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来客

 学校に行きはじめて最初の一週間は平和だった。初日に効かせた睨みが有効だったのだろう。しかしそれでも自分の感情と同調してるってのはやりずらいもので、隠し事ができなくなってしまった。心の中で思っていることを蔦が表現してしまうので建前というものが使えないのだ。しかしちょっと訓練してみれば多少自由に動かすこともできて、一週間もすれば面白いことになっていた。

 そして二週目に入ったころ継続的に採り続けていたデータも集まり、また遺伝子の検査なども終わりそのまとめた結果が知らされることになった。さすがにこれは私と沢渡先生、青柳さんの三人で話したのだが秘密はどこからか漏れるもので……。



 先週から学校に行きはじめましたがやはり目立ってますね。まあ車での送迎付きに護衛付きに植物付きですからしょうがないですか。私よりは若干緩いですが友人二人も同じ環境なので、私だけではないということにも安堵を覚えます。まあみゆは楽しんでいるようですがひろみは恐縮しきりでちょっとかわいそうなんですけどね。

 そして今日も学校です。校門の前まで送ってもらい一度仮設ラボに朝の検査とお弁当などの荷物を置きます。名前の方は私たちがプレハブと呼んでいたら、中の研究員の方たちからせめて研究所と呼んでくれといわれましたので仮設ラボと呼ぶことにしました。呼び名なんてわかればいいと思うんですけどね。

 しかしデータがある程度まとまったので放課後の話はいつもより時間がかかると言われました。毎日の検診結果や遺伝子解析、あとは謎の葉緑体でしょうか。それらについての説明らしいです。これらは貴重なデータなので収集と分析に携わる人間を最小限まで減らし、違う分野のことはわからないように工夫されており、大抵の研究者は自分の分野しか知らないそうです。ここの仮設ラボの中でも全てを総合的に知っているのは沢渡先生と研究員のリーダーの方たち、そして私と一緒に説明を聞く青柳さんということなので今までみたいにオープンスペースではなく仮設ラボ内の個室で話すとか。


 放課後は秘密の話と言うことで今日はひとりで仮説ラボに向かいます。二人とは校門付近で別れました。こうなることはお昼にわかっていましたがそれでもちょっと寂しいものがあります。

 そんな私とは対照的に青柳さんがうきうきしながら歩いてるのを追いかけて仮説ラボに入ると普段より静かで緊張した雰囲気となっています。先に入った青柳さんも入ったところで固まってます。いきなり立ち止まったので背中にぶつかってしまいましたが、私は後ろから岡村さんに支えられて転ばないですみました。

 しかしどうしたんでしょうか? 青柳さんに隠れているので緊迫しているのがなぜなのかわからないんです。普段見ない方もいらっしゃるので誰か偉い人が来ているのでしょうか? ちょっと青柳さんの後ろから覗いてみるとスーツを着た方たちがオープンスペースの椅子に腰かけているのが見えました。


「おお、彼女がそうか。はじめまして、生田めぐみさん。私は厚生労働省の政務官の竹沢です。今回は大変でしたね。今日はあなたのその植物についての状況を確認しに来たんです。法律上どうするかとかこれから先の展望などの確認ですね」


 一番先に声をかけてきたグレーのスーツをピシッと着た40代くらいの細身の男性は厚生労働省の政務官という肩書だそうです。どれほどの肩書なのか想像ができませんね。あまりにも現実とかけ離れています。


「私も初めましてかな。よろしくお願いします。私は彼女の所属する研究所の出資者であるイザナギ製薬社長の伊那と申します。この研究所の建設にもお金を出していますよ。今回はあなたのことに関しての詳しい説明と文書ではわからない、理解できないこともあると思いましたので実際に会ってみることにしました」


 隣に座っていた恰幅の良い男性は製薬会社の社長でしたか。こちらの方がどれだけ偉いか想像がつきます。しかしながらイザナギ製薬って男性向けの育毛剤とかのCMをよく見る気がします。我が家にもお父さんや弟が使ってるシャンプーがあったはずですね。そんな大企業の社長さんで青柳さんの勤める研究所を作った方なんて確かに固まってしましますね。

 そのあとに続くのはイザナギ製薬とは対称となる女性向けのイザナミ製薬の社長、農林水産省の役人、植物の研究所の研究員などでした。お客さんは総勢8名ほどですね。このラボは狭いのでこの中には単身で来ているのですがこれでも椅子が足りなくなりそうです。とりあえず話し合いはここで行うことにして、話を聞く関係者以外は仮設ラボの外に出てもらうということになりました。これだけの人数だと個室に入りきらないのでしょうがないですよね。

 沢渡先生がプロジェクターの前に立ち、一番前には私が座りました。反対側はPCを操作する青柳さん。このお二人に挟まれ守られる形の配置となりました。

 沢渡先生が緊張に身を固まらせながらもプロジェクターを使って説明を始めました。


「今回、お集まりいただきありがとうございます。この度説明させていただく役目を任されました生田めぐみさんの主治医を務めます沢渡と申します。よろしくお願いします。さて偶然にも生田さんの頭に芽吹いてしまった植物に関するデータがある程度出そろいましたので現在起きている彼女の身体の変化と今後の予想を説明したいと思います。何分所々突飛な話ではありますので質問は各部門の最後にお受けします」


 沢渡先生が説明を始めると物音ひとつ立てない厳粛な雰囲気となった。ちょっと息苦しいのですがこの沈黙は早く話せと圧を与えるようにも思えます。こうして私の現状を話す会議は始まりました。


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