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桜小路茶話  作者: 望月 明依子
第二章 「月」
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第十話 「三人のクリスマス」

十二月二十四日。街はクリスマスムード一色だ。

もちろん、今年はその流れに乗って、少しウキウキしてみる。去年それどころでなかった分、余計に。

渉には新しいスニーカーをプレゼントすることにした。

渉からは、「去年のようなプレゼントは用意できないけど、実用的なものを贈るよ」と言われていた。

渉の靴のサイズは大体わかるが、少し小さく作るブランドのスニーカーを贈ることにしている。私が覚えているサイズよりひとつ大きなサイズを買いに行った。


家では久しぶりに帰って来ている優子お姉ちゃんが鈴と小鈴とで遊んでいた。鈴と小鈴にお姉ちゃんはそれぞれ新しい首輪をプレゼントしたようだ。真新しい首輪をして鈴と小鈴は優子お姉ちゃんと遊んでいる。私は二匹にマタタビとささみを買いこんで来ていた。


お母さんがいつものようにご馳走を作っている。今年は五人のクリスマス・イブだ。毎年のように渉はうちでクリスマスを過ごしているが、渉の母、美香に言わせてみれば「お父さんとたまには出かけられていいじゃない」と言っている。もちろん、渉の家でクリスマスパーティーをすることもあった。その時には優子お姉ちゃんと二人でお邪魔するのだが、優子お姉ちゃんが大学に入ってからはなかなか家に帰るタイミングが分からず、たいていうちでパーティーをすることになる。


「渉、まだ来ないの? 待ちくたびれたよ」

「別に、いないならいなくてもいいじゃん」

「お父さんもまだ帰ってないわよ」

「じゃあ、もう少し待とうか」

渉が来るのは八時過ぎになるそうだ。お父さんはいつ帰って来るのだろうか。


いつもつけているテレビのニュース番組が終わった。もう八時だ。

お父さんがちょうど「ただいま」と言いながら帰ってきた。

「ああ、今日もご馳走だな。今日は渉くんは?」

「八時過ぎに塾が終わるって言ってたけど……」

「それからうちに来るのか、忙しいな」

「息抜きも必要よ」

「たまにはこういうことないと、やってられない、高校生なんて」

「お前も、確かに高校生の頃は、こういうイベントはしっかりしてたもんな」

「渉と美咲と三人でね」

そうだ。優子お姉ちゃんは自分がどんなに忙しくても、クリスマスだけは必ず私と渉の三人ですることにしていた。

それがうちであっても、渉の家であっても、必ず三人でいた。

そう言ったことを考えているうちに……


ピンポーン。 家のチャイムが鳴る。渉が来た。

「こんばんは。お邪魔いたします」

「いらっしゃい。さあ、始めましょうか」


去年は合格祝いも兼ねて、プレゼントをもらってばかりだったため、今年は渉だけでなく優子お姉ちゃんにもプレゼントを用意した。

去年は騒ぎに紛れてもらったプレゼントだったが、今年は堂々とみんなの前でもらうことができる。あの指輪は、普段は鍵のかかる机にしっかりしまっているが、たまに左手の薬指にはめてみて、元気をもらっている。

お母さんが作ってくれた豪勢な夕食をみんなで食べた後、ケーキを切り分けている間に私は自分の部屋にプレゼントを取りに行った。優子お姉ちゃんも同じタイミングで席を立ったようだ。

