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桜小路茶話  作者: 望月 明依子
第四章 「華」
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第六話「自分の道」



後期に入ると、取れる授業も少しずつ増え、法学部対象ではあるが教職科目を選択することもできるようになった。

ようやく大学生らしい授業だな、と感じる。

前期のような慣れない感じもなく、アルバイトも通常体制に戻った。合唱練習が週一回からプラス土曜二回になり、十月末からは響たちの管弦楽団との合同練習も行われるらしい。


そんな夏から秋へと移り変わって行くある日。私は驚くべきことを聞いた。

たまたま図書館の近くで会った真理先生に、

「私、やっぱり法科大学院を目指すことにしたの。もちろん、ここのだけどね。

美咲ちゃんたちの件で池田先生のお手伝いをしていて、このまま博士課程に進学していいのかなって思うようになって。本当は、池田先生みたいな仕事がしたいんじゃないかなって思って。それを、そのまま池田先生に相談してみたの。

そしたら、「いくら知り合いだからとはいえ、かなり荷が重い仕事をあなたには任せてしまったようだね。申し訳ない。あなたの将来まで惑わせてしまうとは。でも、もし私のような仕事がしたいと本気で思うのであれば、法科大学院を通して、司法試験に挑戦し、私と同じ弁護士という道を目指すのも、一度きりの人生、決して悪いものではないと思う。もし、花田くんが本気で望むのならばだよ。生半可な気持ちでならば、決してうまくいくものではないからね」って。私、背中を押された気がしてね、今からもう一度法科大学院から司法試験を目指すわ」と告げられた。

「そうなんですか……」私は何とも言えず、生返事をするしかなかった。

「事件に関しては、全部池田先生に一任したから。ええと、陽子ちゃんも、御勢にいるのよね?」

「そうです」

「池田先生とは三人とも面識があるはずだから、池田先生から直接連絡があってもびっくりしないでって伝えておいてね。しばらく、私は池田先生のところをお休みさせていただくけれど、いつかなんらかの形で池田先生にはお礼できるようになりたい」

「分かりました、陽子には伝えておきます。真理先生、頑張ってください」

「ありがとう、美咲ちゃん。全てのきっかけは美咲ちゃんだったから、美咲ちゃんの役に立てるような弁護士を目指したいわ。じゃ、またね」

真理先生は笑顔で図書館へと向かって行った。

私も図書館に向かおうと思ったが、気持ちの整理をしようと思い、方向を変えて家へと帰った。


真理先生は、私の事件に関わったことで、具体的に将来の目標を見据え、法学部の修士課程から法科大学院へと進学を決めた。

真理先生は、私の憧れで、きっと大学生になって、大学院生になったらあんな風になるんだろうな、って思っていた。

その人が、方向を変えて、自分の道を進み始める……。

私は、本当は何がしたいんだろう?

…… 研究者になる? 研究者になってどうするの?

何かの役に立つのだろうか。

お姉ちゃんや、渉のように医師を目指す。

池田先生や、これからの真理先生のように弁護士を目指す。

匠や麻衣子のように、教師を目指す。

じゃあ、この二年間、私は何をしてきたのだろうか?

何のために、わざわざ渉と離れて、御勢の附属高校に転校したのか。

最初の夢があったからだろう。「研究者になる」という。

でも、「研究者になった」先には何があるのだろうか。

例えば、大学に残って研究を続けるとするならば、授業を受け持ち、論文を書いて発表し続け、上がるか上がらないかわからない肩書きを気にしなければいけない。

とはいえ、大学外で純粋に研究ができるというところはないだろう。特に今の研究テーマは大学教授等よりも弁護士や裁判官の経験者の論文が多い。となると、やはり私も司法試験の方向に向かうのか。

何か違う気がする。私が目指しているのは、弁護士や裁判官、検察官という方向ではないように思う。

やはり、大学に残り、学会で発表を続けて行くということだろうか。

裁判員という制度が、これからこの国に残り続けるかどうかわからないのに?

腹が決まったような、何処かくすぶったような、微妙な感覚だった。


そういえば、お母さんは修士課程に進んだ人間なんだった。できることならばその先までも進んでみたかったんだけど、と言っていたこともあった。

身近な人に、考えを聞けるかもしれない。私は母親に話を聞いて見ることにした。

「ねえ、お母さん」

「どうしたの、美咲」

「お母さんって、どうして大学院に行こうと思ったの?」

「私のお父さん、あなたのおじいちゃんね。先生だったのは知ってるでしょ? 私はあなたと同じで、法学部にいたの。そして同時に、高校の社会科の教員免許も取ってたのね。で、おじいちゃんがどうしても先生になれって言うから、私はどうしても受け入れられなくて」

