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だい32わ
「マスター――」
ジュエリーヌは切ない想いをその大きな瞳に宿し、潤んだ眼差しでケビンを見詰めた。
「あの、あのね、でございましたりするとなんですけど……」
”ジュエリーヌ”
意地らしくも愛くるしいジュエリーヌの仕草に、ケビンは悩ましい衝動を覚えていた。
”そんな――可憐な目で、俺を見つめないでくれ”
「マスター」
たおやかな肉付きに恵まれた、しなやかな女体をくねらせて、ジュエリーヌはケビンから目を反らした。
「これは、仮に、で御座いましたりするのです……」
恥じらいながら、言いたい事を言い出せずに口ごもるジュエリーヌに、ケビンは異常なまでに激しいパトスを覚えるのだった。
「――マスターが、どーしても我慢できなくなっちゃった時には、その時にはでございましたり……」
”だから、何なんだよお-―!”
「そのときには――」
囁くような、秘密を告げるような声調子でジュエリーヌは言った。
「ジュエリーヌ、決心致しましたりするので御座います――」