まちがおかしい(改)
追記
2019年4月11日に加筆修正しています
「ねえ、変じゃない?変じゃない?」
数メートル進む度にマルガレーテが聞いてくる。
おばさんにもらった洋服を着たマルガレーテは小麦色の髪を二つに分けて編みこんでいて、白いパフスリーブのシャツにベージュのベスト、サーモンピンクのスカートともぴったりだった。
「あと、ふたりとも荷台があるのに歩くの早いよ!!!!」
ハアハア言いながら歩くマルガレーテを見てヘンデアルもグレテルも
「マルガレーテは引きこもりだからもうちょっと体力つけるべきだね」
「なんでも魔法に頼るのは良くないよ」
そういって、厳しめに駄目だしをする。
なぜ厳しめかというと、真っ黒の服を着て、料理を焦がすマルガレーテばかりをみていたが、こういう女の子の格好をすると、マルガレーテはそんじょそこらの女の子よりもよっぽどかわいい女の子だったと気が付いてしまったからだ。
「どうしたの? ふたりとも黙っちゃって」
マルガレーテが黙々と歩く2人をみて不思議そうな顔をすると
「も、もたもたしてたら日が暮れるし急ぐぞ!」
「そ、そうだね!!」
さらに2人は速度をあげて街へと歩を進めるのだった。
街につくと、数日前に来た時より、さらに街は人気がなくひっそりとしているように見えた。
街の入り口にいる衛兵は3人を見ると「あ!」と言ったままどこかへと走っていく。
おそらく教会の司祭へと報告にでも行ったのだろう。
街に足を踏み入れると人が行き交い、活発なはずの大通りですら人影がない。
「あいつら、どこにいったんだろう」
「あいつらって?」
ヘンデアルが周りを見回しながら誰かを探して呟くのをマルガレーテが聞く。
「いつも手伝ってくれてるここら辺にいる家のない俺たちと同じような子供たちだよ」
荷台を引きながら辺りの様子を見て回ると、街のあちこちに教会が立てたと思わしき標識が置いてある。
「なになに? 市場は教会の許可がなくては出してはいけない? なあにこれ」
マルガレーテがあちこちにあるそれを見ていぶかし気な顔になる。
「教会が立てた決まり事だよ。昨日より増えているみたいだけど」
見ながら歩いて回ると
「夜は必ず家にいること」
「数人で集まって話をしてはいけない」
「教会の悪口をいってはいけない」
「教会の悪口を言ったものは厳罰に処す」
「教会の悪口を言ったものを教会に教えたものは銀貨10枚を褒美として渡す」
といったものがあちこちに立っている。
「普通じゃないわね」
マルガレーテが呆れたように見ながら言う。
「にいちゃん、夜は必ず家にいることって、あいつら家がないからどうしたんだろう」
看板の一つを指さしてグレテルが心配そうな声を出す。
「そうだな。ちょっと心配だしとりあえずおばちゃんの家に話を聞きにいこう」
荷台を押しながら市場のおばちゃんの家へと向かうことにする。
「あれ、いないのかな?」
扉をノックしても、家の中から返事が返ってこない。
市場には誰もいなかったし、彼らが行く場所に他に心当たりがなかった。
何か聞けるかと、隣の家をノックすると、お爺さんが扉を少し開けて顔を出してくれた。
「君達か」
ヘンデアルとグレテルの顔を見ると何故かほっとしたような顔をする。
「お隣のおじさんとおばさん、どうしたか知りませんか?」
そう聞くと
「とりあえず中にはいりなさい。荷車も一緒に。さあ、はやく」
と家の中へと招き入れてくれた。




