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桜小路茶話  作者: 望月 明依子
第三章 「風」
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第十三話 「そして、模擬裁判へ」


御勢学園大学附属高校には、文化祭も体育祭もない。

修学旅行には、一年の冬にスキーに行くそうだ。だから、本来杉谷高校で二年の冬に行く予定だった修学旅行にも参加できず、ここに来ても修学旅行はない。

まあ、目の前には東京での学会がせまっているのだが。

大学の教育学部の附属高校のはずなのに、実習生が授業をするのはたいがい一年生だ。たまに二、三年生の教室へ実習生が見学へ来るくらいである。


二学期が始まっても、私たちの生活は夏休みと何も変わりはなかった。ただ、セミの鳴き声が弱くなり、空気に秋の雰囲気が加わるのを日に日に感じていた。


そして、毎日遅くまで打ち合わせを続け、ようやく全体の論文と発表原稿の形が出来上がってきた頃。桜小路先生が学会のプログラムと十月の学校内の予定を持ってきた。

「これが今回の学会のプログラムだ。福田さんにも渡しておかないとな。

私たちの発表は、二日目の午前。順番としては、この分科会のトップになる。一日目にも分科会ごとの発表があるから、聞きたい先生方の発表を自由に聞きにいくといい。午後は 全体会で、今回のメインテーマについての指名発表者の先生方によるパネルディスカッションだ。

今年のメインテーマは「社会科の歴史と未来ーー積み重ねられたものと積み上げていくものーー」となっている。とはいえ、分科会の発表はそれに縛られない。だから、発表もテーマにとらわれることなく、自由なのだ。

プログラムに目を通す。初日の発表にもぜひ聞いてみたいものがある。それは匠にとっても同じようで、プログラムに印をつけていた。

「あ、二日目の午後は総評と交流会。出席は自由だけど、交流会は別途料金が必要となるんだよ。私は一応出る予定だが、あなたたちはどうするのかね?」

「……欠席でお願いします」

「同じく」

「金なら出すぞ?」

「いいえ、大丈夫です」


私と匠は、毎日遅くまで打ち合わせをしながら、ある計画を立てていた。

「みさみさ、秋葉原行きたくない?」

「匠、行ったことあるの?」

「ああ、一度、夏休みに東京に遊びに行ったことがあって、その時にな」

「夏休みってすごく忙しいのに?」

「中学の頃かな。まだ夏休みがそこまで忙しくなかったから。せっかく学会が東京なんだし、秋葉原寄ってから帰ろうぜ」

「いいね、それ。秋葉原なんて夢だよ」

「でかい街だったよ。いろんな店があって、楽しかった」

「じゃあ、学会終わったら秋葉原寄って帰ろう!」


総評までは出席しないといけないだろうから、それ以降の時間になる。

桜小路先生は何時ごろ帰るつもりなのだろうか。交通手段・宿泊施設も全て桜小路先生任せなのだ。

「先生、帰りの飛行機は何時ですか?」

「午後六時半に羽田だから、別行動するにしても五時半には合流していて欲しいな」

「分かりました」

総評の後、会場から秋葉原駅まで向かい、午後五時半に間に合うように羽田へ向かえばいいのだ。

行ける、きっと行ける。二人とも、内心で思った。

「それと、学内の予定表だ。学会が十月の十一、十二日。そして、中間考査が十五日からだ。すごく日程が詰まっているから、スケジュール管理をきちんとしておくように」

そうだ。これが私たちにとっては最終考査となる。一学期の期末考査でなかなかの成績は取れたが、だからと言って油断はできない。最終考査だから、レベルが高い問題が出題される可能性も高い。

「先生、最終考査期間前は、打ち合わせの少しペースを落としてください。最終考査の対策も必要だと思うんです」

「もちろん、そのつもりだ。全く打ち合わせしないとなると発表の時に困るが、現在のような毎日遅くまで打ち合わせ、はするつもりはない。週に二回くらい、最終的な詰めの打ち合わせをするくらいだ。そして……」

