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SOCIETY ver.5.1  作者: 財天くらと
本編
8/45

ver.5.0.7 O阪府警察本部

 今日から六月のカレンダーに突入する。

 先週も一件、感染者が確認され、SMSTが駆り出された。

 市内の街中で多数の一般人が犠牲となったが、約十分で片が付いた。

 俺が部署内の机に脚をのせながら、スマホをいじっていると、壁に設置されているテレビからニュースの音声が流れてくる。



『先週の感染者によって殺害された犠牲者に国際協力機構JICAアフリカ部担当理事、山内トウヤさんが確認されました。山内トウヤさんは、発展途上国への無償資金協力や技術協力に力を入れていました。また、先月のU急百貨店での感染者による犠牲者で新たに、OECD日本政府代表部専門調査員増原ジュンコさんと、国立感染症研究所所長伊東マサハルさんの死亡が確認されました。O阪警察によりますと……』

「人間マルウェアの感染ペース、なんだか早くなってないか」



 と、テレビをじっくり見る隊員が口に出す。



「だって、今まで一か月に一回やったやろ。人間マルウェアが出現してから五か月、今日までで六件。先月だけで、既に二件発生してるんやで。やばいやろ」



 皆、うんうんと頷く。

 俺は頭の中で頷いた。

 人間マルウェアは、まだ詳しく解明されていない。

 どういうふうに感染するかも不明だ。

 かといって、何も予防方法がないわけではない。

 ある教授が発表した、とんでもない仮説では、コンピューターウイルスではないかと結論付けている。

 インターネットを介してコンピューターに侵入、モニターを見ることで発症している、と。

 言わば、人間に効果のあるコンピューターウイルスだ。

 あまりに馬鹿げた仮説だが、誰も感染する瞬間を目撃していない。

 感染者を治療することは不可能らしく、結果として仮説に従うしかないということだ。

 なので、あまりコンピューターに触れるな、というのが予防方法である。

 ま、誰も従うはずない。



 時代はコンピューターを超えて、人間か。

 確かにコンピューターを操って金を要求するよりも、直接人間を操れば、口座に振り込んでくれるだろう。

 しかし、この人間マルウェアの製作者は金目当てではなさそうだ。

 現に、これだけ騒ぎを起こしているが大金という単語は聞こえてこない。

 そりゃそうだ。

 ただ単に、街で暴れるだけなんだから。

 街で暴れて、誰が得するのか。

 そう考えて、サイバーセキュリティ対策課は犯人探しに夢中だ。

 黒崎さんや小泉さんは大忙しだろう。

 とても食事に誘える雰囲気ではない。



「それから、警視庁から来たらしい公安警察官とすれ違ったんやけど、めちゃくちゃイラついてたで」

「なんでや」

「捜査一課のやつに聞いたんやけど、SMSTのせいで獲物を取り逃がしたとかなんとかで」

「マジか」

「知らんけど」

「はい、でたー。関西人のしらんけど」



 誰かがツッコんだ後、小さな笑いの波が発生する。

 俺は笑えず、机に置かれた宅配ピザに手を伸ばした。

 ピザを頬張った後、コーラを口に流し込む。

 公安警察は俺たちを恨んでいようが、こっちはピザを食う。

 そして、結城博士からもらった漫画を読む。

 北米大陸を乗馬で横断するストーリーだ。

 なんと言っても、レースの参加者と協力して、困難を乗り越える場面では教えられることが多い。

 結城博士は、この漫画の名台詞で励ましてくる。

 例えば、今読んでいるページの言葉はよく聞かされた。

 そうか、これが元ネタか。

 と、こんな感じで、結城博士が呟く言葉には元ネタがあると知る。



 部署の扉が唐突にスライドし、外からスーツを着た警察官が入ってきた。



「特殊マルウェア制圧部隊! 至急、二階大会議室に集合せよ。人間マルウェア緊急対策会議だ」

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