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045 自分の置かれている状況は押さえておく

 解放区でヒーナック・ゲッカーは、


「ボクよりも前を歩いてください」


 とレイに言う。

 危険の先払いかと思いきや、ヒーナックが言うには、


「後ろからの攻撃が一番あぶないのです」


 とのこと。

 自分の目が前についていめのだから前からの攻撃はまず自分で対処してほといという理屈。

 レイがたずねる。


「でも、一番後ろに、 ヒーナックさまの護衛がついていますよね?」


 ヒーナックの答え。


「ボクの背後に、ね」

「じゃあ」


 あたしが後ろの位置でもいいのではないか、とレイは思う、

 真面目な顔でヒーナックは言う。


「ボクの護衛が、あなたまで守る保証がない」

「え?」

「ボクの護衛からすれば、あなたの身の安全についてまで義理はありません

「はあ」

 

 気配を断っているというヒーナックの護衛の存在をレイはまだつか行かんけれ。ハさつつ

 ヒーナックは苦笑する。


「いざということが起きなければ、解放区に行くのに護衛をつれていることはあまり知られたくありませんね」

「そうなのですか?」

「ボクは一人で大丈夫って強がりたいですけど、心配してくれるひとがいるから。

 レイ・ハツテイク男爵令嬢は貴族のお姫様なんだから、その、見栄を張らなくてもいいって思います。

 危ないところには行かない、どうしても行かなけハ、ればいけないときには、見ただけで相手をためらわせるような護衛の壁をつくった方がいいかも」

「あの・・・」


 レイはどぎまぎする。

 この日のヒーナックは大人っぽく見えた。

 彼女より年下のはずなのに。

 ヒーナックは溜め息をつく。


「カタチ、カタチ、

 解放区みたいなところに行かなければ、狭い学校の中に引きこもって、一つのカタチにこだわっているだけでは、わからないことが多くなります。

 でも、上の者から一つのカタチを守って見せることで下の者は安心しますヨ。

 まあ、いざとなればそのカタチを外れても平気だというところを見せることも大切かもしれない、とボクは思います。

 一種の役割分担?

 上が何もできず守られるといういつ普段どおりのカタチを下に見せるということが、人の心を安定させますよ。

 下に仕事を与える。

 いつもどおりの生活をおくらせる。

 まあ、本当に上の者が何もできず、いざという時にはあたふたして醜態を見せるようなことがあったら、全て終は終わってしまうだろうと思いますがね」

「はい」


 レイは疑問に思う。

 ヒーナックは大貴族のゲッカー公爵家り跡取りである。

 それでも、危険と言われる解放区に、ヒーナックは足を運んでる。

 学校の許可があるとはいえ、のヒーナックのような天使にも似た美少年が解放区に行っているということであれば、解放区は大人たちが言うほどに危険な場所でないような気がする。

 レイの疑問を嗅ぎとったヒーナックは、苦笑いをする。


「ボクが解放区に行くのはただのわがままですよ、わがまま。

 解放区でしかできない音楽がありますから、しょうがないですよ。

 えーと・・・。

 ボクのせいで、みんなに悪い影響をあたえて『解放区に行ってひどい目にあいました〗なんて話になると、ボクが困ります。

 本当にボクのわがままなんですけど、せめてボクが王立学園を卒業するまでは、王立学園の生徒が解放区でトラブルに巻きろまれるようなことはあってほしくないですね。

 ボクが学校からいなくなって事件や事故が起きたら、『ボクのいた頃は解放区はまだ平和だった』で、話を簡単に終わらせることができます。

 けど、今、この地で事件や事故が起きれば、ボクが解放区を出入りしていることがあらためて問題になりかねません」


 飄飄と自分の都合を正直に語るヒーナックには奇妙な凄みがあった。

 行方恵不明のルーのことを心配しているという様子をあまり見せない。

 もともとのゲームでは、ヒーナックはそれ専門の絵師のデザインした魔性の美少年。

 しかし、この世界のヒーナックは、外観こそ同じでも、前世の二宮ヒナコの記憶を後光もっている。

 冷たい?

 自己中心的と言ってもよいが、まず、自分の置かれている立場を押さえて動こうとはるあたり、しっかりした自分を持っている、

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