王立学園の生徒たちにとってまずい場所だって話がが大きくるようなことはあコっては困る」


 ほう、と男は溜め息をついた。


「あんた、あま店のにン現かい?」

「背景にはこの解放区の領主がいる。騒ぎが大きくなると、みんな、動かなければならない」

「そいつは理屈だな」

「今の段階で、話を小さくおさめられるのな、こちらとしてもありがたい」

「なるほど」

「ウチと本気でやりあうようなことになれば、そちらにとっても面倒だろ?」


 モカさんの言うように、【05の居場所】には、面倒なのがそろっている。

 その上に、拝啓に聖犬使の領主がいる。

 男は言った。


「お互いに死人が出ていない間に止め時だな」

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