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024 第一部のラスボスは前世におけるクラスメートだった

 ヒーナッ・ゲッカーは、魔族よんてんご天王のフォウが深夜放送のパーソナリティをつとめるラジオ番組の常連リスナーだった。

 ラジオネームは【男の子にTS転生しちゃったニノミヤくん】である。

 馬車の中でフォウはリスナーのニノミヤ君の立場から鬼姉のカオリを糾弾した。


「カオリちゃん、あの子のおしのアイドルのポスター破ったでしょ? リフ・チトセちゃんのポスター。かわいそうでしょは? やめてあげなよ。ニノミヤくん、血の涙が出そうになったって」


 それについては、カオリにも言い分がある。


「ゲッカー公爵家の子が部屋に売れないアイドルのポスターを貼って喜んでいるというのは、姉として許せなかったんじゃないかな? リフは大きな事務所から出たのに伸び悩んだような・・・」


 フォウは考え込む。


「リフちゃん、何がいけなかったのでしょうね?〖世界を君の色に染める〗とか、個人的にオススメ。しかし、あの子は、全体的にマイナー路線でフックが欠けていた? いや、変にフックがあるよりも、普通にカワイイ路線を狙った方がよかったかもしれませんね?」


 カオリは言った。


「どのみち、自分の弟の部屋にアイドルのポスターが貼ってあるのはイヤ。もっと自分のイメージを大切にしてほしい」


 ゲーム【ムゲンキョー】の中ではヒーナックは悪の天才美少年キャラであったはず。

 フォウは言う。


「イメージって言うけど、カオリアちゃん、あなた、嫌がる弟に女の子の服を無理やり着せたりしたでしょう?」


 カオリは忘れていたはずの過去の現世の記憶を少しずつ思い出した。


「そ、それは・・・ いきなり、かわいいイキモノ、『弟ですよ』って家に入ってきてさ、えーと、ヒーナック、女装も似合うし、むしろ、そんなものを放り込まれたあたしが被害者じゃない?」


 フォウは首を横に振った。


「ニノミヤくんはイジワルな姉に虐待されたという認識です」


 話せばどうしても都合が悪くなる話。

 ならば、話さなければいい。

 そういうやり方ほカオリは前世できっちり学習していた。


「ヒーナックのことは、ずっと考えていますがまだ整理しきれてません」


 ふとフォウ・デ・タマカは気づいた。


「ずっとって? カオリちゃん、この世界における記憶を少し取り戻してきていない」


 ええ、とカオリは頷いた。


「ヒーナックの話をしていたら少しずつ思い出すようなことが・・・」

 

 よかった、とわけ知り顔でフォウは言った。


「カオリちゃんもゲッカー公爵家に戻ることができたら、ニノミヤくんに謝って、姉弟ケンカとかしないで仲良くするのですよ」

「はあ・・・」

「だいたい、今だから言いますけど、あたしと三ケさんがカオリちゃんの追放されたア・バシリ―の地にまで向かったのは、こんな感じ。

 ニノミヤくんの話をあたしがミケさんとしていて、カオリ・ゲッカーという公爵令嬢がア・バシリ―の孤児院に送られたということについて、カオリ・ゲッカーはミケさんが前世にいた家おばあちゃんの供御の月下カオリの転生体ろではないかという話になりました。それで、実際にア・バシリ―に行って調査したら大当たりでした」

「はあ・・・」


 カオリ・ゲッカー。

 月下カオリ。

 もしや、とフォウは感じたのだ。


「さあ、これで、謎【魔族よんてんご天王のフォウ・デ・タマカがどうしてカオリちゃんのところにやってきたのか?】というこの物語謎の最大の謎の答えが明らかになりました♪」


    *  *


 フォウがリスナーの個人情報をカオリにぺらぺら喋ったのはのは、ラジオのパーソナリティとして問題がある。

 たとえ、それがカオリとヒーナックの間の姉弟の争いを止めるために必要なことにフォウには思えたとしても。

 さておき、カオリには気になった。


「ヒーナック、そのラジオネームは【男の子にTS転生しちゃったニノミヤくん】って、あたしの前世の学校のクラスの委員長の名前は、二宮ヒナコ・・・」


 この物語の第一部のラスボスであるヒーナック・ゲッカーの前世は、カオリの前世におけるクラスメートの二宮ヒナコだった・・・!



 第一部の残すところは、あと一回。

 ヒーナックの前世については、わりと伏線があったと思います。

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