はたけをげんきに(改)
肥料の話から牛や豚のうんちの話になってしまったデザートタイム。
「牛や豚や鶏が餌を食べてその体が変わっていって、ちゃんとした肥料をとれるようになるまではものすごく時間がかかるのよ」
「そっかー。簡単にはいかないよねえ」
マルガレーテとグレテルがそんな会話をしていると、ヘンデアルが
「そうでもないかも」
と、何かを思いつく。
「マルガレーテ、その肥料を畑に撒いたらどうなる?」
「二人も知っての通り、土に直接魔法かけると合わせると、普通の作物の1000倍の速さで育つし元気になるわよ。でも…」
「でも…?」
「この肥料、普通の土の100倍くらい重くて、1,2メートル移動するだけでやっとなの」
マルガレーテの畑が小さい理由がここで明らかになる。
「なぜか栄養たっぷりの肥料になると、元の土の100倍くらい重くなって、ちょっと運ぶにも重労働なの。だから、街の畑全部に撒くのは量も足りないし運ぶのがそもそも…」
「マルガレーテの畑みたいにならなくていいんだ。呪いを除けて、作物が普通に育つくらいで。その場合例えば今日見てもらった畑ひとつにどれくらいの肥料が必要になる?」
ヘンデアルがそう聞くと
「それだったら、一掴みの肥料を丁寧に畑に撒けば…でもそれでも運ぶ肥料の量は10袋くらいになるから、ものすごい重さになると思うの」
そういうマルガレーテに
「10袋くらいだったら、任せろ!運べるよ」
グレテルが得意そうに胸を叩く。
「グレテルの腕力をなめてたな」
運搬方法はあっさりと解決がつく。
「問題はどうやって全部の畑に一度に配るかだけど…ていうか俺たちが配ってたらばれちゃうし…ちょっとずつみんなに分けるっていってもなあ…」
「どっかに置いて行って、ご自由にお持ちくださいっていうのは?」
「でも、そこに肥料があるよってどうやって教える?」
「みんながそこに集まってくれたらいいんだけど…そしたら誰が元凶かも教会のやつらもわからないだろうし」
「…みんなが集まる…か。グレテル、ちょっと物は相談なんだけど…」
何かを思いついたヘンデアルがグレテルとマルガレーテに相談をすると、
「それはいいアイデアだね!」
「面白そう!」
と二人はニコニコして明日さっそく準備をしよう、ということになった。
翌日。
日が昇るとすぐにマルガレーテは畑にいき、作物の量産をし始める。
倉庫にあった野菜のストックは全部、台車に積むと、グレテルは
「すぐ戻ってくるからね! いってきまーす!」
と元気に台車山盛りの作物を軽々と引いて、街へと向かっていった。
畑では順調に出来上がった作物を倉庫に次々としまい、家にマルガレーテが戻ると、牛の乳を使ってバターとチーズを量産しているクマの横でヘンデアルがパンを量産していた。
2歳のリンとレンは二人の間を行ったり来たりしながらお手伝いをしている風だ。
「とりあえず野菜は倉庫いっぱいにしておいたよー」
とマルガレーテが言うと
「じゃあ、卵とってきて」
ヘンデアルにお願いされて鶏小屋へと向かう。
マルガレーテのお家の鶏はとっても元気なので一日に2、300個ほどの卵が量産されている。
マルガレーテが食べるのはたかが知れているので、それ以外は放っておくと、雛が大量に育っていく。
牛や豚はあまり食べるために潰さないのだが、鳥は良く潰す。
でもそれ以上に増えていく。
なので、最初4羽だった鶏はいまや一大帝国を築いていた。
飼っている、と認識している以外にも裏庭には果てしなく鶏があふれているのだ。
「卵…より鶏もっていっちゃだめかな?」
「コケ?」
目の前の鶏に聞いてみたが、首を傾げられてしまった。
「ヘンデアルー、卵とってきたよ」
そういって、かごいっぱいの卵を渡す
「あと、鶏はめっちゃくちゃいっぱいいるから、鶏つれてっちゃったほうが、卵もっていくより楽かも?って思ったんだけどどうかな? 卵割れちゃうし」
「え、鶏あげちゃっていいの?」
「というか、少し処分しないと、このままだと裏庭の鶏帝国の所為で草一本も生えない土地になっちゃいそう」
というと、クマがなぜか俺に任せろというゼスチャーの後、畑の倉庫へと向かい、小屋にある麦のわらの束をつかむ(どうやって?とマルガレーテもヘンデアルも思ったが口には出さなかった)。
そしてそのわらの束でざくざくとかごを編んでいった。
グレテルがしゃがんだら入れそうな大きさのかごを5つほど作ると、鶏をこれに入れろとジェスチャーをする。
「わかった!これに鶏を入れて街までもっていけっていうんだね」
ヘンデアルがクマにむかって言うと、クマは満足そうに頷く。
そのあとの鶏との闘いはなんとかマルガレーテとヘンデアルの勝利で終わった、とだけ言っておく。




