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だい25わ
追い詰められたケビン。果たして彼の運命や如何に――と、その時。
「――ゴメンなさいです、マスター」
ジュエリーヌは急にしょげ返って肩を落とした。
「ジュエリーヌ?」
「ジュエリーヌ、わがままな悪い子でございましたりいたします」
「あ――」
危機一髪のところで矛を収めてくれたジュエリーヌに、ケビンはほっと一息ついた。
「ジュエリーヌは、マスターにお聞かせするべき言葉も御座いませんでありましたりします」
俯いたまま、ジュエリーヌは肩を震わせていた。
「い、いや――」
判ってくれたらそれで良いんだよ――ケビンは一刻も早くその言葉をジュエリーヌに聞かせようと気が逸っていた。急がねばならない。早めに先手を打って彼女をなだめなければ、大変な事になってしまう。
「マスター――」
だが、そんなケビンの機先を制するかのように、ジュエリーヌはクルリと背中を見せた。
「もう、ジュエリーヌはマスターのおそばに居られないので御座いましたりいたします」
”ああ――!”
ケビンは胸中に悲痛な叫び声を上げた。
”遅かったー――!”