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ー5話その5
5話その5
空港にイラク政府のチャーター機と貨物機が待っていた。
機材トレーラーごと貨物機が運び、貸切状態のファーストクラスで移動した。
アンヒッラ村跡のライブ動画で、アラブ全体が国家再建の気分に変わった。これ以降ヨーロッパ難民が一斉に、国会再建の為に帰国し始めたのだ。
市民の意識が変わった為に、テロが民間レベルで防止されるように変わった。
慌てたのは、対テロ名目で派兵している各国政府だった。
CIAによる偽装テロがリークされ、大統領が指示したかどうかでアメリカが揺らいだ。
その気分の象徴として、美里のバクダットライブは語られる事になる。
美里の歌詞に政治的メッセージも要素も無かったが、アラブ世界はアンヒッラの先導者と呼称する。
アメリカを元とする戦勝5ヶ国は美里を危険視し、音楽活動の妨害するようになる。
それはまだ先の話。
奇跡のようなバクダットのサッカースタジアムライブを終えて、美里は休養を取った。
エリアに変わりはなく、音階練習の時だけ美里に反応した。
そして、5年が過ぎて恭太郎バンドがインディーズデビューした。
美里は40才を越えた。