桜小路先生がもう一つ、分厚い紙の束を出した。

「論文の核となる、授業案だ。模擬裁判も含まれている。私の授業、ホームルームを使って行いたいと思っている。その結果まで踏まえた上で、学会の発表に臨みたい」

「結果は、どのようにとらえるのですか?」匠がポイントを逃さない。

「質問紙法、要はアンケートだな。アンケート内容まで作成している。その分析まで行いたい」

パラパラとその紙の束をめくる。八時間で構成され、最初の四時間は知識の定着に時間をかけ、残りの四時間で模擬裁判を行い、最後の時間にアンケートも取るそうだ。

知識の定着はバラバラの時間に行ってもいいと思うが、模擬裁判はバラバラになってしまうと興味が薄れてしまうのではないか。

私は桜小路先生へ問いかけた。

「先生、模擬裁判をバラバラの時間にしてしまうと、みんなの興味が薄れるということはないのでしょうか?」

「うむ、それは考えた。模擬裁判の時は、私の授業と続きの授業を入れ替えたり、ホームルームを延長して実施しようかと考えている。だから、予定は四時間だが、二時間と二時間に分けて実施する予定だ」

すでにもう九月の中頃である。十月の頭に学会発表を控えているならば、もうこの授業案で授業を進めていかなければ分析まで間に合わない。

「急で申し訳ないが、この授業案で授業をやってみようと思う。ざっとでいいが、目を通して、明らかにおかしいといったところはないかチェックしてくれないか。すまない、その指導案ができたのが昨夜でな」

私たちは慌てて指導案に目を通す。

私は主に知識の点に間違いがないか、匠は模擬裁判の構成や流れ、最後のアンケートにおかしいところがないかを見ていた。

「知識の定着のねらいの点では問題ないと思います。模擬裁判を行うのに最低限必要な知識も含まれていますし」

「模擬裁判も話し合っていた通りですね。評議が一時間で終わるか、無理にそこを遮って不完全燃焼な議論になってしまわないかが心配ではありますが。アンケートも、特に答えにくくなく、答えたければさらに述べることができる形式で、いいと思います」

「本当に急で申し訳ない。そうだな、今週の木曜の私の授業から開始しよう。朝のホームルームで一組のみんなには伝えておく」

「分かりました」


「いきなりだったね、模擬授業」

「ああ、桜小路、やる気なんだな、相当に」

「去年とか、やったのかな? 模擬授業」

「去年は部長一人で何でも作ってた感じだったし、模擬授業までできなかったんじゃないかな。フィールドワークって、学校外だからリスクも大きいし」

私たちは帰る準備をする。

「そういえばさ、俺らが発表するんだよな?」

「だよね……?」

合宿の時を思い出す。あんな感じで発表を分担するんだろうか。

「俺らも、名刺って必要?」

「必要かもね」

桜小路先生には御勢学園大学教育学部附属高等学校教諭という肩書きのついた名刺があるが、私たちにはそんな名刺はない。

「パソコンで作るか。みさみさの分も作ろうか?」

「うん、お願いできる?」

「ところで、名刺ケースってどこにあるか知ってる? できれば、あまりキャラクターとかないやつ」

「駅の雑貨屋でアルミ製の名刺ケースを見たよ」

「みさみさ、二個買っといて。名刺の専用紙代と引き換えで」

名刺の専用紙代がなかなかなお値段であることは一応知識としては知っていた。

「分かった、いいよ」

「一人三十枚ぐらいあったらいいか?」

「そうだね、それだけあったらこちらから話しかける分も話しかけられて渡す分にも十分だよね」

「名刺の印刷も時間がある時でいいか?」

「名刺ケースも時間がある時に買うでいい?」

「了解」



翌日、私は学校が終わったらすぐに学校を出た。定期通院のためだ。

脳波検査と体の傷の診察を一気に行うようになったが、脳波検査の結果はまた別の日に聞きにこなければならない。本来は学校を欠席して一日で一気にやってしまいたいが、欠席が内申に大きく響く。そのため学校終了後に行くようにしていた。医者も事情を理解してくれ、無理に一日で検査を終わらせるようにはしなくなった。

