第3話 初めての戦闘……虐殺になったけど
今日は6、12、18、24時に更新します。(4/4)
ついに戦闘回!
…………と昨日までは思っていました、はい。
『人型の……機械兵器か?いや、これは……』
そんなことよりどうすれば良いんだ?
『とりあえず気づかないふりをして外へ出よう。こっそり尾行してくるはずだ』
え、戦うとかないよね?
『多分ある』
……あの、平和な地球育ちだから戦ったことがないんだけど?
『……なんとかなる(多分)』
今何かカッコ書きで余計な言葉をつけ足さなかった?
『……とりあえず、そこの剣を持て』
いつもリュックサックなどを置いておく場所には、見覚えのあるリュックサックと剣が……。
……。
違和感無いのがむしろ怖い!
『コメントはいいからさっさと持て。時間が無い』
分かったよ……。
言われたとおり剣(思ったよりも軽い)を持つ。
『じゃ、俺の記憶にある剣術をお前の記憶にコピーするぞ。ついでに魔法と戦闘の知識も』
え?
次の瞬間、脳裏でチチチチチッという音が響く。
「あれ、剣の振り方を思い出した。……何で今まで忘れてたんだろ?」
……。
…………そりゃそうだろ!剣なんか振る機会あるわけないだろ!
『独り漫才ご苦労さま』
やかましいわ!
……なんか、怖いんだけど。
『まぁ、次からは許可を取ってからやるさ』
そうしてくれ……。
『断られたらやらないとは言ってない』
断ったらやるなよ!?
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家を出て町の外へと歩き出す。
ラーシュ平原という平原に出る。
『よし、しっかりついてきてるな』
ずっと思ってたけど何で分かるの?
『索敵魔法ってやつだな。無属性の魔力を一定空間内にまんべんなく散らして固定し、進入してきたものを調べて術者に送信する。俺に魔法を発動させる権限はないが、発動を続けていたせいか技能化したんだよな』
こんな感じか?
▷魔法発動◁
属性:風雲+光輝
魔力:500mp
:効果:
・魔力散布(半径5km)
・魔力位置固定
・魔力周辺情報取得(超音波・レーザー・温度観測)
・情報送信
頭の中に半径5km内の3Dマップが浮かぶ。
すごいな、細かいところまでくっきりだ。
『……ちなみに、人間の時のままだったら今ので死んでたぞ?』
何で!?
『魔力一粒一粒の情報を自分に送信するだけで情報の処理を自分でやってるんだから当たり前だろ?まぁ、今なら空きリソースの0.047%しか使ってないが』
魔法に処理を組み込んでも結局自分の頭で処理することになるんじゃないの?
『魔法はあくまでただの命令で、実行するのは世界そのものだ。だから魔法の過程に処理を組み込めば世界が勝手に処理してくれる』
そうだったのか…………。
なら、これでどうだ!
▷魔法発動◁
属性:風雲+光輝
魔力:200mp(維持:10mp/1s)
:効果:
・魔力散布
・ループ(魔法解除まで、0.01s/回)
・・魔力相対位置固定
‥魔力周辺情報取得(超音波・レーザー・温度観測)
・・情報合成
・・情報送信
・ループ終点
頭の中に3Dマップが浮かぶ。
今回はループをつけたので動きもある。
えーと、怪しい人は――。
「ってうおおおお!?」
――ちょうど手を突き出し光線系の魔法を放つところだった。
『別にあのくらいなら受けても少し痛いだけだぞ?』
痛いならいやだ!
次々と放たれる光線をよけつつこちらからも反撃だ。
▷魔法創造◁
属性:光輝
魔力:250mp
:効果:
・光エネルギー発生
・指定範囲内収束・発射
球状の光の球が生成され、そこから白い光線が発射される。
光線は怪しい人――紳士服を着た男に文字通り光速で迫り、そのまま貫いた。
「へ?」
肉眼で確認し、もう一度索敵魔法の情報を見る。
男の体には穴が空き、そのまま地面を転がっている。穴からは血ではなく鉄屑がこぼれ落ちていた。
「倒しちゃった……?」
『まぁ、倒したな』
突如、男(?)の体から蒼い炎があがり、緩やかに消滅していく。
最後に、蒼い金属の板のようなものと透明な宝石のようなものが出現した。
「……なんだこれ」
『魔力の塊である魔物を倒すと遺体は魔石と何かを残して消えるってことだな』
ここはゲームか何かだろうか?
『それよりもまだ来るぞ』
そして索敵魔法が捉えたのは50の反応。
それは――――
「全部あのオッサンじゃねぇか!キモい!!」
3Dマップに表示されているのは50体の、全く同じ顔をし、全く同じ動きで走ってくる男達が。
男の画像をコピーし、ctrl+vを長押しし続けたらこんな画像になるだろうか?
なんにせよ、キモい。
▷魔法創造◁
属性:光輝
魔力:250mp×10
:効果:
・同時並列発動(10)
・・テンプレート:【レーザー】
10本の【レーザー】が男どもを貫く。綺麗に並んでいるせいで1本あたり5体は倒せる。
自分で言っといてなんだが、このフレーズもキモい。
男どもはやはり金属板と透明な宝石を残して消滅した。
『これで全員のようだな。残したものは全部拾っとけよ?』
それはいいんだけどあれはなに?
『【アトランティス計画】の運営本部がけしかけてきた機械兵だな』
日本はいつの間にSFの世界にも足を突っ込んだんだ…………?
『割と前から』
……。
ところで、聞きたいんだけどさ。
『ん?』
これからどうするんだ?計画を止めるために何をすればいいんだ?
『そうだな、じゃあ一つ質問をしよう。どうすれば早く兵士を育てることができる?』
……魔物をけしかけるとか?
『だいたいその通りだ。戦闘を強制する、つまり、負荷をかけることが重要なんだ』
…………つまり。
『運営が起こす天災とやらをとにかく潰すことだ。そうすれば運営は何かしら接触してくるはずだからな』
…………まぁ、やるしかないよな。
キリカを元の世界に残してきてしまっている。
だから、俺は絶対に、元の世界に帰ってみせる!
『…………人の聞いていないところでやってくれ』
心を読む奴に聞いているもいないもあるか!
こういう時くらい黙ってろよ!
『じゃ、戦闘訓練だ。時間を無駄にしないようにさっさと始めるぞ』
感傷に浸らせてもくれなかった!?
このあと、真っ暗になるまでしごかれたのであった。
明日は6、18時に更新します。
誤字があればこっそり教えてください……