ある怪物の物語
これもリメイク! 少ししか手直ししなかったです。初めて書いたこのジャンル。ファンタジー、恋愛、ホラー……次はSFでも書こうかな。内容は決まってるし。ああっと、こんな話じゃなかった。とりあえず見ていってやってください。いや、見てください。お願いします。
では、どうぞ――――
誰でも聞いたことがあるだろう。
遠い昔の一つ目の怪物のおとぎ話。
もちろんそれを信じてる人はいないはず。
でも、本当だったら?
◇
ある漁港のお話さ。ちょっと耳を傾けてごらん。ざざーん。波の声が聞こえるだろう。よぉく聞いてごらん。なんだか泣いているように聞こえないかい。ざざーん。ほら、泣いているよ。なんで泣いているんだろうね。何が辛いのだろうね。これから話してあげるよ。だから、こっちにおいで。暖かい部屋で話してあげよう。私は目が見えないからね。どうして見えないの、って?
はははっ、嬉しいね。心配してくれるんだ。これはね遠い昔に潰されたんだ。まぁ、この話はまた今度。
今はこっちのお話、一つ目の怪物――――『だんだらぼっち』について。
ここは昔から漁港だったんだ。大平洋に面していて、沿岸がいりくんでいるから魚が沢山とれだんだ。そりゃあもう、山の一つや二つができるほどにね。その幸でこの漁港は保たれていたんだ。でもそこで考えてほしい。海から魚がいなくなると人々は喜ぶ。けれどね、喜びには悲しみがつきまとうんだ。喜ぶ人がいれば悲しむ人もいる。じゃあ悲しむのは誰かって?
それはね……海の神様さ。
魚たちは海の神様から海水をもらって生きているんだ。え、神様なんていない、だって?
こらこら、神様はちゃんといるよ。話を聞けばわかるさ。きちんと話してあげるから。魚は海水をもらう代わりに生け贄を差し出していたんだ。それを食べて神様は生きていたんだよ。でもね、人間たちが魚を根こそぎ奪ってしまった。神様には生け贄がこない。神様だって食べないと死んでしまうからね。神様は困った。そこで人間にある条件をだしたんだ。
――魚をとるかわりに生け贄を差し出せ。
ここからは人間が生け贄さ。魚じゃない。年に一度、この漁港で一番綺麗な女の人を差し出すことになっていたんだ。もちろん、最初は人間も守っていたさ。でも流石に命を生け贄ごときに使い続けるなんて出来っこなかったんだ。途中から生け贄なんてそっちのけさ。
神様はお怒りになった。そこで登場するのがさっきから言ってる怪物『だんだらぼっち』さ。『だんだらぼっち』は一つ目の怪物だ。神様がお怒りになって送り込んだんだ。夜の海から、さぁぁぁっと音もなく上がってくる。人々が気づいて狼煙を上げたときにはもう遅い。片腕を振るうだけで大波さ。何人も犠牲になっていった。
ここで生け贄を捧げ続けることを決めればよかったんだ。ところがどっこい、愚かな人間は『だんだらぼっち』と戦おうとしたのさ。結果は大敗。片腕で大波を起こす怪物にたかが人間風情が勝てるはずなどなかったのさ。
漁港は半壊し魚も減った。人間たちはやっと自分たちの愚かさに気づいたのさ。だからといって命を差し出すなんてできるはずがない。生け贄の上で成り立つ生活なんて生地獄さ。おいおい、おいおい涙を流した。だけども神様は怒りを静めない。やめると死んでしまうからね。
ここで奇跡が起こった。その涙が美しかったのか、潔かったのかわからないけど、人々の涙は奇跡を生んだんだ。怪物の心をうったのさ。怪物にだって心はある。美しいものは美しいし、悲しいものは悲しい。ただ生きるために生け贄を嫌々差し出す人間たちを殺すのに、嫌気が差していたんだ。
『だんだらぼっち』は神と戦う決意をした。凄いだろ? 話すことも出来いし、それどころか恐れられているのにだ。でも彼は決意した。確かに決意した。そこにはちゃんと自分の意思があったのさ。
生け贄を捧げる日、『だんだらぼっち』は祭壇を壊したんだ。一番驚いたのは人間でもなく神様さ。だって自分の創った怪物が歯向かってくるんだもん。驚いた神様は呆気なく殺された。『だんだらぼっち』は人間を救ったんだ!
だけどね、いきなり怪物が味方になったって誰が信じると思う? しわくちゃの笑顔で祭壇を降りた彼に待っていたのは歓声と大きな拍手――ではなく、罵声と投石さ。『だんだらぼっち』はこのときわかった。神が正しかったのだとね。
『だんだらぼっち』は投石によって一つ目を潰されて、血だるまにされた。そして、心も折られた。このとき彼は決めたのさ、この人間どもに永遠の苦しみを与えてやろう、てね。
それからというものの漁港では幼い子供が拐われるようになったんだ。でも全員は拐えない。偶然助かった男の子が言っていた。
――目のないおじさんに暖かい部屋に誘われたんだ。
ほら、『だんだらぼっち』は忘れない。あの時受けた屈辱を。子孫に渡ってまで復讐すると。
オイデ。コッチニオイデ。
やっぱり第一印象かな……