体の傷の診察はその日に終わる。化膿していないか、傷が開いたりしていないか足やお腹の傷跡を調べる。

「うん、大丈夫だね。体育はまだ欠席してるよね?」

「はい」

「ならいい。まだ、激しい運動は控えた方が念のためいいからね。自転車くらいは大丈夫だよ」

「ところで、来月に東京に出張することになったのですが、大丈夫でしょうか?」

「出張?」

「ええ、発表に」

「高校生だよね、中村さん」

医者はカルテの画面を改めて見る。そこにはまぎれもなく十八歳としか書いていない。

「ええ、部活の顧問と同級生と一緒に発表をすることになっておりまして」

「同級生は女性かい?」

「いいえ、男性です」

「誰か女性の同伴者はいないのかい?」

「発表者ではありませんが、見学者として同級生の女性がついてきてくれます。顧問の計らいで、宿も同室としてくれています」

「そうか。一人で東京へ行って、宿をとってというなら心配だが、同室に女性がいるならば安心だ。ちなみに、その女性とは仲はいいのかい?」

「はい。いつも仲良くしています」

「ならより問題ない。慣れない環境と緊張は体にも良くないからね。私は許可を出すけど、神経内科の先生にも今度聞いておいてね」

「ありがとうございます」


そして、桜小路先生はとうとう、「今から約一ヶ月、私の授業を裁判員裁判に関する授業を行いたいと思う。協力してもらえないか」と朝のホームルームで言った。

社会部の面々は私や匠の顔を見ている。私たちは知らない顔をしているつもりでいたが、心臓はばくばくしていた。

「今日から、私の授業を裁判員裁判に関する授業に使わせてもらう。ホームルームを使うこともあるし、時間割の変更があるかもしれない。みんなには申し訳ないが、よろしく頼む」


百花と早希が聞く。

「匠、美咲、桜小路先生の授業の中身知ってるの?」

「まあ、な」

「どんな授業なの? 美咲や匠も関わった授業って興味あるー!」

「これを言ったら……ね」

模擬裁判の話なんて今したら大騒ぎになる。実際の授業直前にしないと。


そして、桜小路先生の授業が始まった。

桜小路先生がする授業だから知識の定着のあたりは失敗するとかいう心配はないが、うまく皆の興味を模擬裁判へ持っていけるかだけが心配だ。

ほぼ毎日一時間は桜小路先生の授業はある。これまで入試対策のような授業を行ってきた桜小路先生の授業が、突然教育実習の先生のような授業になったのだから、皆戸惑うのも仕方ない。

そして、四回目の授業の終わりがけ。予定では、ここで模擬裁判の話をすることになっている。

「ここまでで大まかに裁判員制度の話をしたが、これだけではピンとこないという声もあるだろう。だから、実際に模擬裁判をしてみようと思う」

桜小路先生はいよいよ模擬裁判の話を切り出した。ゴクリとツバを飲む。

「テーマや担当の決め方、裁判員の決め方は次回説明する。次回はホームルームを延長して実施したい。以上」


早希が興味しんしんといった感じで聞いてくる。

「美咲、本当に模擬裁判? するの?」

「うん」

「予定に入ってたの?」

「うん、そう」

「どんな感じの裁判なの?」

「今はまだ言えないかな……」

「えー、教えてよー」

「まあ、桜小路の邪魔するなよ。俺らも授業受けるわけだから、ネタバレはなしだろ」

「ちぇ」

こうして、本番前までテーマを知られることなく模擬授業は開催された。


桜小路先生の五時間目の授業。

「さて、前回話した模擬裁判の説明をしよう。テーマは、保護責任者遺棄致死だ。

黒板に「保護責任者遺棄致死」と書く。

「みんなに共通に理解しておいてもらいたいことは、この事件は成人の母親が生まれたばかりの子どもを見知らぬ人の家の前に置き去り、その結果、その子供は死に至った事件ということだ。

