1章 柳沢家の事情
毎朝きっかり5時に起きる。
そして、6時までに朝食と洗濯と屋敷内の掃除をやらないといけない。
という、とてもハードなスケジュールがある。
それらを終えたら、幹人様を起こしに行く。
僕の質素な部屋とは違い、ドアには薔薇の彫刻が彫ってあり、一面金で塗り固められている。
見るからに豪華である。
その豪華なドアを開け、
「失礼します。」と、いつもと同じ声のトーンで入っていく。
「幹人様、朝でございますよ。」と、これまた豪華なベッドに寝ている幹人様に向かって声を掛ける。
「んー。」
寝返りをうつ幹人様の肩を揺らし、再度起こす。
「おはようございます。幹人様。」
目をパチクリさせ僕の顔を認識する。
「あー、おはよう。」
毎日顔を合わせる度に違和感を感じる。
同じ顔。
同じ声。
同じ体型。
頭がおかしくなりそうだ。
この違和感はきっと幹人様も感じているだろう。
好きな食べ物も、嫌いな食べ物も
好きな色も、嫌いな色も
好きな女の子のタイプも、嫌いな女の子のタイプも
全部同じなのだ。 もちろん性格も同じ。
違う所があるとするならば、親が居るか居ないかだ。
でも、しょうがないんだ。僕は幹人様のクローンなんだから。