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逆さの虹、やっと見れたね

作者: みたに ゆづき

この村には、古くから言いつたえがあります。


それは、“逆さ虹の森”があったこと。

この逆さ虹の森は言葉どうり、逆さまの珍しい虹がかかり

いつしか、この森は逆さ虹の森と呼ばれるようになりました。



ところがある日、突然その虹が見えなくなりました。

ただの森になってしまったのです。

今の村人たちは誰も逆さの虹を見たことがありません。


それを聞いた村のこどもたちは

逆さ虹を見てみよう!と森に行くことになりました。




「森へは行けるけど、どうしたら逆さの虹を見えるようになるのかしら…。」

こどもたちは考えてみましたが、なかなか思いつきません。


「そうだ!ドングリ池に行って、逆さの虹を見えるようにお願いしよう!」

ひとりの男の子がひらめきました。

「でも、ドングリ池にはどうやっていけばいいのかなあ」


ドングリ池は村では有名なところだけど、こどもたちはドングリ池がどこにあるかは、わかりません。

「とりあえず、森に行ってみよう!」こどもたちは森に行くことにしました。




森へ着くと、コマドリさんと会いました。

「コマドリさん、もう1回逆さ虹を見たいの。」

「それでね、ドングリ池でお願いしたいの。」

「ドングリ池にはどうやって行けるかわかるかなあ?」


こどもたちはコマドリさんに言ってみました。


「それなら、みなさんで行ってみましょう。」

コマドリさんは得意の歌でみんなを呼びました。



「コマドリさん、どうしたの?」

他の動物が集まってきました。

「この子たちとドングリ池に行ってお願いして、逆さ虹を見ようと思ってるの。」


「僕も行く!」

「私も!」


こどもたちと動物たちは、ドングリ池に行くことにし、ドングリ池を目指して歩きだしました。


「ドングリ池でお願いするときは、ドングリが必要だから、ドングリを拾いましょ。」

キツネさんがたくさんのドングリを拾い、またドングリ池を目指しました。



「うわああ!」

いきなり、クマくんが叫びました。


「どうしたの?」

「オンボロ橋を渡るのかい?」

「オンボロ橋を渡らなきゃ、ドングリ池に行けないよ。」


「怖いよぅ…。」

怖がりのクマくんはブルブルとしてしまいました。



「クマくん、大丈夫だよ。」

まずは、こどもたちが渡ってみました。他の動物たちも落ちそうながら渡りました。


「さあクマくん、行ってみよう!」

まだブルブルと震えてるクマくん。


「早く行かなきゃいたずらするぞ!」

いたずら好きのリスさんが、葉っぱでクマくんの体をつんつんとしました。



「リスさん、いたずらしたらダメだよ。」

こどもたちが言うと、リスさんは「ごめんごめん」と謝りました。


恐る恐るクマくんはオンボロ橋を渡りきりました。


暴れん坊のアライグマくんもオンボロ橋を渡って、またみんなでドングリ池を目指しました。




森の中を歩くと、小さな池が見えてきました。

「ドングリ池だ!」

さっそく、キツネさんが池にドングリを投げて、みんなで

「「この森が逆さ虹の森になりますように!」」

とお願い事をしました。


けれども、逆さまの虹は出てきませんでした。



「虹、出ないねえ。」

どれだけ待っても虹は出ませんでした。


「この池はドングリ池じゃないのかなあ。」

「ドングリ池は通り過ぎたのかなあ。」

皆が諦めかけたその時でした。


「あそこにトンネルがある!」

とコマドリさんが言いました。



コマドリさんが見つけたのは、小さな小さな葉っぱのトンネルでした。


「トンネルを越えたら、池があるかもしれないね!」

こどもたちも、動物たちも、葉っぱのトンネルをくぐることにしました。





葉っぱのトンネルは、ヘビくんやコマドリさん、こどもたちはすいすいとくぐれましたが、大きなクマくんやアライグマくんはなかなかくぐれませんでした。



なかなかくぐれないクマくんやアライグマくんを見たリスさんが

「私のしっぽをつかんで!」

と言って、しっぽをアライグマくんに向けました。


リスさんのしっぽをアライグマくんが、アライグマくんのしっぽをクマくんがつかんで、よいしょよいしょと歩きだしました。


「リスさん助けてくれてありがとう!」

「私こそさっきはいじわるしてごめんね。」




トンネルの向こうには、また大きな池がありました。

「これが、ドングリ池なんだね。」


キツネさんが池にドングリを投げてみんなで

「「この森が逆さ虹の森になりますように!」」

