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だい2わ

「ンねえええン、マぁスタあ~」


艶めかしいを通り越して、くどいまでにすいたらしい女の声はやまない。


音の響きから察して、それほど離れては居ないようである。

若者が座り込んでいる立ち木のすぐそば、彼の位置からはほぼ真後ろに、湧き水のたまった小さな泉が見える。彼女はそこで沐浴しているのだろう。



「……ここに居るよ……」


「まあ--!」


若者の、うんざりしたような返答にもめげず、幸せそのものと言った嬌声を返す態度は、或る意味健気とも言えるが。どぶーん、と水音が上がる。どうやら、先程から響いてくる水音の主は彼女らしい。差し詰め、近くの泉で水浴びの真っ最中と言うところだろうか。


「うっふう~ん、マスタあ、どこにも行っちゃ嫌ですわよお~ん」

身をくねらせるような仕草が目に見えるような声音だった。


「行かないよ!」

若者がやけになったような声を上げる。


「もしい、マスタあがあ、ジュエリーヌの事お、ほったらかしにして、お一人でどこかへ行っちゃったりされたりしちゃったりしちゃったりしたらあ、その時はあ--」

更に、ちゃぷん、と水を弾く様な音が聞こえる。


「その時はあ、ジュエリーヌう、マスターの事お、すっぽんぽんで追いかけて行ったり致しますですよお--」


「だあああああああ--」


女、ジュエリーヌと自ら名乗った相手に対し、先程からマスターと呼ばれる若者が、益々やけくそ気味な声を上げた。



「大丈夫、待ってるから、安心して!」

「ホントお、ホントにイ?」

「ホントだよ!」

「ゼッタイ?」

「ゼッっっっっタイ!」




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