「どうして?」

「通っていた高校に教育実習に行ったんだけど、難しいな、って思って自信なくしちゃったの。いろいろな道があったんだけど、大学院に行こうと思ったのは、私の大学の法学部には修士課程がなくて、大学の時の教職課程で授業を受けていた先生のところで勉強し直してみようかな、って思ったからなのね。すごく矛盾した考えだけど、その頃はほとんど教職課程に授業時間を割いてたから、そういう発想になったみたい」

「他の大学の法学部に行こうと思わなかったんだ」

「もうおじいちゃんもおばあちゃんもいい年だったから、迷惑はかけられなかった。絶対に就職するか、大学院に行くなら今の大学以外はダメだって言われて。だったら、って考えたんだと思うの」

「ふーん」

「結局、そこでお父さんと出会って、結婚しちゃうんだけどね」

「お父さんはどうして大学院に行ったの?」

「お父さんは、就職してから、一年間職場の学校を休んで単位を取りに行って、職場復帰してからは論文書きに大学に行っていたわ。高校の場合、修士課程の学位が必要だったりするみたい」

「へえー、で、お母さんは卒業してから結局どうしたの?」

「今度こそ他の大学に行こうかと考えたけど、もうあんたに出せるお金はないって言われて。まあ、そうよね。だからそのままそこの大学の職員になった。お父さんが落ち着いて、結婚できるまでね」

「そっか……」

「で、何か参考になった?」

「うーん……なったのかな、ならなかったのかな……」

「何か迷ってることでもあるの?」

「うん、今日、真理先生と会ってね……」

私はお母さんに真理先生のことを話し、それについて考えたことを話す。

「そうね、研究者っていうのはね、世の中において全く無駄な存在じゃないのよ。優子お姉ちゃんや渉くんが目指すお医者さんも、池田先生や真理先生の目指す弁護士の先生も、お父さんやあなたのお友達で教育学部に行って目指している教員という職業も、それぞれの分野の研究をされている方がいらっしゃって成り立つのね。パッと目立つ仕事じゃないかもしれないけれども、必ず世の中に影響を与えることができる仕事だと思うの、研究者っていうのは。私の考えすぎかしらね」

「分かった。ありがとう、お母さん」

「遠からずご飯よ」



夕食後、珍しく優子お姉ちゃんから電話があった。

「真理が心配して、あたしに連絡してきたもんだから」

「真理先生が?」

「真理が突然自分の進路を変えた話をしたものだから、美咲に影響を与えちゃったんじゃないかって。それくらいで美咲は揺らぐような子じゃないって真理には言っておいたけど、あの様子はかなり動揺してたからって」

「……」真理先生は、見抜いてる。

「あんたには、言ったわよね。「初心を忘れるな」って。ここであんたの根本が揺らいだら、それを信じてついてきてくれたいろいろな人まで揺らいでしまうのよ。まあ、本当にこの道を行きたいっていうことがこれから先見つかったら、まあそれは別だけどね」

「……うん……」

「真理は真理。美咲は美咲。周りに惑わされることなく、自分の道を行きなさい。あんたの夢は、間違ってないから」

「……ありがとう、お姉ちゃん」

「にしても、真理もしっかりしたわね。あたしがあの件を頼んだ時には、まだいち学部生だからどれくらい力になれるか分からない、ってくらいだったのに、いまやしっかり自分の目的を見つけた。ちょっと嫉妬するくらいだわ」

「優子お姉ちゃんは、違うの?」

「あたしも、悩んだり、迷ったりするよ。いろいろな患者さんに接して行く中で、自分がやってることって本当にちっぽけだなって思ったりとかね。でも、自分で決めた道なんだ。そう思うとね、ああ、また頑張ろうって気になれる」

「そうなんだ」

「美咲は、ひとりじゃないからね。美咲を信じて御勢に高校から行かせてくれたお父さんにお母さん、美咲の夢を応援して杉谷から送り出してくれた渉。他にもたくさんの人が、美咲の夢を、目標を信じてる。あたしも、その一人よ」

「ありがとう……」

「真理もそうよ。ただ、真理は真理の道を行くだけ。だから、美咲も自分の決めた道を行くことね」

「分かった、わざわざありがとう、優子お姉ちゃん」

「どうってことないわ。真理の方が心配してたぐらいだから。今度顔を合わせることがあったら、よろしく言っておいてね」

「うん」

「あたし、明日も朝早いし、ごめんね、寝るわ。最後の寝れる時期みたいだし、寝れる時に寝とかないとね」

「ごめん、そんな時にわざわざ……」

「いいのよ、じゃあ、おやすみ」

「おやすみ、体、気をつけてね」

「ありがと、美咲もね」



これで、ようやくはっきりと決心がついた。

自分は、自分の道を行く。誰が、なんと言おうとも、ブレない。

私を応援してくれている人もいるんだ。ここで迷ったら、私を信じて、応援してきた人たちも裏切ってしまう。

きっぱりと自分の中に決心が着いたら、やっと落ち着いて、眠気が襲ってきた。



季節はもうすっかり秋。

合唱の練習がようやく全体で通せるようになり、もうそろそろ響たちとの合同練習だ。

相変わらず匠と安藤くんは仲良くやっているようで、見ていて羨ましい。

合唱からずいぶん離れていたため、感覚を取り戻すのにかなりの時間がかかったが、ようやく練習で声が当時くらいに出るようになった。とはいえ、高音域が多い曲だ。通しで全力で行くと、最後には力尽きてしまうほどエネルギーを使う。

