解散
あの私のいたずらのせいで紛糾した会議はもつれにもつれて終わったのは20時くらいだった。ここで終わっただけで各自の会社なり役場なりでこの後も会議だろうと沢渡先生は言っていましたが。青柳さんも絶望的な表情で製薬会社の社長さんたちについていきました。
結果としては推進派と要観察派が多い中で、反対派も生まれており三者三葉の意見がぶつかる状況となっていました。
推進派は製薬会社や研究所などの方が支持し、従来通り動物実験を通して一般的に使えるものなのかを探りたいのと、今回の私に対してもっといろいろな実験を行いたい。という趣旨でした。もっとぼかしていましたが私にはそういう風に聞こえていたのです。
要観察派は農林水産省の役人の方でしょうか。とりあえず観察してデータだけ取って実用の可能性と利益が見込めるならばという反応でした。
反対派は厚生労働省の竹沢さんですね。私に操られたのが気に障ったらしく危険だ。危ないと繰り返し主張していました。ただ明確な根拠のない薄い発言でしたけど。
「それでなぜ突然あんなことをしたんだい? その前の段階でも十分に話は進んだんだ」
「疲れていてちょっとした冗談のつもりでしたわ。ただあんなにうまく引っかかるなんて」
「確かにあれだけ集中して見てれば引っかかるのもうなずけるがそれでもあんなことをやらなければ話はうまく進んでこんなに遅くまでかからなかったのに。あなたはもっと賢い子だと思っていた」
「賢いってなんでしょうか? ただの高校生ですよ。本来なら会わない、いえ、会えないような人たちの目の前に連れ出されて好奇の視線の中でただいる。しかも私の人格なんて必要ない。名前さえも必要とされないような状況で疲れていたんですよ」
「それでも私たちの指示通りに動けば」
「あの冷え切った空気で何を言うつもりでしたの? 先生が何も言わないから、沈黙が不安だったから……」
「それでも……」
「あれも実験です。もしかしたらあるのかもしれませんよ。人を誘導する何かが」
そんなものがあるのかはわかりませんが先生もわからないでしょう。そういうものです。この頭の上は何もわからない。うつむく先生を残して私はプレハブを出た。岡村さんが静かについてくる。車に乗った私はため息をつき日常が早く戻るようにと祈るのでした。
大きなものが動けばそれに属する小さなものも動く。それは自然の摂理であり人の行動にも適応される。私のデータはいろいろな施設に拡散されてそれが人々の手に渡る。人の口に戸は立てられず、関係のない者たちまで情報はつながる。そして他の必要としていた者たちまで。
社会の闇が動いた。




