きょうかいのいんぼう(改)
追記
2019年4月11日に加筆修正しています
ヘンデアルとグレテルとマルガレーテは、おじいさんの話を聞いた後、台車を家の中で預かってもらい、近隣の畑を見行くことにした。
教会がかけた魔法というのがどんなものか確かめるためだ。
「でも、教会が魔法をかけた後不作になったのなら、みんな教会がおかしいってなっても不思議じゃないのに、なんでみんな黙ってるんだろう?」
グレテルが不思議そうにいうのにヘンデアルが答える。
「そんなの決まってるさ。教会なんてこんな田舎の街じゃ、領主よりも下手したら力もってるだろう。中央の本教会とも通じてるし。学校に行くのも仕事を貰うのも、この村で生活するなら、教会の司祭の許可が必要だから、誰も盾つかないんだよ」
「え!? 学校にいくのも、仕事も教会が決めるの?」
「そうだよ。少なくとも俺たちはそうやって教えてもらったし、そういわれてる」
領主は領地が豊かになるよう、領民の長として税を徴収し人々を指導する立場。
教会はその領地で領主から国の代わりに税金をもらい、一部を国に納め、残りで学校、病院、街の役所を運営する。
「確かにそれだったら領主が領民にむやみに税を課したりしないし、良い方法とは思うけれども、教会の負担が大きすぎるのじゃないかしら…?」
畑に向かう少し気が生い茂る木立の道を歩きながらマルガレーテが考えながら独り言のようにつぶやくと
「だから教会は国からも領内からもお金をもらってる。お金があれば人を雇えるし地域を治めることができる。だから権力も集まりやすい。領主と手を組んだら最悪だ」
木立を抜けると、麦の畑が山の裾野に広がり、ここが実りの時期であれば黄金の稲穂が揺れる綺麗な景色になるだろうと想像ができる場所だった。
けれども、今目の前に広がっているのは、これから青々と茂るはずの麦は立ち枯れ、ところどころに黒ずんだ穂を残すのみとなっている。
「これは酷い…」
麦を見るに、他の作物の状態も容易に想像がつく、それだけ惨憺たる有様の畑にマルガレーテは言葉を失う。
無言で畑に近づき、土を一掴みすると、何かを呟く。
すると、握られていた土がひかりはじめ…たとおもったら、何かにはじかれるような音を立てて、その光が霧散した。
「わ」
「びっくりした」
見守っていたヘンデアルもグレテルも音にびっくりすると、マルガレーテのもとに駆け寄ってきた。
「ナニ? いまの」
「どうしたの? どうしてパーンってなったの?」
二人はマルガレーテの手のなかの土をのぞきこむ。
するとそこには灰色のまるで炭の燃えカスのようなものが残っていた。
「やっぱり」
マルガレーテはそう言って土を見つめる。
「これは魔女を退ける呪いなんかじゃないわ。私と同じ魔法使いが掛けた、作物が育たなくなる魔法よ」