私が居間に戻った時には、食後の紅茶と切り分けられたクリスマスケーキが並んでいた。優子お姉ちゃんも渉もいた。

「美咲が小さい頃は、朝起きたら枕元にプレゼントがあるって大騒ぎしてたよね」

「だって、すごく嬉しかったし、本当にサンタさんっているんだって思ったんだもん」

「あ、その話なんか聞いたことある。優子お姉ちゃんがネタバラししちゃったんだよな」

「そう! 『サンタなんているわけないじゃん』って、すっごく冷静に言うんだもん」

「だってさ、サンタがその辺りの百貨店の包み紙のプレゼント持ってくると思う? そう思うと、思わずバラしたくなっちゃったのよ」

「あたし、小学校に入る前にサンタの存在を否定されたよ……」

「俺もそれを聞いてだったかな、父親に問い詰めたな。あっさりと『サンタは俺だ』って言われちゃうんだから、拍子抜けしたよ」

「ふふふっ、現実的な子たち。私なんて、小学五年ぐらいまではサンタさん信じてたのに」

「お姉ちゃんずるい! 子供の夢を壊す小児科医反対!」

「まだ小児科に進むと決めたわけじゃないわよ。臨床研修やって、じっくり決めようと思ってるから。まあ、産婦人科か小児科っていう目標は変わってないけどね」

「まあまあ、その辺りにしないと、紅茶冷めるわよ」

お母さんが割って入った。

「はい、優子お姉ちゃん。私からプレゼント」

「美咲から? なになに?」

「開けてみて」

「わあ!」

私は、優子お姉ちゃんにもスニーカーを用意していた。とはいえ、もちろん、渉に渡すものとは違う。お姉ちゃんが研修を受けている病院内でどのような履き物を使っているかを調べて選んだ。歩きやすく疲れにくそうな、できる限りシンプルなデザインのスニーカータイプのものだ。病院内で使うものだから、汚れが目立ちやすく、万が一注射針等が落下しても針を通さないようなものである。お姉ちゃんの足のサイズは流石に覚えていなかったため、お母さんに聞いた。

