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だい39わ
「うっふう~ん」
ジュエリーヌの幸せ指数は最高潮のようだ。
「ううーん、マスターの意地悪さあん--」
嬉しくて嬉しくてたまらないというような声調子で、ジュエリーヌはケビンに答えた。
「ジュエリーヌう、ほおんとはあ、ちいっとも心配なんてしてないのでございましたりするのですう~」
これが魔女と言うものなのか--その魅力の前に屈する事無く苦悩するケビンは、或る意味ではこれぞまさしく天晴れ、勇者の鏡と言えるかも知れない。
「ジュエリーヌは、マスターの事を信じてございましてりするのですう~」
「……あ、ありがとう……」
「だけお、だけど、だあけえどお--」
頭を抱えながら勇者は魔女の執拗な攻撃に耐えている。
「マスターのお、お顔が見られなくってえ、ジュエリーヌう、淋しくて、寂しくてえ~えええ--」
ああ、とその場に絶叫したい衝動を抑えるケビンであった。
「それでですねー、マスター--」
更にジョボン、と水音を立てつつジュエリーヌが言った。
「ジュエリーヌう、マスターにおねだりしたいので御座いましたりするのですう」
「あ……あとで、ね……」