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せっとく(改)

追記

2019年4月11日に加筆修正しています

「やだやだやだぜったいにいやー!」


子供の駄々ではなく、相当な年数を生きている魔女の駄々ほど大変なものはない、とヘンデアルとグレテルは目の前で駄々をこねる魔女を見て思った。


街から森に帰り、街の様子を伝え、なんとかしなければ、という話になった。

いま魔女の家には親に捨てられていた子たちが5人ほどいる。

乳飲み子が3人にようやく立って歩けるようになった子が2人だ。


ヘンデアルとグレテルもようやく12才と10才になったばかりだ。

少し大人びているとはいえ、街の司祭と渡り合う頭脳があるとはいえ、大人が必要な時もある。


この子供だらけの大所帯でヘンデアルよりもちょっとだけ大人なマルガレーテは、しかし上記のような駄々っこになってしまった。



「おそらく、司祭は国からの援助を着服しているとおもう。預かっている孤児っていうけれど、教会の中には孤児の姿なんか一人も見かけなかったし」

教会にいった時のことをヘンデアルは思い出す。

「街に孤児が増えてて、市場のおばさんはこのままでいくとこの冬には多くの子供たちが死ぬことになるだろうって言ってた」

「この子達みたいに森に捨てられたりする子もいるよね」

「親がいる子はそうなる可能性があるだろうな」

「これ以上はキャパオーバーだし、無理よ…」

「街にいる孤児たちは森に捨てられるということもない代わりに、街で物乞いをして、日々をただ過ごしているだけなんだ」


作物が育たず人々に余裕がない、すると仕事も自然に減っていく。孤児でも食い扶持を稼ぐ方法が街が潤ってさえいればいくつかあるのだが、それすらも今の街では厳しい状況となっていた。


ヘンデアルとグレテルとマルガレーテは、街の状況を考え、どうしたものかと考える。


「マルガレーテ、一回街に行ってみて、魔女の力でなんとかできるものは解決したりできないかな」

街の人たちの畑で、マルガレーテが自分の畑でやったようなことをしたら、街のみんなが潤い、なんとかなると思う、というとマルガレーテはとんでもない、と首を振る。


「あれは、私の畑の土から育てて何十年ってやってようやくできることだから、他人の畑にいって、ちょっとやるってものでもないのよ」

「じゃあせめて不作になった理由とか原因だけでも取り除けないかな」

ヘンデアルのお願いにちょっと考えこんだあと、それくらいなら、と返事をする。

だが…


「絶対にいやー!」


ヘンデアルとグレテルが市場のおばさんに借りた洋服を出すと、マルガレーテはものすごい勢いで駄々をこね始めた。

「黒じゃないお洋服着るのはいやー!!!!!」

「え、魔女って黒い洋服じゃないと死ぬの?」

「・・・死なないけど」

「魔法が使えなくなるとか?」

「・・・つかえるけど」

「じゃあなんで?」

「そんな若い子のお洋服着慣れてないから無理!街にそんな恰好でいったらあの子変な格好してる、似合わないとかいって、石とか投げられる!絶対!」


引きこもりのファッション行方不明な魔女の可愛い洋服アレルギーに、ヘンデアルとグレテルはどうしたものかと考える。


「でもマルガレーテが今着ている洋服だと”魔女です!”って言って歩いているようなものだし、教会に目つけられたら面倒臭いし」

「それに、マルガレーテが助けてくれたら、せめてみんなご飯だけはお腹いっぱいに食べれるようになると思うんだ」

「僕たちみたいに親に捨てられる子もいなくなると思うんだ」

「だからお願いします、この洋服来てください」


二人の真剣な表情にマルガレーテはしぶしぶ頷くのだった

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