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プロローグ
「貴方のスキルは『竜殺し』です」
15になった時、神託でオレに与えられたスキルを告げたシスターは苦笑いしてそう言った。
「えーっと……『竜殺し』ってのは具体的にはどんな?」
「え? ……せ、聖剣バルムンクの主であるそうです! 召喚できますよ!」
「……他には?」
「……ドラゴンに対してあらゆる恩恵があると」
「ドラゴンって……あの“ドラゴン”? 絵本とかに出てくる空想の?」
「え、ええ」
シスターの顔がひきつっている。
オレはとりあえず手をかざして『聖剣バルムンク』とやらを念じてみる。
すると、教会の天井を突き破り、どこからか剣が目の前に突き刺さった。
「おお」
いつでも喚べる剣。そう考えれば悪くないと思い、バルムンクを手に取る。
しかし、次の瞬間にバルムンクは古く錆びると刃は塵になり持つ部分だけが手元に残った。
「……えっと……これで貴方のスキルは以上です。ジークさん」
それは死刑宣言の様にオレを絶望させた。