014 ゲームの悪役令嬢みたいに魔族から闇魔法を学ぶ
カオリが魔法を学ぶためにはMPを補給しなければいけない。
この世界でMPの自動回復は非常に時間がかかるので、MPのためには、犬好きか犬ギライを痛めつけるか、犬と仲良く交流するか、という方法がとられた。
魔法の学習にあたっては犬がいた方が有利。
NNNに属する疑いのあるフォウは、カオリの教育にあたって一匹の犬を同伴するようになった。
現世においては、フォウと手を組んでいる猫のミケは、前世においては、カオリのおばあちゃんと暮らしていいて、ご近所の犬たちと仲良く交流するタイプの猫だった。
交流を持っていた近所の犬たちの中には、シーズーっぽいむくむく白毛皮の雑種がいた。、
前世の名は、おちょこ・わんた・魔犬エルサス。
ちょこちょこ歩く。
わんと吠える。
魔族っぽいミステリアスな空気感がある長毛種。
前世から縁があると言うことで、猫のミケと一緒にカオリの魔法の訓練に顔を出してくれた。
* *
フォウは言う。
「エルサスさんは、カオリちゃんのマジックポイント回復のために特別に足を運んてくれました」
横でミケが語る
「ニャーニャニャニャ」
すかさずフォウは通訳した。
「ミケさんのコネクションです」
何というか・・・
カオリからすれば、前世から、エルサスのことを知っていた。
前世でカオリが小学生ぐらいの頃、おばあちゃんの家に遊びに行くと、飼い猫のミケはご近所の犬たちと仲良く交流していた。
「お久しぶりです」
「わんわん」
エルサスがカオリに飛びついた。
カヤリが身をかがめると、エルサスは顔をぺろぺろする。
チャリーンチャリーンと次から次へと経験値がはいってレベルアップしていく。
ちから・すばやさ・たいりよく・かしこさ・うんのよさ・・・
問答無用にステータスがあがっていく。
「こ、これわ・・・?」
フォウの説明
「私たちの世界では、犬は理想動物とされています。【犬=正義】というのがこの世界の絶対法則だということになっています。
犬と親しく交流すれば、天は即座に大量の特典を惜しみなく与えてくれる。そういうシステムになっています」
「うにゃにゃ、にやご、にやあにゃあ」
「犬だけでなく、猫も特別扱いしてほしいとミケさんはおっしゃっています」
「いや、そんなことは・・・」
カオリにエルサスぱ飛びついてきた。
モフモフとした素晴らしい手触り。
ザラザラとした舌でペロペロ。
この世界がどうして犬を特別扱いかるのかカオリにも理由が少しわかった気がした。
「よしよし」
カオリはエルサスを撫でた。
犬の尊さ。
「にやあにゃ」
ミケは鳴きながら頭をカオリにこすりつけた。
(どうして、この世界は胸がどきどきするほど優しいのだろう?)
謙虚で純真無垢なカオリは疑問に思った。
大丈夫。
9612 企画の設定は基本的にも応用的にも犬限定で優しい。
犬ギライの悪党にはとことん痛い目にあわせてやるというのが9612 企画の方針なので、別にこの世界は優しくなかった。
* *
おちょこ・わんた・魔犬エルサスの長い毛並みは美しくカットされていた。
あとカオリは気になった。
(この世界にトリマーさんはいるの? 誰がエルサス洲の毛をカットしているの?)
はい、とフォウは手をあげた。
「それはあたしです。ちょっと、うまいでしょう?」
「ほえ」
カオリはびっくりした。の
前世のプロ並みの技術だった。
フォウは言う。
「魔族のよんてんご天王のフォウ・デ・タマカは色々なことができるのです。カオリちゃんに芸の幅を広げようねって説教する以上、日夜あたしだって芸の幅を広げていますよ」




