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おうちにかえって(改)

「おそいよおおおおお。二人ともおおおお」

台車を引いてやっと帰ってきて扉を開けると、半泣きになったマルガレーテが2人を出迎えてくれる。


3人の赤ちゃんの泣き声に2人のちょっとだけ大きな子たちの鳴き声の大合唱。

その中心でマルガレーテが座り込んでいた。


「おしめもかえて、ミルクを上げても泣き止まないのおおおお。なんでえええええ」

さらに大きな子供の泣き声が加わる。


「グレテル、とりあえず、あかちゃんを頼む。僕はごはんの準備をしよう」

ヘンデアルは状況を秒で理解しておそらくは全く手が付けられないでいたのだろうごはんの準備へととりかかる。

「と、その前に」

ホットミルクをカップに注ぎこの前焼いておいたクッキー1枚を2つのお皿にそれぞれいれて、年かさの2人にあげると、つられ泣きしていた二人は泣き止んでクッキーを美味しそうに食べ始める。


大きな子供にはお酒をちょっとたらしたホットミルクを作って渡す。


「にいちゃん、やっぱり眠くてぐずってたみたいだ。3人ともよく寝てるよ」

子供をあやすことに関してはぴか一の腕を持つグレテルのゴッドハンドで眠りについたあかちゃん3人は天使のような寝顔でベッドですやすやと寝息をたてている。


「こっちも眠ったみたいだな…」

お酒をおとしたホットミルクでマルガレーテは泣きつかれてすやすやと眠りについてしまったようだ。


「とりあえず、お腹空いただろう。ごはんにしよう」

野菜たっぷりのスープとパンを焼いて、ヘンデアルとグレテル、リンとレンは簡単なごはんにする。

「今日の街の事は明日にでも話そう」

「…そうだね」

マルガレーテが気持ちよさそうに寝ているので、今日の昼間一人にしたあとの奮闘を想像し、起こすのは忍びない、とラグの上で寝ているマルガレーテにクッションと毛布をあたえて寝やすそうにしたあと、4人も休むのだった。





「あさ!?」

翌日、ヘンデアルとグレテルが起きて、朝ご飯の支度ができたあたりで、マルガレーテはがばっと起きた。

「コーンスープの匂い!」

「マルガレーテ、朝ご飯食べるなら、顔洗って身支度を整えてからだよ」

ヘンデアルにいわれて「はあい」と返事をする。


2歳くらいの二人、リンとレンはすでに顔を洗って身支度を整え、席にちゃんと座っていた。

今日の朝食は焼き立てのパンにコーンスープ。カリカリのベーコンを添えた目玉焼き。

畑で取れたキュウリとトマトのサラダだ。


「…ってことがあってね」

街のこと、教会と孤児院のこと、市場や孤児のことを離すと、マルガレーテは沈んだ表情になる。

「畑さえちゃんと実りがしてればこんなことにならないのよね」

「不作が街の荒んでいる一番の原因だからね」

「比較的ここ一帯は作物が育ちやすい土壌なんだけれども…」



とりあえず今日も野菜を作って、少しでも街に出せるようにしよう、という話になり3人で畑に向かう。

とはいえ、ほとんどがマルガレーテの魔法でできてしまうので、ヘンデアルとグレテルは収穫作業までマルガレーテの魔法をじっとみている。


マルガレーテの魔法は農業に関しては得意だ、というだけあって、小さな畑に小麦をつくって、同じ場所で玉ねぎ、そのあとは人参、そしてジャガイモ、そしてまた小麦と1時間の間にいくつもの作物を育て収穫し、育てることができる。


魔法で苗やタネを植えて小麦は風にのってくるくると殻と実に分かれ、気が付くとその一部が粉になり、ヘンデアルとグレテル達の前にある袋に野菜も小麦も小麦粉も詰められていく。

それを二人は収穫されたものを保管する倉庫と台車、そしてパンを焼くために家へと運び込む。


牛の乳も同じように気が付いたら目の前のミルク壺に満杯になっていて、麦の草は牛の前に置かれ、美味しそうに牛がそれを噛んでいる。


不器用なマルガレーテが一人でもなんとかやって来れたのはこの魔法があったからなんだな、と畑で楽しそうに作業をするマルガレーテを見ながら二人は納得した。


追記

2019年4月11日に加筆修正しています

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