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ー第2話喪失


ー第2話喪失


エリアは撃たれたファンと共に、ロンドン中央病院に搬送された。

病室で意識が有ると叫び続けるので、睡眠薬で眠らされた。

それでもマイクを手から取る事が出来なかった。

恭之助は正確な情報をPCで発信し続けた。

その作業が一段落し、BBCニュースのインタビューに答えた後、エリアの病室で床に崩れ落ちた。

「すまない。あと1秒早く、エリアが気付いて逃げてと言う前に動いていたら。エリアを外に出せた」

美里は恭之助を抱きしめた。

「エリアは死ななかった。謝る事ないよ」

「俺が手間取ったから、逃げられるはずのファンが戻ってきた。俺が殺したんだ…みんな、撃たれてるのに…両手拡げて立ち続けてるんだ!……ファックって唸りながら!俺がひとり撃たれれば良かったのに!」

こぶしが空を切った。

「ファンの人がね。こう言ってるって、安藤君が教えてくれた。2000万人にライブ配信なんて、気が狂ってるけど。フィメールサーバントはみんなの希望と夢だから、やってみせるんだって」

恭之助が震えた。

「もし。私の希望と夢がマシンガンで撃たれそうになったら。私も盾になってファックって唸るよ」

恭之助は顔を上げた。

「そうだな…ファンが守ったフィメールサーバントを終わらせる訳にはいかないな。エリアが失ったハートを取り返さないと…後はゴトコットンとか奈美んちょのケアをしないと…」

いつもの冷静沈着な恭之助が戻ってきた。

「大事な人を忘れてない?」

「誰だ?」

「わ、た、し。」

「ケアが要るのかい?大丈夫そうだが?」

「要るに決まってるでしょ。まぁいいけど」

こんなやり取りをしていないと、泣き崩れてしまう。


一週間イギリスに滞在した。

亡くなったファンの葬儀に出た。穴が掘られていて、棺に入れられて降ろされ埋められる。

12人がそれぞれの故郷で5ヵ所に分かれて行われた。メンバー3人で手分けしてすべての葬儀に出た。私たちが出られるように、遺族が日にちをずらしてくれた。

彼らの部屋にも招かれた。壁すべてにポスターが張られ、メンバーとの記念写真の中で笑っている。

カレンダーには、ミラクルと書かれて、あの日に赤丸が打ってある。 

彼らの最期は世界中で2000万人が見た。

動画は拡散して、すぐに論議は2つに割れた。 

エリアが逃げろとステージで言わなかったら、12人は死なずにすんだ派。

エリアのおかげで12人ですんだ派。

遺族はすべて、エリアと彼らが、他の人々の命を救ったと言ってくれた。

現場に居たファンも同じ意見だった。

その論議はすぐに収束したが、別の問題がネットで炎上した。

自分から積極的に発言する事の無かったゴトコットンがイスラム批判の発言を始めたのだ。


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