あいであがでない(改)
追記
2019年4月12日に加筆修正しています
「とりあえず、町のみんなを助けるためにどうしたらいいか考えましょう」
マルガレーテはこのままだと、子供はみんな戦争のために都に連れていかれ、
お年寄りたちは野垂れ死ぬ運命をどうにかして救おうとアイデアを出すことにする。
「毎日野菜とかパンを僕たちが配達したらどうかな?」
「それは現状を引き延ばすだけで、なんの解決にもならない」
「じゃあ、村の人たち全員をマルガレーテの家に連れて着ちゃえば?」
「どんなに年寄と孤児ばかりといっても、500人はいるんだから、この家のどこにはいるんだよ。いくらなんでも無理だよ」
グレテルの提案をヘンデアルが却下する。
「そもそもそんな多人数が森にいたら、あっという間に見つかって連れ戻されちゃうだろ」
「あ、それは大丈夫。大魔女様たちが残る私のために大きな結界を張って下さったから。危害を加えようとする人や、悪意のある人は私のお家の周りには入れないの」
「じゃあ、マルガレーテの家の近くにみんなを連れてきちゃおうよ!」
「グレテル、さっきも言ったけれど、それだと根本的な解決にならないんだよ」
「「なんで!?」」
マルガレーテとグレテルの声がハモる。
「この村の人が逃げたとして、他の村がターゲットになるだけだ。それに逃げたとして、それはいつまで? 1ヶ月? 1年? 10年? いつまでも逃げ続けるの? 戦争が終わるまで? 無理だよねそんなの」
「ヘンデアル…」
12歳のヘンデアルにいわれ、現実の厳しさをマルガレーテは知る。
「じゃ、じゃあどうしたらいいんだよ。僕たちだけ、ここで暮らすの?優しくしてくれた村のおじいさんたちやおばさんを見捨てるの? 僕と同じみんなも? そんなの嫌だよ!」
グレテルが出した大声で、眠っていた子供たちが目を覚まし、泣きだす。
「ああああ、ごめんねごめんね」
あわてて、あやしたりするマルガレーテたちをクマが痛くないぬいぐるみの手でポカリ、と殴る。
「・・・ごめん」
赤ちゃんたちになのか、クマになのか、それともグレテルになのか。
ヘンデアルはそう謝ると「もう寝るね」といって、ベッドへと向かっていった。
今日は村にいき、いろいろなことがあって、肉体的にも精神的にもくたくただったマルガレーテもグレテルも、今日はもう寝ることにする。
寝たら、何かいいことを思いつくかもしれない。
そう思いながら。
翌朝。
3人は畑に行き、作物を育て、パンを焼き、村へ行く準備をする。
アイデアは何も出てないが、何もしないよりかはせめて食べ物だけでも届けよう、そう思って。
森から村に向かう道は、いつもより言葉少なく、ただ黙々と重い足で歩くのだった。




