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第三話 日本語

生まれてから数ヶ月が経ってからこの世界の言葉の一つである日本語をだいぶ理解できるようになった。それで自分の名前が一条湊みなとであると知れた。しかも立って歩けるのだ。異世界からの転生だってバレることはそうそうないけどあまりにも早く習得してしまったので両親共に驚いてるようだ。人の話してることは大体理解できるが日本語は自分で文章を作って話すのがとても難しかった。そもそもひらがなとカタカナで文字数100を超えるのに漢字とかいうやつは2000個ぐらいあるらしい。習得するのに時間がかかった魔族語ですら使う文字は40個もないのに。“日本人”ていう民族はやはり異端な気がしてきた。


1歳の誕生日になり、そのころ俺は漢字はまだだが完璧に日本語を喋れるようになっていた。日が落ちてから、誕生日パーティーを行うようだ。

「ねえパパ、湊はまだ1歳なのにこんなに喋るんだよ」

俺の実の兄のれんだ。俺は蓮兄れんにいと読んでいる。そろそろ“小学校”という学校に入学するみたいだ。俺も前世で同じ時期に学校に通っていた。彼の第一印象は冷たい人だなと思っていたが、彼は親しくなれば結構話すタイプで“幼稚園”ていうところでは人気者だったらしい。俺も2年くらいたったらそこに入れるそうだ。

「この歳でこんなに喋れるとかギフテッドかなんかかもしれないね」

これは俺の父の一条孝一である。彼が屈強なのは“ジム”という場所で鍛えているかららしい。あと家の本棚に学問系の本が多かったのは父が研究者であるからだ。

「“ギフテッド”がなんなのかわかんないですけど別に言葉を覚えるのが早かっただけですよ」

「でもやっぱり1歳児が丁寧語はちと頭良すぎなんじゃないのか?」

そうやって父と食事が終わった後会話をしていると母がケーキを持ってきてくれた。「ケーキがきたよ!」

母の名前は一条咲眞エマ。兄の情報によると彼女は夜に“パソコン”とやらを使ってカメラの前で“ゲーム”とかしたり歌ったりする仕事をして結構稼いでるらしい。兄も母が秘密裏にやっていることなのであまり詳しく知らないと言っていた。口外無用だそうだ。父はもっと知っていそうだけども。

俺たち家族は4人で5号のショートケーキを食べた。当然俺は一才児なので食べられはするが5号の4分の1はちょっと多すぎるから自分の分の大半を家族に分けた。兄も苦しそうだった。

俺の前世でもチョコレートケーキはあった。俺はそれ以外のケーキを知らなかったのでショートケーキは初めてであった。まず上に乗ってる“いちご”っていうフルーツは酸味が強いがケーキの甘さで打ち消すことで絶妙な美味しさだった。あと前世のケーキよりもスポンジの部分が柔らかくてとてもおいしかった。

俺は誕生日プレゼントとして日本語の辞書を買ってもらった。これで日本語の本を大量に読むことができるようになると俺は喜んでいた。しかし日本語の壁は高かった。そもそも日本語っていうのははっきりとした言葉ではなく曖昧な表現を好む傾向があるため難しい本を読んでいると解釈するのが難しかった。それだけではない日本語は主語や目的語を省くことをよくするけどこれは慣れた。一番厄介なのは知らない慣用句とか漢字とかが多すぎることだ。こんなのはもう数の暴力みたいなもんだ。俺と同い年くらいのやつが単語くらいしか喋れない理由もよくわかる。

数日後、俺の祖父と祖母らしき人物が俺に会いにきてくれた。めちゃくちゃ高級そうな馬なし馬車だった。母からは父方ということを聞いていた。一条家の方ということだ。彼らにとって孫は2人目だという。

「男の子が2人とは頼もしいのう」祖父の名前は一条家一。祖父はどっかの“会社”の社長だそうだ。

気にしていなかったけれどもやっぱり転生だと性別は変えられないのだろうか。俺は魔法専門の人間ではなかったからよくわからんとしか言いようがないな。そもそも転生は禁忌なので未完成ということもある。

考えごとをしていたら祖母に話しかけられていた

「あんた一才なのに敬語で話せるって孝一から聞いたわよ、すごいわね!」

「ありがとうございます。でも完璧というわけではないです。」

祖母の名前は一条琴葉。父からは教育熱心な母と聞いている。学生なら“塾”の掛け持ちは当たり前で毎日父に勉強を強要していたそうだ。自分の母親がそんなだと嫌気がさして家出しそうだ。祖母は母に金は払うから湊を英会話教室とかに連れてって英才教育しろとしつこく言ってくるらしい。いい迷惑だ

祖父と祖母は16時に帰っていった。祖父は優しくて良い人だったが祖母は悪意がないのが厄介だと思った。

祖父は帰り際に何冊か本をくれた。




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