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003 9612企画の設定は犬好きな人たちにとってフレンドリー

 コーキ・レオ。

 執筆補助AIが推奨してくれた王子の名前である。

 高貴な獅子。

 下手に悩む必要はない。

 普通が一番かどうかはわからないが、人の目をひかないというのは利点がある。

 自分のこだわりのある部分を強調するために、他の部分を普通におさえるのがよいのでないか?

 ファッションでいえば、アンチ・ファッションの考え方である。

 もちろん、自分の好きなことを思いっきり無秩序に何でもぶちこむというのはアキバ系であるが、自分の大量の活力を示すためにはよいであろう。

 アンチ・ファッションとアキバ系。

 論理学で言えば、帰納法とアブダクション。

 剣の術書『猫の妙術』で言えば、拍子の読み合いを重視するか、気合いを重視するか。

 いずれが上か即断できない。

 ただ、儒教の『論語』八佾第二においては、【人にして不仁ならば礼を如何にせん】とある。

 これを「礼は習得すべき技術であるが、その元の精神がなければむしろ礼はない方が好ましい」と解釈する向きがある。

  また、『論語』八佾第三においては、【礼は其その奢らんよりは寧ろ倹せよ】とある。

 これは「本人にとりたてて好きという気持ち(仁)がなければ、外観を整えていい気になるよりも、その活力を倹約せよ」ということであろう。

 前置きが長くなった。

 言いたいことは、執筆補助AIはどーでもいいことの執筆時の活力の浪費をおさえるのに便利であることでだけである。


   *  *


 コーキ・レオの父親、ケーキ・レオはエリア王国の国王である。

 この世界は、カオリが妄想したような4625(シロネコ)企画のゲ―ム世界ではなくて、9612(クロイヌ)クロイヌ)企画のゲーム世界であった。

 世界は、犬とフレンドリー同盟を結んだ人々にとって限定で、快適に設計されていた。

 なぜか犬のいない4625(シロネコ)企画の設定した夢幻郷に約役五千匹の宝犬たからいぬが、9612(クロイヌ)企画にの手によって送りこまれた。

 犬ギライの害虫をぶち殺す魔族がエリア王国に襲来。

 原因不明で魔力を使うほとんど回復しないという状況になって、王国は魔族に攻め込まれて恐慌おちいった。

 そんな時に、人間側も犬とフレンドリーになったり、犬ギライの悪党を捕痛めつけたりすると、体力も魔力も回復するわ経験値が入ってレベルはあがるわ武器も日用品もレアアイテムもやゴールドも都合よく空から降っ那須てくるわウハウハということを発見した。


 結論:モンスターとか倒している場合ではない。


 エリア王国は、聖剣ならぬ聖犬と仲良くなった者たちを聖犬使せいけんしと呼び、魔賊の魔犬使まけんしにぶつけた。

 従来の聖剣士と魔剣士の戦いの様相は一変した。

 国境近くのドッグランでは、聖犬使と魔犬使が宝犬を連れてきて、元気のよいワンプロを仲良く楽しむようになった。

 最終戦争。

 ワンプロ観戦や宝犬を抱きかかえてゴロゴロするようなことが、国王の仕事の大部分を占めるようになった。


 そんな国王ケーキの姿を見て王子コーキは尊敬した。


 ┅┅私も父上みたいな国王になりたい。


 そういう夢をもった少年が、王都のゲッカー侯爵の屋敷に招かれたのである。

 公爵令嬢カオリと顔合わせして婚約する予定。


   *  *


 ゲッカー侯爵の屋敷で、コーキ王子は問題の婚約者候補カオリ・ゲッカーと対面を果たした。

 話の大前提として、カオリは説明をうけていなかったが、この世界でへ「犬は嫌い」とか公言しようものなら、徹底的に弾圧されてしまう。

 コーキはたずねた。

 大切な質問。


「前世の記憶を取り戻して混乱していると言う話だけど、ひょっとして前世で犬イジメとかしていた?」 


 ━━前世で犬イジメをしていた転生者━━


 この世界では、見つけ次第に痛めつけててもよいと言うよりも見つけ次第に痛めつけろと言われていた。

 痛い目にあわせて処分しても、前世で犬の肉を食いながら踊っていた転生者は、大いなる犬心が納得するまでしつこく何度でもよみがえってくる。

 彼らを痛い目にあわせることは、この世界の人々にとって、きわめて重要な魔力の供給源になっていた。


「前世で犬イジメなんてしていませんでしたよ」

 と、カオリ。

 ここまではいい。

 コーキは胸をなでおろした。


「それはよかった」


 王室に卑劣な血筋はいらない。

 そういうことを、この世界での記憶が一時的にぬけおちた状態のカオリはわからなかった。


「でも、あたし、犬よりも猫の方が好きかも」

「あん?」


 この世界の会話のTPO。

 話の流れからして、猫の話などするべきではない。

 カオリにとって、犬のことを絶賛するべき場面だった。

 コークは近づいて左拳では側頭部ショートで打った。ダメージ目的ではない軽い打撃。カオリが反射的に右肩を前に戻す。揺れる右肩の下にカオリにとって死角ができる。コークは左足をすりあげるようにしてカオリの側頭部に走らせた。


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