だい14わ
ケビンは耐えている。
ジュエリーヌの、病的なまでに艶やかな、男好きのする官能的な女体から漂う魅力、それはもう魔力と言っていいほどの色香に自分を見失うまいと、必死に自制心を奮い立たせた。
ジュエリーヌの方に目を向けると、心穏やかでないものが内側から噴出しそうである。
”意識するな”
そう、慣れてしまえばよいのだと、ケビンは自分に言い聞かせている。
”いやらしいのは彼女ではない、俺が心によこしまなものを抱いているから、そんな風に見てしまうのだ。罪は彼女には無い、ジュエリーヌは悪くないんだ!”
かなりキているようだ。
そんなケビンの視線を感じ取ったジュエリーヌが、わざとらしく目を逸らして見せる。口元には、幸せそうな微笑が、いたずらっぽく浮かんでいる。
「マあスタあ-ー-」
ジュエリーヌがこっちを見ている。
「い、いや、あの--」
ケビンは、耐え切れずに向こうを向いた。
「あの、俺は、決してやましい事を考えてたわけじゃ……」
わざわざ口に出して言ってしまう意思の弱さが哀れなほどだった。
「マスター」
ジュエリーヌはいささかの後ろめたさも無い、満面の笑顔で言った。
「やましい事なんて、ちっともございませんです事にございます」