もちろん、地裁で判決が出て、刑が確定している。ただ、その中身は今は言わない。それを、議論して欲しいからだ。

ここに三十個のくじを用意した。このくじには、1から6、裁判官、弁護人、検察官、被告人と必ず書いてある。

1から6のくじを引いた人は裁判員グループ、裁判官、弁護人、検察官、被告人はその名の通りだ。弁護人、検察官、被告人には台本を用意している。各自くじを引いて、それぞれグループに分かれて欲しい」

クラス全員にくじが回り、あちこちから声が上がる。全員にくじが回ったことを確認すると、桜小路先生は、「よし、弁護人、検察官、被告人は台本を取りにくるように。そして、机を全て後ろに下げて、こんな形になるように机をいくつか持って来てくれ。椅子は自分のを」

桜小路先生は黒板に法廷のような形を書き、机の大きさに分けた。裁判官、弁護人、検察官、被告人には机一つずつ、裁判員グループには三つずつが割り当てられた。

台本をもらった子は必死で読み込んでいる。被告人役の子は女の子ではなかったが、変なリアリティが出なくて良かった、と思った。

「いいか、今回のくじで決まった役割は、あくまでこの模擬裁判を行うのに利用するだけだからな。この役割を他のことに利用することは禁止する。人間性を決定するためのくじじゃない。その辺りを勘違いするな。では、台本を読みながらでいい、開廷しよう」

そして、模擬裁判が始まった。


私たちが聞いて来た裁判の通り、被告人と検察官、被告人と弁護人、のやり取りを行い、そして桜小路先生が参考人となり、参考人質問も行われる。証拠も全員分、実際の証拠に似せたものを必死で私と匠で作ったものを提示しながら、裁判官役の子に提出されて行く。証拠を採用するかしないかも、評議の対象だ。

