第四話 魔法
祖父がくれた本の正体はハリーポ○ターだった。魔法使いの話で、こっちの世界では名作と言われているものだ。一才児にして俺は賢者の石から死の秘宝まで全部読んだ。この本は小学生向けの長編小説の本だったため非常に読みやすいしフリガナもふってあったのでとてもよい日本語の勉強になった。
読み終えた後、俺は自分のいた世界の魔術を思い出した。ホグワ○ツみたいに敵がいたり治安は悪くはなかったが元いた世界では魔法学校や魔法大学があった。俺は魔法の学校には行っていなかった、なぜなら自分は剣を振る方が才能があったし、学校を卒業してから剣しか修行してなかったからである。でもあの世界では魔術は一般教養となっていて普通の学校でも中級魔術までを習う。冒険者の魔術師なら上級魔術を使えるのが当たり前らしかった。俺は初級しか使えなかったけど、勇者パーティーの大魔法使いシノンは最強クラスである聖級の魔術を全て使えていて、なおかつ魔力切れなんてなかった。彼女は俺が処刑される10年ぐらい前から魔法大学の教授になっていて、よくお金を借りていて全く返さずに転生してしまった。罪悪感がある。
今はこっちの世界の住人になってから初級の魔術ですら使うのは困難であった。だが、水を無から作り出す水魔術の基礎的なものが最近できるようになった。この世界にも魔術の概念があるようだ。杖さえあれば他の魔術を使えるだろうと予想した俺は杖を欲しいと思った、まあ売ってるわけないけれども。そもそも杖の素材である魔力を持った木が存在しない限り作れないのは当たり前である。
2歳を過ぎて、俺はよく蓮兄と一緒に公園に連れてってもらった。前世の世界にも公園というものはあった、でも砂場や滑り台とかブランコなんてものはなかった。よく蓮兄と砂場で遊ぶのが習慣になっている。野良猫の糞尿で臭いのは少し嫌だったけどね。公園の常連は何人かいるが、この公園でよく会う女の子がいる。さくらちゃんだ。
「私も仲間に入れてよー」
「いいよ!」
彼女の家は俺の家の3軒隣らしい。俺ら兄弟と仲が良い、幼馴染というやつだ。前世にも幼馴染がいたからどういう存在なのかはだいたい知ってる。でも、たまに俺が年下だからってさくらちゃんが意地悪してくることもたまにあった。ある日、俺は彼女のイタズラにムカついたのか魔法で水の玉を作って顔面に思いっきりぶつけた。どっかの小説ではウォーターボールとかいう魔法の名前だった気がする。最初はやってしまったと思った、しかし彼女は水をかけられたことなんか気にしていなかった、さらにさっきの種明かしをして欲しいと頼んできた。
「それってどうやるの?!」
俺は蓮兄とさくらちゃんに水の魔術の存在を教えたら、彼らはやり方を教えて欲しいとせがんできた。
「知りたいなら教えてあげるけど他の大人とかに教えちゃだめって約束できる?」
「できる!」
その日から、公園でベンチに座ってる親から隠れて俺は蓮兄とさくらちゃんとの秘密の魔法の訓練が始まった。3ヶ月後、彼らは詠唱ありだが水魔術の基礎である水玉が使えるようになった。子供は飽きやすい性格をしているが新しいものの吸収は早いので子供のうちに魔術を教えることが重要って大魔法使いシノン様が言っていた気がする。そして俺にも魔法の進捗があった。初級の回復魔法を使えるようになったのだ。前世の世界で回復魔法といえば勇者パーティーの大賢者パールである。彼は魔術師兼僧侶とかいうとんでもないやつだった。今考えると、彼がいなかったら俺は100回くらい死んでるかもしれない。人間100回も死ねないけど。
公園で水魔術をかけあって遊んでいると蓮兄が思いっきり膝を擦りむいて転びやがった。意外と鈍臭いやつだなあと思いつつも回復魔法で治してあげた。
3歳を過ぎたあたりから俺は同い年の子と遊ぶことが多くなった。さくらちゃんは幼稚園に通い出していて、蓮兄はもう小学3年生で8歳だ。五つしたの弟と遊ぶほど暇ではないのだろう。
ある日俺は友達と“サッカー”というものをやることになった。俺は絶望的に球技が下手だった。前世にボールというものを使った遊びがなかったからなのかと思ったが、一緒に遊んでいる友達に前世とかないから関係なかった。自分にセンスとかコントロールとかが欠如していたのだ。たぶんこの中でかけっこをしたら一番の自信がある。でもこの世界にはボールを使った遊びやらが多いんだとか蓮兄が言っていた。今日起きたことを蓮兄に話してみた、
「ということはサッカーとかキャッチボールが下手で困っているということであってる?」
「うん」
「じゃあ明日の土曜日に大きな公園に行って練習しよう!」
「うん!」
蓮兄は優しい上に意外と運動神経が良かったのだ
兄と母で公園へ来た。
俺は兄とサッカーやキャッチボールをして楽しい時間を過ごせはしたが球技が上手くなっていたのかはよくわからなかった。