「今使ってる靴って、結構疲れるのよね、歩き回ってると。これ、かかとにエアが入ってるし、歩きやすそう。ありがとう、美咲」

実際に履いてみると、サイズも問題ないようだ。

「俺から、ちょっとしたものですみません……」

「渉からも?」

渉は実用も実用、医師国家試験の対策の参考書を渡していた。

「あんた、もうこんなの見てるのね。結構、これ評判いい参考書よ。なかなか本屋とかに行く余裕ないから、助かるわ」

「優子お姉ちゃんの受ける国試はまだ先だから、直接の参考にはならないかもしれないと思ったんですけど、対策にどうかと」

「ありがとう。もうそろそろ過去問解きはじめないといけない時期だし、これ過去問だけじゃなくて要点のまとめもあるからいいのよね」

「すいません、全シリーズはさすがに俺の金じゃ無理でした……」

「当たり前よ! そこまでする必要はないわ。 やるなら、自分が国試を受ける時にやりなさい。で、私から渉、あなたにはね、はい、これ」

優子お姉ちゃんは渉に袋を渡した。渉は、「開けていいですか」と尋ねる。優子お姉ちゃんは「どうぞ」と返した。

そこには、優子お姉ちゃんの通う大学の医学部の赤本が入っていた。

「お返し」

「俺の志望、知ってたんですか」

「もちろん。だから、私の経験談と、これくらいが私のできるアドバイスかしら」

「ありがとうございます」

「そして、はい、美咲にはこれ」

私には小さな箱を渡された。

「開けていい?」

「どうぞ」

そこには、ピンクの石を、猫が抱え込むデザインのネックレスが入っていた。

「可愛い!」

「でしょ? あんたに似合いそうと思って、思わず買っちゃったの」

「高くなかった?」

「それほどでもないわよ」

早速つけてみる。

「似合ってるぞ、美咲」

「あら、かわいいものもらったわね、美咲」

「ほら、見立て通り。大成功ってやつね」

「ありがとう、お姉ちゃん。大事にする」

「で、美咲は渉くんに何あげるの?」

「はい、これ……」

私は用意していた袋を渉に渡した。

「開けるぞ」

「うん」

ゴソゴソ…… 靴の間の詰め物の音が響く。

「おお! これ、お前の履いてるやつと同じブランドのスニーカーだよな? ちょっと足合わせていいか?」

「うん、心配だから履いてみて」

「ピッタリ、より少し大きいぐらいかな? でも、小さいと履いてて痛いんだよな」

「あんたなら、まだ成長するよ」

「いつか、ぴったりになる日がくるかもな。ありがとう、美咲。で、俺からはこれ」

大きめな包み紙と、その中に箱が入っている。何だろうか。

「開けてみていい?」

「ああ」

そこには、肩からすっぽり覆えるフリースと膝掛け、箱の中には32MBのUSBメモリが入っていた。3つとも、同じキャラクターで統一されていた。

「これから寒くなる時だし、やっぱりレポートのデータとか持ち歩くならUSBメモリが便利だろうな、と思ってな」

「ありがとう、渉。寒い時に助かるよ。レポートとか持ち運ぶのにも助かる」

「さあ、紅茶もすっかり冷めちゃったでしょ。新しいの入れるわね」

「もったいない! 飲んじゃう」

優子お姉ちゃんは三人分の冷えた紅茶を一気に飲み干した。


それぞれ次の日の予定があるため、あまり遅くならない時間にパーティーは終了した。

優子お姉ちゃんも大学の友達とパーティをするのだそうだ。渉は練習と塾。私は桜小路会のクリスマスパーティだ。



夜、さあ寝に行こうという頃に百花からメールが届いていた。タイトルに「お知らせ」と書いてある。

「明日の桜小路会クリスマスパーティ、分担をお願いします。匠:コンビニなどで五人分のケーキ 祐樹:シャンメリー二本 美咲・早希嬢:お菓子を好きなだけ 私はお菓子、ジュース、紙皿、紙コップ等を準備します。購入した分のレシートを忘れずに持ってくるように! 五人分集めて費用を精算します。あと、それぞれプレゼントも忘れずにね。集合時間 午前十一時」

一斉送信したのだろう。百花自身のメールアドレスも含め、桜小路会メンバー全員のアドレスが入っている。

「明日、安いところでまとめ買いして行こうかな」

プレゼントはすでに準備済みだ。明日のことを考えるとワクワクしてきた。


翌日、優子お姉ちゃんは「夕食は家で食べるから」と言って家を出て行った。

私も「夕ごはんは家で食べるね」と言って買い物へ向かった。

お菓子が安いスーパーでちょっと買いすぎかな、というくらいお菓子を買い込み、部室に向かった。

十一時ちょうどに部室に着いたら、すでに百花が様々な準備をしていた。

「おはよう、美咲。そんなにいっぱい買ってきてくれたの?」

「百花姉様、早くから準備してたんだね。言ってくれたら手伝ったのに」

「今部室に着いて、準備し始めたところだよ。美咲も手伝ってくれる?」

「任せて!」

私たちが準備を進めている間、早希、匠、祐樹がそれぞれに指定されたものを持って部室に現れた。

「よし、桜小路会クリスマスパーティーのはじまりはじまり!」

ケーキにシャンメリー、たくさんのお菓子、ジュース。そしてお茶。

「みんな昨日はどうしてたの?」探りを入れるかのように早希が切り出す。

「そんな早希嬢はどうなのよ」

そういえば、みんな早希が杉谷の年下の子と付き合ってるってこと知ってるのかな?

