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だい43わ
「さっきもお、申し上げましたことだったりするのでしたりするのですけどお、ジュエリーヌ……」
いじらしくもささやかな思いを口にするジュエリーヌの、切ない声調子に、ケビンは酸欠状態で耳を傾けていた。
「……マスターとお、一緒に水浴びしたかったりするのでございましたり……」
「……一緒に……」
「もしもお、マスターがあ、一緒に水浴びして下さったりしたらあ、そのときはジュエリーヌう……」
何もかもが真っ白になったケビンは、木の幹に干物のように貼り付いている。
「……マスターの、お体を、真心込めて洗って差し上げたり……」
穏やかな生命に満ち溢れた森の静寂に、恥じらいに満ちた乙女の切なる願いがささやかに響く。
「……それで、もしい、マスターがあ、ジュエリーヌの体をその手でえ、洗ってくれたりしたりしたらあ……」
きゃっ、と水音がはじけ、ジュエリーヌはそのまま口ごもった。
ケビンの中で、何かが切れた。