第8話 調査開始!……俺はまだ何もしてないけど
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【シュピネスト】は全3階層からなるダンジョンだ。1階層は2×3kmほどの標準的な大きさで、メインとなる魔物は【オスクラーニャ】と呼ばれる蜘蛛型の魔物だ。
ダンジョンというのは空気中の魔力濃度が一定以上の場所のことを意味するらしく、森だろうと平原だろうと魔力濃度が一定以上ならダンジョンということになるらしい。ちなみに、ラーシュ平原はダンジョンではないが、ビトル小森林の中心部はダンジョンになっているそうだ。魔力濃度が基準値を超えると急に魔物が発生しやすくなるらしい。
【シュピネスト】の入り口付近に集まり、最終確認をする。
「これより、【シュピネスト】の調査を開始する。まず、全員で最初の部屋に入り、魔物と戦闘。戦闘終了後に一度ダンジョンから脱出し、今後の方針を発表する。戦闘時は必ず私の指示に従い、撤退は素早く行うこと。今回の依頼は探索ではなく調査だ。くれぐれも目的を見失わないように注意してくれ」
数分後、隊列を整えた俺たちは【シュピネスト】へと吸いこまれていった。
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幅5mほどの道をしばらく歩くと、部屋が見えてきた。
索敵魔法を使うと、黒寄りの灰色の体を持つ、3mほどの蜘蛛が1体いた。
「【オスクラーニャ】が1体のようですね。昨日のミーティングで見たとおりの姿をしています」
3Dホログラムを投影する魔道具なるもので見た【オスクラーニャ】の姿とそっくりだ。
「そ、そうか。ありがたい……」
リュークは曖昧な笑みを浮かべながら言った。
……俺、なんか変なこと言った…………?
「…………俺の知っている索敵魔法は敵の種類を判別できないはずなんだが………………」
あ、そういうことね。
「……各A部隊は出撃!BC部隊は一時待機だ!イラト君はA部隊の皆に身体強化魔法を頼む!」
「「「了解!!」」」
リュークが命令を飛ばし、戦闘は始まった。
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剣や槍を構えた前衛部隊が次々と部屋の中へ跳びこみ、【オスクラーニャ】へと突撃する。
衝突音とともに武器と【オスクラーニャ】の足が激突した。
「キシャァァァァァッッ!!」
ベコンッという音がして足がへし折れる。
【オスクラーニャ】は怒りの雄叫びをあげた。
「硬い!」
前衛部隊の一人が舌打ちする。強化魔法をかけてギリギリ足一本を破壊できるくらいということか。
「魔法、放つぞーー!!」
「「「偉大なる火炎の力よ!この手に集いて敵を討て!!」」」
壮大な詠唱とともに5発の火球が【オスクラーニャ】の灰色の体を焼く。
……ってなんだ今の!?
恥ずかしすぎる!どんな大人だよ!?
『詠唱だな。皆こんな感じだぞ?』
無詠唱最高!
半ば炭化した【オスクラーニャ】は剣に斬りつけられて足を失い、槍で頭部を貫かれて絶命した。
魔法で焼いてからなら武器でもダメージを与えられるみたいだな。
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「調査可能と判断したため、これより本格的な調査を始める」
一度【シュピネスト】から出て、リュークは言った。
「これより、パーティーの編成をする。そのパーティーで、ダンジョン内の構造が以前と同じかを調査して欲しい」
順に、パーティーが発表される。
俺は6人のパーティーに配属された。後方魔術師部隊Bと前衛戦闘部隊Aが合体した形だ。
「あの、魔術師の人数がここだけ多い気がするんですが……?」
「ああ、俺らはボス部屋を通るルートで調査するからな。魔術師……というか、お前を含めた編成にした。……では、自己紹介をしよう。俺はリューク、戦闘職業は剣士だ。よろしくな」
それを聞いて、リュークの隣にいた青年も自己紹介をする。
「僕はカート。リュークと同じ王国兵で、戦闘職業は槍だよ。よろしくね」
俺、ウィルナ、カレナと続き、カレナの隣にいた赤髪の少女が続く。
「私はラン!いつもはカレナとパーティーを組んでいる剣士よ!よろしく!」
…………。知ってるけど?
市原蘭。キリカを含めたいつもの女子3人組の一人である。リーダー格で、いつもハキハキと喋る剣道部のエースだ。
……この二人がこっちに来たということは、キリカは独りぼっち…………?
……。すぐに帰らなきゃな…………。
リュークから【シュピネスト】地図を受け取り、6人は再び入り口を通っていった。
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