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転生者と魔王の娘  作者: 板橋稍梧
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黒幕死しても陰謀の矢は止まらず。

ミゲルとかいう天使。マジ天使。



  暗い洞窟に一人残された少年ミゲルはその顔を歪めていた。それは決して暗闇への恐怖心からではない、悦んでいたのだ……また一人、愚かな人間が自身の掌の上で哀れに踊って自分を愉しませてくれるのだから。

 「本当に面白いよ、君達人間は。ふふふ……。」

  喜悦に歪むミゲルの雰囲気は、先程の生意気な少年のそれではなかった。見るものが見れば涙を流し、頭を垂れ、跪くであろう程の神々しさを放っている。彼こそが動画投稿者名、十二翼の天使であり、異世界における天界の最高責任者であり、この世界の人間を違法に異世界に転生させていた張本人である。

 「彼で百人目位かな?異世界に送ったのは……ん?」

  と、上機嫌だったミゲルの顔が訝しげに歪んだと思ったら何もない空間に向かって先程よりもより歪んだ微笑を向けている。彼が何を見ているのかはこちらからでは確認できないが、彼を愉快にさせるものである事は想像に難くない。

 「凄いなぁ、シルヴァ……。まさか、君がここに現れるなんてねぇ?よっぽど、僕を殺したかったとみえる……!」

  ミゲルに会いに来たのはシルヴァという人物のようだ。何者かは分からないがミゲルの親しげな様子から旧知の仲と言えるかもしれない、しかし……殺したかったという言動から鑑みるに、よほど恨まれているのだろうか?

 「でもいいさ、君が引導を渡してくれるというなら僕はそれを甘んじて受け入れるよ。」

  ミゲルは両腕を広げて目を閉じた。彼が犯した罪を断罪する一撃を待つかのように静かに佇んでいる。だが、急に顔がそして口が狂悦に歪んだ。

 「これはそっちには聞こえないだろうけど、僕から君に最後の嫌がらせ(プレゼント)を送っておいたよ。あぁ、君の苦悶に歪む顔が直接見られないのは心苦しいけど、精々愉しんでね?アハハハハハハハハ!」

  ミゲルの嗤い声が洞窟内に木霊する。だがそれは、唐突に終わりを告げる。嗤い声の途中で後ろに吹き飛んだのだ、その貌は狂悦に歪んだまま……地面に当たることなく体が光の粒子となって消滅した。そして、この洞窟内に命あるものは存在しなくなった。



  翌日、動画サイトから十二翼の天使のアカウントが抹消され人々の記憶からも消滅した。これで、ミゲルの存在はこの世界から完全に失われた。だが、彼によって異世界に送られた人間達の消息は未だに掴めていない。                 異世界運営機構・管理課・課長 シルヴァ=ヴィアロイド


  報告書の最後の文言を眺めてからそれを机に投げ捨て、自らの椅子に深く腰掛けた。思いを馳せているのは自分とミゲルの間にあった因縁、そして死して今尚厄介の種を蒔いている案件の事であった。被害の拡大は最早無い、だが、被害を素早く収束する為には彼の協力が必要不可欠であったのだ。

 「転んでもただでは起きないってやつか……、本当に最悪だな。」

その精神性は別として、ミゲルの保有する力は天界に於いて最強。とかいう厄介者、死んでも迷惑を掛けるという鉄の意志。

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