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034 世の中にはとんでもない馬鹿が多い

 この話のヒロインのカオリ・ゲッカーは、令嬢になるにはまだ修行が必要だけれども、悪役になれるだ けの自分をマーサの孤児院で育んでいた。

 自分は自分という意識を持っていた。

 たいていのヒトはちょっとしたことで今日にも明日にも良くも悪くも変わってしまう。

 

 多重人格MPDの犯罪を不処罰にするべきだという主張がある。

 キツネ憑きや悪魔憑きや天使憑き。

 LGBT妄想もはいるか?

 何のことはない 。

 ヒトという種はまるで同じことを繰り返す。

 ほんの少しでも今に不都合ならば過去の記憶おを切り捨てる。

 他人の話を聞かない。

 過去の自分の話すら聞かないのだから当然の帰結である。 

 対話不能。

 そんな連中がうようよいる。

 もしも、今日も明日も自分が自分でいられるというのなら、もしも、悪でも何かの役に徹することのできる資質があろのなら、法治国家の文化育成の面で、まだ上等であろう。


   *  *


 カオリ・ゲッカーは冒険者学校あがりのゼニハー・アルデーの案内のもとに解放区に足をふみいれた。

 まだ正式に王立学園の編入は決まっていない。

 正体隠しのために黒の鎧兜に身を包んだ。

 従者役であるゼニハーは白の鎧兜である。

 弟のヒーナックが学校から特別許可をもらっているとはいえ解放区でギターを演奏とているという話があり、あたしの王立学園の編入に邪魔になる馬鹿しているのではないかと不安になって視察にでかけたのだ。

 余計な騒ぎはいらない。

 比較的に安全な道を選んだつもりだったが、そこは解放区。

 からまれる時にはからまれる。


「お前ら、変な恰好しているな」

「うるさい」


 カオリは舌打ちをして、鉄棍を構えた。

 ゼニハーの注意。


「殺すほどのことはないですヨ」


 カオリは目の前の男の頭に鉄棍をフルスイングした。

 男は吹き飛び、壁にぶちあたり、そのまま動かなくなった。

 相手が悪い。

 カオリとゼニハーがア・バシリ―の地にいたと聞けば、向こうは目をあわさなかっただろう。

 ア・バシリ―では暴力は奨励されこそすれ忌避されることはない。

 喧嘩騒ぎで死んだとしても弱いのは自分持ちだ。

 何の因果かカオリとゼニハーはア・バシリ―でも評判のよくないマーサの孤児院の出だ。


「よくわからないけど、解放区での喧嘩は死に損だとか? 話が早くて助かる」


 そう言ってカオリは晴れやかに笑った。

 ゼニハーは言う。

「まあ、面倒な後始末はいらないですが」


 要するに、ムカついたからボコった。

 相手も覚悟があったから、こちらをムカつかせてくれたのだろう。

 それぐらい話が早ければ、純真無垢とAIから評価されるカオリにだってわかる。


「調子に乗りやがって」


 他に仲間がいた。

 カオリは背中の鎧に蹴りをくらって吹っ飛んだ。


「馬鹿、殺されるぞ」


 ゼニハーの注意。

 ひっくりかえったカオリの指先から黒い魔法の光球が助けに入った相手の男のの足元に届いた。


「ううう・・・」


 うめき声。

 魔法の光球が男の脚に食らいついた。

 知るひとの少ない闇魔法。

 無色透明の魔力の塊を相手の足に投げつけて動けなくする。

 カオリは鉄棍で相手を滅多打ちにする。


「殺しはしないよ、試験の結果待ちだし縁起かつぎ中。でも、腹が立つな、このガキ。殺してほしいなら殺してやろうか?」


 相手は言う。


「すまねえ、俺はどうなってもいいから、兄弟には何もしないでくれ」

「いい兄弟?」

「ああ」

「余計にむかついたヨ」


 カオリは助けに入った男の左の太ももに鉄棍を叩きつけてからバランスを崩したところに胸に鉄棍を突き入れた。

 えづきながら地面に転がる相手の顔面に視界を奪う魔術を降らす。

 やれやれ、とゼニハーはナイフをぬいていた。


「最後までやっておきます?」

「あまり派手にやると、学園もあたしのことを蹴る理由になるかもしれない。ここは時期を考えるべし。何も起きなかったということにしておこう。

 目が見えなくなる魔法は、ここで殺さないあたしの優しさにに感謝していたら、すぐ解けるサ」

「はあ」

「もしも解けないようなら感謝の気持ちが足りないのサ」

「すぐ解けるような低レベルの魔法ですよね?」

「ちょっとは、もったいをつけてやった方が、ありがたみが出るやもしれない」


 ゼニハーは呆れる。


「そいつは面倒くさい」


 カオリは吐き捨てた。


「世の中にはとんでもない馬鹿が多いんだからね」゜


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