優子お姉ちゃんもそういえば吹奏楽版で第九をやったはずだが、相当大変だったんだろうな……。

あれ、そういえば、さくらちゃんも中学で吹奏楽部だって言ってたよな? 今、何かサークルしてるのかな?

匠がいるので、捕まえて聞いてみる。

「匠」

「みさみさか、どうした」

「さくらちゃんって、中学で吹奏楽部だって言ってたよね? 今何かやってるの?」

「ああ、今も吹奏楽やってるみたいだ。管弦楽団と吹奏楽団が御勢にはあるから、吹奏楽団に入ったんじゃないかな」

「なるほどね」

もしかしたらご対面、とか思っていたが、吹奏楽団なら会うことはなさそうだ。

管弦楽団なら管楽器より弦楽器の方が重視される。吹奏楽団があるなら、そっちの方が活躍の場があるだろう。

ちょっと残念だが、同じ学校だ。いつか会えるに違いない。



響たちとの合同練習を数回重ね、もうすっかり本番ムード。

入学式を行った会場で本番は行うらしい。その時は一般公開が行われる。

そして、もしかしてと思っていたチケットノルマがやってきた。私たちコーラスヘルプは五枚。

響たちは一人三十枚、合唱部の正式部員は二十枚だそうだ。

優子お姉ちゃんの吹奏楽部の頃の定期演奏会のチケット販売を思い出す。お姉ちゃんも、流石に一人二十五枚のノルマには参っていた。

とりあえず全額を前払いしてチケットを買い取りする仕組みなのは同じようだ。あとは売るなり、配るなりは自由だ。

優子お姉ちゃんも最後にはタダで配っていた。「でも、それが大事な運営費だから」と言いながら。

とりあえず、私もバイト代からチケットを買い取り、お父さんとお母さん、お姉ちゃんの分はプレゼントすることにした。

法学部のみんなには響が売るだろう。響たちも必死なのだ。

桜小路会のみんなには、匠と安藤くんで回すようだ。手際がいい。

そして、私は渉に渡したかった。

渉は、免許を取った後、「最初はお前にはこれで十分だ」と軽の中古車を買ってもらった、と言っていた。まあ、免許取りたてというのは色々と心配だし、流石にいきなり高級車はと渉のお父さんも思ったのだろう。

