だい15わ
「ジュエリーヌは--」
秘密を打ち明けるような、ささやく様な声音でジュエリーヌは言った。
「ジュエリーヌは、いつでもOKでございますですのことでありましてよ、マスター……」
それっきり、二人の間に言葉は無かった。
ほのかに頬を染め、何かを期待するような気配を漂わせてそこに控えるジュエリーヌと、何も考えられなくなったケビンが、有耶無耶で刺激的な沈黙を共有していた。
「ジュエリーヌ--」
ケビンが、できるだけ自然な、状況から考えると異常に不自然なさりげない笑顔を見せた。
「ええ、と、宿場町まで、あとどのくらいかな」
全く脈絡の無い台詞でその場を強引に押し切ろうと言うケビンであった。
紅潮しかけていたジュエリーヌの笑顔が、にわかに沈んだ。
「……マスター……」
「え……あ、あの……」
「申し訳ありませんでございましたりします、マスター……」
肩を落として、ジュエリーヌが顔をそむけた。
「ジュエリーヌは……ジュエリーヌは……」
悲しげに声を振るわせるジュエリーヌを前に、ケビンもおろおろしている。
「ジュエリーヌ……」
「マスター……」
ジュエリーヌはケビンと目を合わせよとしない。
「……やっぱり、ジュエリーヌはマスターのお傍に居てはいけない女なのでございましたりするのですか……?」
「そ、そんな--」