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山の異変

 リーサは山を越えて森の中の道を駆け抜けていく。その途中、小川を渡るところがある。所々、大きな石が置かれており、それをぴょんぴょんと飛んでわたっていく。でもこのところ、石の上を飛んでいかなくてもそのまま渡れるようになっていた。


「おかしいな。水が枯れている・・・」


 そういえば以前はずっと水量が多かった。少し回り道をして離れた橋を通っていた。それがいつの頃からか、石の上を飛んで渡れるようになった。その頃から水かさが減っていたのだ。それがさらに小川の水量が少なくなっていた。


「そういえばこのところ雨が降っていないわ」


 学校に通うのはそれでよかったが、森の木々が枯れているような気がした。


「おかしい。何か起こっているのだろうか?」


 リーサは小川を見つめた。するとその中から見ている目と目が合った。


「な、なに!」


 リーサは驚いて後ろに下がった。すると浅いはずの小川から大男がゆっくり姿を現した。無表情でリーサを見ている。


「きゃあ!」


 リーサはカバンを放りだして逃げた。大男の姿をした化け物が現れたと思ったのだ。いつも森を通っているが、こんなものに出くわしたことはない。

 リーサは逃げ足も速かった。特に無我夢中だったからかなり速かっただろう。彼女はしばらく走ってやっと立ち止まった。ここまでは追って来られないだろうと・・・。


「はぁはぁはぁ。何だったの? はぁはぁはぁ」


 息を乱したまま振り返った。するとそこに青い髪をした少年が立っていた。何かピカピカ反射する服に長い鎖を巻いている。そしてその手にはリーサが落としたカバンを持っていた。


「これ、落としたよ」


 その少年はカバンをリーサにそっと渡した。


「あ、ありがとう」

「驚かしたみたいでごめんよ。あの大男はゲンブといって俺の仲間だ。不愛想だが気はいい奴なんだ」

「えっ。てっきり化け物だと思った」

「ははは。あんな姿で出てきたら誰だってそう思うよな」


 その少年は無邪気に笑った。


「ところであそこで何をしていたの?」

「調べているのさ。この辺のことをいろいろと。ご主人様に頼まれて。あっ、もう行かなくちゃ。俺はセイリュウ。またな」

「私はリーサよ。じゃあね」


 リーサはまた家への道を走り始めた。だが急に立ち止まって後ろを振り返った。


(セイリュウとか言ったあの子、精一杯走った私に遅れずについてきたんだわ。息も切らせずに・・・)


 セイリュウを目で探したが、その姿はもうなかった。


「どういうことなの? あの少年は私よりすごく足が速いの?」


 リーサは首を傾げた。


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