とさっきより大きな声でお願いしました。


けれども、逆さまの虹は出てきませんでした。



「虹、出ないねえ…。」

「もしかして逆さまの虹が出るって嘘だったのかなあ…。」

「それとも、この池は本当にドングリ池なのかしら。」


こどもたちも、動物たちも、考えこんでしまいました。


「虹は出ないんじゃないかしら。」

キツネさんが突然言い出しました。

「それって逆さ虹が出るって嘘だったの?」

「頑張ってここまでに来たのに…」


キツネさんは「違うの。みんな空を見て。」

キツネさんの言葉どうり、みんなは空を見上げました。


「あ!」

こどもたちと動物たちは声を揃えて言いました。



今日は雲ひとつ無い天気です。

「そうか!虹には雨と太陽が必要なんだ!」

「でも、こんなに天気が良いと雨なんて降らないよね…。」



「それから、みんなが思っているように、この池はドングリ池とは違うわ。」

「キツネさん、理由はわかるの?」

「簡単よ。願い事が叶わないんだもの。たとえ、私たちの願いが叶いそうでは無くても、何か変化はあると思うわ。」

「そういえば……そうだよね。」

みんなはキツネさんの話を、うんうん。と聞いていました。




「じゃあ、ドングリ池はどこにあるのかなあ。」

周りをぐるりと見たけど木がいっぱいで、木の他には何もなさそう。

「ドングリ池って本当にあるのか。」

ちぇっとアライグマくんが座ったときでした。



「そこだ!!」

男の子たちが言いました。

「??」

皆、男の子たちが言ってることがわかりません。


「どういう意味?」

女の子たちが聞きました。



「アライグマくんの座ってるとこは道なんだ!」

「え?道?」

よく見るとアライグマくんが座ったところには木は生えてなく、砂で出来た道でした。



「気づかなかったよ。」

男の子たちのおかげで、まだ奥に道があるのがわかったので、こどもたちも、動物たちも、道を歩いて森の奥に進むことにしました。



でもその道はとてもとても怖くて危ない道でした。細かな砂で出来た地面。岩で出来た階段。今にも何か出てきそうです。

「きゃーっ!」

後ろのほうで歩いていた、ひとりの女の子が足を滑らせてしまい、崖から落ちそうになりました。

「危ない!!」

皆は叫びました。



でも、その女の子が落ちませんでした。ヘビくんが女の子の手首に絡ませたのです。

ヘビくんは女の子を手首を絡ませたまま、にょろにょろとゆっくりと崖を登り、みんはの元へ行きました。

「危なかったね。」



「ヘビくんありがとう!」

「いいんだよ。せっかくここまで来たのだから、みんなでドングリ池に行こう!」



みんなで、またドングリ池を目指して歩き始めました。



森の中に進んでいるうちに、だんだんと真っ暗になってきました。

怖くなってきたのか、女の子たちは泣き出してしまいました。

動物たちは、ドングリ池に行こうか、それとも諦めて戻ろうか、考えました。



泣き出した女の子たちを見たコマドリさんは、元気な歌を歌い出しました。他の動物たちや男の子たちも一緒に歌います。

女の子たちは泣きやみ、みんなで歌いながら歩きました。



歩いていると、よく澄んだきれいな池が見えてきました。

「これがドングリ池だったらいいのにね。」



キツネさんは池にドングリを投げてみんなで

「「この森が逆さ虹の森になりますように!」」

と大きな声でお願いしました。



すると、さっきまで雲ひとつ無い天気だったのに、もくもくと黒い雲が出てきました。

そして、ザーザーとたくさんの雨が降ってきてしまいました。

「うわー!すごい雨だ!」

みんなはびちょびちょに濡れてしまいました。



でも、たくさんの雨はすぐにやみました。そして雲と雲との間から太陽が出てきました。



「あ!」

空を見てみると、綺麗な虹がかかっていました。

「逆さまの虹だ!」



キツネさんはもう一度ドングリを投げて

「「ずっとこの森が逆さ虹の森でありますように!」」

とみんなでお願いしました。



こうして、何もなかった森は逆さ虹の森となり

逆さ虹は消えずにずっとずっときれいな森になりました。



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― 新着の感想 ―
[良い点] それぞれの動物の見せ場がしっかりと用意されていて、特に蛇の人助けシーンはなるほど! と思いました。 冒険のあとの、逆さ虹。 素敵なご褒美になりましたね♪
2018/12/20 18:49 退会済み
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