「美咲、練習付き合ってくれるか?」

「いいの?」

「怖い思いさせないように、気をつけるから」

と言ってあちこちドライブに行っていた。もちろん、交通量の少ない道を選んで。

渉の運転は全然怖くなかった。

それまでのお礼も込めて、私は渉にチケットを渡そうと連絡を入れる。

「もしもし?」

「ああ、美咲か。どうした?」

「今、時間ある?」

「大丈夫だが、何だ?」

「十二月の初め、学校で第九の演奏会があって、あたしも合唱で出るの。チケット、もらってくれない?」

「そういえば、そういう話してたな。1枚でいいのか?」

「うん、いいけど……二枚欲しいとか?」

「そういうわけじゃない。美咲が困ってるなら、と思っただけだ」

「一枚で大丈夫だよ。二枚渡して、渉が他の人と来るかもとか考えたら、もう出れなくなっちゃう」

「大丈夫だ、そういう相手いないから。そうだ、優子お姉ちゃんにも渡すんだろ? 優子お姉ちゃんに二枚渡したらどうだ?」

「どうして?」

「優子お姉ちゃん、彼氏さんと来れるじゃないか」

「まあ、忙しくて来れなかったら仕方ないし、それいいかも」

「将来のお兄さんなんだ。今のうちからおもてなししておくのもいいんじゃないか?」

「おもてなしね。うん、そうする。で、今からチケット渡しに行ってもいい? 今、家にいる?」

「ああ、なんだったら取りに行ってもいいぞ」

「久しぶりだし、渉の家に遊びに行こうかな」

「分かった。たまにはうちで飯食って行かないか?」

「いいの?」

「ああ、お母さんには言っておいてな。自分の分はいらないって」

「うん、ちゃんと伝えておくよ」

私はお母さんに今日の夕食はいらない、渉の家で食べてくるからと言って、チケットを握りしめて渉の家へ向かった。

家の前に着くと、渉に連絡を入れる。渉と母親の美香が出迎えてくれた。

「お邪魔いたします」

「美咲ちゃん、久しぶりね。いらっしゃい。何が食べたい?」

「何でも大丈夫です、ありがとうございます。お気になさらないでください」


久しぶりの渉の部屋だ。

今学校で使っているであろう教科書類がぎっしり。高校の頃の教科書も残っている。

「すごい本だね……」

「教科書って、かなり増えるんだよな。試験には必要なものだから、簡単に処分できないし」

「私の部屋とあんまり変わらない」

「そうか? 美咲の部屋の方が多い気がするけどな」

そして、持ってきたチケットを渉に渡す。

「この日はうちの大学のホールも一般公開されるから、聞きにきて欲しいな。今までのお礼と言っちゃあ、ちょっとしすぎだけど」

「十二月の頭くらいだろ。大丈夫だと思う。お金、いらないか?」

「いいの、いいの。私からの気持ちだから」

「ありがとうな。やっぱり御勢のホールってきれいなんだろ?」

「うん、そう思う。音もよく響いてる感じ」

「いい場所で、いい音楽を聞けるのは、最高の贅沢だな。優子お姉ちゃんの定期演奏会の会場も、毎回あそこなんだろ?」

「中学とか高校で定期演奏会とかやるんなら多分一番いい会場だからね、あそこは」

「美咲もあの会場は慣れてるのか」

「中学三年間は使わせてもらったからね」

「本番まで、練習大変だと思うけど、無理はするなよ。美咲、最近いろいろ忙しくしてるみたいだし、心配だぞ」

「大丈夫。去年みたいな殺人的なスケジュールでもないし、ずいぶん大学にも慣れたから。渉も、車で学校行ってるんでしょ?」

「ああ。電車とか使うと待ち時間がかかり過ぎてな」

「交通事故には気をつけてね」

「もちろんだ。加害者にも、被害者にもなりたくないし、ならないように気をつけて運転してるよ」

そして、その日は久々に渉の家で渉のお父さんとお母さんと四人での夕食を食べた。



「へえ、テストって年明けなんだ」

「知らなかったの、美咲?」

「うん、全然気づかなかった……」

「本番は年内に終わるし、ちゃんと勉強して単位も取らないと!」

「前向きだね、響」

「前向いてないと、乗り越えられないことばかりだからね。後ろ向きたい時、今の状態でいたい時あるけど、毎日新しいことがいっぱいやって来るから。前向いていかないと」

「さすが、響」

響の考え方にはいつも感心させられる。私も、前向いて行こう。


響たちの管弦楽団との練習も佳境に入り、本番まであと二週間。

本番は日曜日だから、今週末と来週土曜は練習漬けだ。バイトも休みを入れておいた。

のどを痛めて声が出ないなんてことがないように気をつける。マスクは必需品だ。

「みさみさ、疲れてないか?」

「匠、安藤くん。そこまで疲れてないよ。去年より、遥かにマシ」

「去年は異常だったんだ。去年を基準にしちゃダメだぞ。疲れ、残さないようにな」

「ありがとう。匠も、安藤くんもね」

「おう、ありがとう」

「ありがとう、中村さん」

衣装の準備もある。そういえば、優子お姉ちゃんは学校から帰ってきて夜中までミシン使って何か縫ってたな……

もちろん、私たちは手作りの衣装なんてことはない。ただ、白のブラウスと黒のロングスカートを用意するだけだ。白のブラウスはあるが、黒のロングスカートは持ってたかな……

家のクローゼットを探すと、丁度いい感じのベルベット調の黒のロングスカートがあった。大丈夫だ。入る。

衣装の準備も出来たことで、あとは本番でちゃんと声が出せるかだ。

ちゃんと休んで、体調を整える。それが本番成功の一番の近道だろう。

冷え込んできた。暖かくして、十分に休養を取ることにした。



二週間という時間はあっという間だった。

さすがに、直前の二週間続けての週末の土日の連続の練習は疲れた。

そして、いよいよ本番。合唱の舞台に立つのは中学三年以来だ。

午前中にリハーサルを済ませ、響と昼食を食べると、緊張が襲ってきた。

「私も初めてだよ、このホールで第九やるのは」

「響、第九そのものは経験あるの?」

「高校のときにね。でも、やっぱり緊張するものね、場所が変わると」

「私、完全に初心者だったけど……」

「ほとんどみんなそうでしょ? 合唱経験すらないって子もいるはずだし。先輩達がうまく引っ張ってくれるから、安心して大丈夫よ」

「そう……」

そう言われれば言われるほど緊張は高まっていく。


私たちコーラスの出番は、響たちと違い、途中からだ。

出番を待つ舞台袖。

そして、初めての第九のコーラスの出番がやって来る。


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