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だい8わ
「ジュエリーヌ」
ケビンは、熱いまなざしをジュエリーヌに奉げた。
「ジュエリーヌ、君は何も悪くないんだ。だから、何も心配する事は無い」
「マスター……」
ケビンが何を言っているのか、ジュエリーヌは理解できないようだった。
だが、その情熱にほだされて幸せそうな笑顔を見せたジュエリーヌであった。
「俺は君の味方だからね、ジュエリーヌ。たとえ、世の中の全てを敵に回しても、俺は君の事を守って見せる!約束するよ」
「マスター」
その大きな瞳を潤ませるように、ジュエリーヌはケビンを見つめた。
「嬉しいです」
「ジュエリーヌ……」
ケビンはもはや自分が何を言っているのかさえも理解できなくなっていた。
ジュエリーヌがそれをどれだけ把握していたかも分からない。
ただ、二人の関係は更に一層泥沼化しつつあることだけは確かなのである。無論、その事態に気づく者は、この段階においては誰一人存在しない。
後々になって、ケビンが自分の軽率さを悔やんでも、手遅れだったのである。