「昨日はね、最悪のクリスマスだった。クリスマスに彼氏と別れるなんて最悪」

「別れちゃったの? 杉谷の一年の子と」

「うん……好きな子ができたって……何も、クリスマスに言わなくっても……」

百花、知ってたんだ……

「でも、あたしも、最近マンネリ化してたし、スッキリしたかな。やっぱり年下の子とは合わないみたいって分かったし」

「美咲は?」

「家族でクリスマスパーティーだったよ」

「渉くんと二人じゃないの?」

「毎年、お姉ちゃんも入れて三人でパーティする。それが定番になってるから」

「へえー。二人っきりじゃないんだね」

「三人で仲良くしてたからね。お姉ちゃんは今日大学の友達とパーティだって」

「お姉さん、彼氏いないの?」

「うーん、なかなか最近家に帰ってこないから、本当のところはわからないなあ」

「今日あたり、彼氏とパーティだったりするかもね」

「そうかもしれない」

否定はできない。さすがに優子お姉ちゃんの交友関係までは把握していなかった。

「百花姉様は?」

「一緒にご飯に行った。まあ、お互いに未成年だから、お酒はないけどね」

「ふーん。それだけ?」

「それだけ」

「祐樹は?」

「特に何もないな。うちでケーキ食ったくらいだよ」

さっきの百花の話を聞いたからか、少々ぶっきらぼうだ。

「匠は?」

「……市川に会った」

「ええっ!」

「マジかよ?」

「デート! デートなの?」

「いや、そういうわけじゃない……彼氏の愚痴を聞かされていただけだ」

「世間ではそういうのをデートって言うのよ!」

「でも、やっぱり彼氏いるんだな、市川」

「ああ……」

「まあ、とりあえず、食べよ! せっかく美味しそうなケーキもお菓子も、シャンメリーもあることだし」

「おう、いただきます!」

「いただきます!」

みんなでケーキを食べ、シャンメリーを飲み、さっきのことは忘れたように普段の話で盛り上がった。

「やっぱり、誰も来ないな、冬休みの部室は」

「貸し切りってことよ」

「このあたりで、プレゼント交換といきますか?」

「いいねえ、いこういこう!」

「でも、どうやって?」

「そうねえ、考えてなかったわ」

全員が沈黙に陥る。

「パソコンのミュージックを鳴らす。その間、時計回りでプレゼントを交換して、止まったところのプレゼントってところでどう?」早希が提案する。

「自分のになったら?」

「もう一回だな」

「よーし、じゃあやるぞ」

パソコンのミュージックプレイヤーを起動し、適当な音楽をかける。

音楽が止まる。私の手元には百花のプレゼントがあった。

私のプレゼントは匠のところにあった。それぞれ、自分のものが当たったとかいうことはなかったようだ。

「じゃあ、一斉に開封!」

私の手元にある百花のプレゼントは、アロマキャンドルと陶器のお皿だった。

「あ、アロマキャンドル!」

「これなら誰でも使えるかなって」

祐樹の手元にある匠のプレゼントは、ペンケースだった。無難な生成りの色合いだ。

「お。ちょうど筆箱買い換えようと思ってたところだったんだよな。ラッキー」

早希の手元にある祐樹のプレゼントはマグカップだった。

「可愛いー! でも、これがもし匠のところに行ってたらどうするつもりだったの?」

「それはそれで面白いかなって」

「アハハハハハハハ!」

百花の手元にある早希のプレゼントは手帳だった。思いっきり、キャラクターものだ。

「これも、もし祐樹とか匠のところに行ったらどうするつもりだったの?」

「もちろん、それはそれで反応を楽しむ」

ってことは。

匠の手元にある私のプレゼント。私もキャラクターもの、しかもぬいぐるみカレンダーを購入していた。

「これか」

「まさに、狙い通りだったね」

「さあ、どうする匠?」

「もちろん受け取るに決まってるだろう。これぐらいだったら自分の部屋に飾っておくぐらいなら問題ない」

「部室に置いといてもいいんだよ」

「いや、せっかくのプレゼントだ、持って帰る」

そうして、桜小路会クリスマスパーティはさらに盛り上がって行くのだった。



「ねえ、年が明けたらみんなで初詣なんてどう?」

百花が提案した。

「うーん、三日までおばあちゃん家に行くんだよね」

「うちもそれぐらい」