ひとまず、台本は終わった。私たちが必死で作った証拠も全て提示された。

「台本はここまでだ。ここからは、みなさんの評議に結果が任せられる。まずは、各グループで話し合いをしてくれ。

決めることは、有罪か無罪か、その理由、それと有罪ならばどの刑罰を与えるか。参考が必要ならば、印刷した刑法を各班に配布するので参考にしてくれ。

それぞれ役をもらった人たちは、一つのグループで話し合いをして欲しい。決めることは同じだ。

話し合いは次回授業、次回は二時間続けて授業を行う。時間割の変更があるので、注意するように」


重い感じで、麻衣子が言う。

「二人とも、あの裁判聞きに行ったの?」

「うん」

「本当に、自分の生んだ子どもを捨てる母親っているんだ……」

「赤ちゃんポストも使われてるだろ」

「あれ、作り話とばかり思ってた」

「あれは、本当にあった事件だ。ただ、もちろん証拠は似たような感じに俺らで作り直した」

「あれ、匠たちで作ったの? 本当の証拠使ってるのかと思ってた!」

「かなりリアルだったよな」

「ちょっと、ゾッとしたぞ、俺……」

ちなみに、桜小路会メンバーは誰も役を引いた子はいない。祐樹と早希が、匠と麻衣子が同じグループ以外、みんなバラバラのグループだ。

そして、みんな解散した。私は居残りで数学の勉強をすることにした。

居残りで勉強する子、まっすぐ帰る子、様々だが、テスト前の今は居残りで勉強する子が多い。

桜小路先生と匠との打ち合わせは、桜小路先生の授業が終わるまでお休み。

その間にテスト対策の勉強をしておくほうがいい。


「中村さん、最近調子どう? 今日は数学?」

同じく居残りしていた国語部の山内さんが声をかけてくれた。彼女もかなり成績がよく、センター試験を受けて国立大を受けたいと言っていた。

「一緒に勉強しない? 数学、私も今やってるから」

私は山内さんと一緒に勉強することにした。

私が問題に詰まると、「ここはね、……」と山内さんが分かりやすく教えてくれる。

「これに似た問題が、教科書の何ページにあるから、確認するとその手の問題に強くなるよ」

とまでアドバイスしてくれた。この手のアドバイスはありがたい。教科書の復習どころが分かるからだ。

「おーい、学校閉めるぞー、下校しろー」

という桜小路先生の声が聞こえてくるまで、私は山内さんに数学を教えてもらったのだった。



そして、最終回の授業。二時間続けて、模擬裁判の評議と、結審、そしてアンケートを取る予定だ。

前回の法廷形に机を配置し、グループごとに話し合いをする。「難しいー!」とか「何の罪にするかは決めにくいよな」という声が聞こえてくる。

「あなたたちの素直な意見を出してくれ。一定の時間で、グループごとの意見で評議を再度行う。これが本来の評議だがな」

グループごとに話し合いが始まった。印刷した刑法もどんどん回って行く。

「はい、そこまで。今のところの多数決を、そのグループの意見として欲しい。では、1グループより、お願いします。発表者は、グループの中で出席番号の早い人が行うように」

各グループより意見が出される。「有罪、懲役三年、執行猶予半年」「有罪、懲役一年」「無罪」

と意見は様々だが、大まかに「有罪、懲役三年、執行猶予一年」、理由は「事情のある子ではあるが、出産して保護の必要な赤ちゃんを捨てる母親には殺意がある」という意見が大半だった。

「拾ってもらいやすい家を選び、子どもを殺そうとは思わなかったはずだ」という意見もあった。

「では、裁判官の方、判決を下して下さい」桜小路先生が言う。裁判官役に選ばれていた子はすっかり忘れていたらしい。慌てて教卓で三人で、被告人に判決を下す。

「よし、席を戻して。これが三年一組の判決だ」

全員が席についたのを見て、桜小路先生は口を開く。

「本当の判決は、懲役二年、執行猶予半年だった。もちろん、傍聴しているだけの私たちには評議の内容は分からない。ただ、裁判官の説明は、保護の必要な乳児をいくら理由のあるからとはいえ、遺棄し、結果死に至ったことには殺意を認めるが、見つけやすい、さらに子どもが好きであると言う人の家を選んで遺棄したことは執行猶予の対象となる、ということだった。あなたたちの素直な意見は、貴重だ。それが、司法を変える。それが、裁判員制度の目的だ」

そして、全員にアンケートを配布した。

「今回の授業を通してでも、模擬裁判についてでもいい。言いたいことがあれば、どれだけでも書いてくれ。特に言うことはないという人でも、選択式の設問には、ぜひ答えて欲しい。放課後に回収したいから、ホームルームまでに記入をお願いしたい」

そこでチャイムが鳴り、二時間の授業時間が終了した。そして、私たちと桜小路先生が作成した授業も終了したーー


ホームルーム。アンケートは驚くほど回収率が良かった。

びっしり意見を書き込んでいる紙、丸しかついていない紙、様々だが、みんな提出している。

私も意見を多少書き込んで提出した。

選択式の設問はほぼ簡単な設問だ。裁判員制度について理解できたか、裁判員制度に興味は持てたか、模擬裁判には積極的に参加できたか、授業を受けて、裁判員制度に賛成か反対か、その他の意見があれば(自由回答)という設問。

もちろん、無記名だ。

この意見を分析し、学会の論文へ反映させる。私たちはきっとこの意見の分析チームだ。

今日からまた打ち合わせ再開。ただ、試験対策もしながらである。

ひとつ、やり終えたーーという充足感と、これからは打ち合わせと最終考査対策が私たちを待つ。


秋葉原、秋葉原。


この言葉だけを励みに、私は放課後、桜小路先生の部屋へ匠と向かったのだった。


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