スタート!
3月は別れ、4月は出会いとはよく言ったものだと真新しい制服を見ながら私は思った。制服を持ちながら視線を窓の方に向けると、桜の花びらが穏やかな風に吹かれて飛んでいた。それはまるで学校に登校するかのように同じ方向に向かって桜の花びらが飛んでいた。
(あの桜の花びらも私と同じかな…)
少し感慨深くなるのはきっとこれからの事を期待しているからだろうなぁと私は少し長めの袖を通しながらそう考えた。少し長い袖はこれからの成長の事を考えての事らしいが、はっきり言って少し邪魔だなと感じた。面倒くさそうに少し長めの袖を適度な長さに整えると、次にスカートを手に取った。シワ1つないスカートは綺麗でキラキラ輝いて見えた。
(きっとこれをはく私もキラキラ輝いて見えるんだろうなぁ…)
再び感慨深くなった私は少し笑みを浮かべながらスカートをはいた。
上下とも着替え、姿見を見るとそこに映る自分を見て
(これが新しい私かぁ)
と思った。
特に何が変わった訳でもないのだが、姿見に映る私は少し大人びて見えた。別人が映っている訳ではない。紛れもなくそこに映っているのは私のはずなのに、私じゃない気がした。きっとこれは夢なんじゃないか、そんな色んな事を思いながら姿見を眺めていると
「遅刻するわよー」
下からお母さんが大きな声で私を呼んでいた。
小さな夢から現実に戻ってきた私は
「はーい」
と先程の声に負けない位の大きな声で返事をした。
制服に負けないぐらいの真新しい鞄を持ち、玄関に置いてあるこれまた真新しい革靴に足を通す。歩く度に革靴からなる音が始まりを告げる合図の様だなと、私は小さな笑みを浮かべながらそう思った。
新しい制服を着て
新しい革靴に足を通し
新しい鞄を持ちながら
私はこれから始まる未来に向かって歩み始めるように
そして家族に宣言するように
「行ってきまーす」
と玄関を開けながら笑顔で言った。