「じゃあ、松の内にってことで、新学期が始まる前は?」

「それならいいぞ」

「いいよー」

「賛成!」

「新学期が八日からだから、六日ぐらいでどう?」

「課題を残さないようにしないとな」

「ま、冬休みはあんまり課題ないけどな」

「じゃあ、年明けの六日に。そのくらいだったら、大抵どこの神社も空いてると思うし」

「何社巡りかしてみる?」

「あ、そういうのもいいね」

「とりあえず、またメールで連絡するね」

「よろしく」

「いつも悪いな」


そうして、桜小路会の今年は終わった……と思っていたら、まだ終わっていなかった。百花から年末にメールが届いた。

「部室の大掃除をします。最後に利用したのがたぶん私たちなので、責任持って私たちで掃除しましょう」

祐樹と早希は帰省していて参加できないとのことだった。なので百花と私、匠の三人で大掃除を行うことになった。

主にソファー周り、そしてテーブル、窓と一通り掃除をしたところで、「もうこのへんでいいよね、お茶飲んで終わりにしましょ」と百花が言った。

疲れていたので二人ともそれに賛成し、百花がいれてくれたお茶をごちそうになった。

「ごめんね、突然呼び出しちゃって。でも、最後にこの部屋も大掃除しとかないとと思って」

「まあな。自宅以外で一番長くいる部屋かもしれないからな」

「そうだね。なんだかんだで一番みんなでここにいるもんね」

「美咲って、そういえば去年の今頃はここにはいなかったんだよね」

「違和感ないよな」

「そう?」

違和感がない、最高の褒め言葉だと思っている。そう言われることが嬉しかった。

「ずっと前から、五人でいた、そんな感じだよね」

「ああ、そんな感じだ」

「何だか嬉しい、そう言ってもらえると」

リリリリ リリリリ 百花の携帯が鳴った

「もしもし? うん、あ、はいはい、分かった。いつものでいいのね。帰りに買って帰るわ。じゃあ」

「どうした?」

「親がみりん買って来いって。煮物に使う分が切れたみたい」

「じゃあ、そろそろおひらきにするか」

「悪いわね、なんだか中断させた感じで」

「いや、もういい時間だ。帰ろう」

百花の家は私の家と逆方向だ。もちろん、私の家を超え、駅を超えたところにある匠の家とも逆方向になる。

校門で私たちと百花は別れた。「また連絡するね。良いお年を!」「良いお年を!」



学校を出てしばらくして、匠が話し出した。

「市川と、クリスマスに会ったって話しただろ? あれ、イベントに連れ出されたんだ」

「え」

「今の彼氏はそういうのには興味がないらしいんだ。で、その流れで今の彼氏の愚痴を聞かされた」

まあ、普通の男子ならそういうことに興味がないのが普通だろう。きっと渉にその話をしたら渉にも引かれてしまうに違いない。

「俺は、吹っ切れたよ。あいつには、もう俺は眼中にないんだって。そういう趣味だけの友達なんだって。そうしたら、余計にアイツに会いたくなってきた」

アイツ……安藤智也のことだろう。そのことはさくらちゃんには話したのだろうか?

「俺、目覚めちまったみたいだ。男と女、どっちも恋愛対象になる。でも、どっちかというと男の方が好きなんだって。これ、みさみさ以外、誰にも言ってない話だからな、誰にも言うなよ?」

「安藤くんに、何か言ったの?」

「それが、何も言えないんだ。友達の域を超えた感情を持った時から。だから、今は、友達……片思い……」

「そうなんだ……」

「本当に、誰にも言わないでくれよ。みさみさだから、打ち明けられたんだ」

「うん、誰にも言わないよ。みんなにもうまく話を合わせておく」

「ありがとう。助かる」

そうしているうちに、私の家の近くの分かれ道に着いた。

「じゃあな、良い年を」

「良いお年を」


年末は渉は家族でおじいちゃんとおばあちゃんの家に帰省する。塾の冬季講習の関係もあって、帰省期間はあまり今年は長く取れないようだが、来年は帰省は無理だ。

うちは年明けに隣町のおじいちゃんとおばあちゃんの家に挨拶に行く。そのため年末年始の大移動はない。優子お姉ちゃんも短時間だけとはいえ受験の年も挨拶に行き、しっかりお年玉を貰ってきていた。



そして旧い年が去り、新しい年が明けた。


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